起業準備の時間割を朝昼夜に分けて迷わず進める設計
個人と個人事業主は、申し込みで扱いが違う
――自分で作った作品を初めて売る人が、メルカリShopsでお店を開こうか迷っています。個人でも申し込めますか?
新井:メルカリShopsで新しく申し込めるのは、個人事業主か法人です。公式のガイドには、個人の新規受付は終了したと書かれています。普段のメルカリで不用品を売ったことがあっても、そのままShopsを開けるわけではありません。まず、個人として作品を売り始めたいのか、事業として店を運営するのかを分けて考えましょう。
――「個人事業主」を選べば、これから事業を始める人もすぐ開けるのでしょうか?
新井:そこが見落としやすいところです。メルカリShopsの申し込みには、本人確認に加えて営業の実態を示す資料が要ります。公式ガイドには、過去2年以内の所得税青色申告決算書、e-Taxの受信通知、Shops以外の販路情報が挙がっています。開業届を出したばかりで、まだ申告の実績がない人は、その資料を用意できません。ほかの販路についても、販売実績がわかるネットショップのURLか、実店舗の外観写真が求められています。書類がそろうかを先に見ずに、店名や商品ページだけ作り込んでも、申し込みで止まってしまいます。
いつものメルカリは、家庭の不用品を売る場
――それなら、まず普段のメルカリで手作り品を売ればよいのでは?
新井:不用品を売った経験があると、そう思いますよね。でも、いつものメルカリとShopsでは、出品する人の扱いが違います。メルカリの案内は、通常のメルカリを個人間の不用品売買の場として説明し、事業者による利用は想定していません。作品を継続して売るために、普段のメルカリを店代わりにする前提では考えないほうがよいでしょう。
――開業届を出しているかどうかだけで決められますか?
新井:いいえ。メルカリ側は「事業者」かどうかで扱いを分けていますが、開業届の有無だけで事業者かどうかを決めているわけではありません。届けを出していなければ、どんな売り方でも普段のメルカリを使える、と決めつけないでください。売り場の規約を先に読んで、自分がどう売りたいのかに合う場所を選ぶことです。
初めての販売は、出せる売り場から
――作ったものをまだ売ったことがない人は、どこから始めればいいでしょう?
新井:個人の作家が販売者登録できる場所を探します。たとえばminneの公式ヘルプでは、個人として販売者登録し、作品を販売できると案内しています。開業届を出して個人事業主になった場合は、事業者としての申請が必要です。作品写真、名前、説明、値段、配送方法を用意すれば、売る準備を具体的に進められます。初めから大きな店を構えることより、今の自分が規約に沿って出品できる売り場で、一つ売ってみるほうが早いと思います。
――売り場を借りると、手数料が気になります。
新井:そこは値段を決めるときに計算してください。材料費だけで値段を付けると、販売手数料や送料を引いたあとに、ほとんど残らないことがあります。売り場ごとに手数料の取り方は違いますから、出品前に公式の料金を見て、買う人が払う額と自分の手元に残る額を両方確かめます。値段を決めてから売り場を探すと、後で困りますよ。
売り続けるなら、買った人の声を積み重ねる
――作品を並べるだけで、買ってもらえるでしょうか?
新井:初めての人には、まだ作り手としての実績がありません。作品の写真や説明を載せたうえで、注文を受けたら約束した通りに届ける。その経験を一件ずつ重ねていくことです。買った人が作品について感想を書いてくれれば、次に買う人が判断しやすくなります。もちろん感想を強要する話ではありません。売り場の知名度に助けてもらいながら、自分の店への信用を少しずつ作ります。
――メルカリShopsを開けるかどうかだけで、販売の予定を決めないほうがよいですね。
新井:そうです。Shopsの必要書類を確かめ、今はそろわないなら、個人の作家が出品できる場所で試す。どの売り場でも、規約と手数料を読んでから値段を決めてください。まず一つ売って、買った人にきちんと届ける。店の形を広げるのは、そのあとでも遅くありません。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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