起業準備のジャンル変更は『負け』ではない。半年で動き出すための軌道修正の判断軸
待つ期限は、納品日から逆算して決める
――外注先と10日ほど連絡が取れず、クライアントへの納品日が近いという相談です。まず何を決めるべきでしょうか?
新井:最初に決めるのは、相手を待つ最後の日です。「もう少し待とう」と気持ちで先延ばしするのではなく、自分が発注元へ納品する日から逆算してください。
たとえば、来週の水曜が納品日で、自分で編集し直すのに3日かかるとします。それなら、遅くともその3日前には動き出さなければ間に合いません。書き出し、確認、発注元への連絡にもう1日必要なら、さらに前倒しです。
相手から返事が来るかどうかは、こちらでは決められません。でも、納品日を守るために、いつから自分で動き出すか。これは自分で決められます。まず、ここを紙に書いてください。
催促しながら、同時に素材を開く
――催促するだけでは足りない、ということですか?
新井:はい。メールをもう一度送る、電話をかける、いつものチャットにも送ってみる。連絡手段を変えて一度ずつ試すのは必要です。送った日時も残しておきましょう。
ただ、その間に手を止めてはいけません。素材が手元にあるなら、今の自分でどこまでできるかを確認します。編集済みのデータがないのか、途中までの素材はあるのか、元データだけなのか。どれなのかで、必要な時間はまるで変わります。
「返事が来たら考える」では、納品日に間に合わないかもしれません。返事を待ちながら、自分で取り戻せる範囲を確かめておきます。
夜しか作業時間がない方なら、なおさらですね。1日分の作業時間を「夜の2時間」として数え直すと、思っていたほど余裕がなかった、ということがよくあります。
関係を悪くしない催促文の書き方
――急かすと関係が悪くなるのでは、と心配する人も多いと思います。
新井:責める文章にしなければ大丈夫です。書くべきなのは、相手の事情を問い詰めることではありません。こちらの納品日、いつまでに何を返してほしいか、返事がない場合にどうするか。この3つです。
たとえば、こう書きます。「来週水曜に発注元へ納品予定です。明日18時までに、現在の進捗と、共有できるデータの有無を教えてください。ご返信がない場合は、こちらで編集を進めます」。
ここで「なぜ返事をくれないのですか?」と書いてしまうと、話が感情のほうへ寄ります。必要なのは、作業を前に進めるための情報です。返事の期限、ほしいデータ、次にすること。短く書けば十分です。
法律より前に、契約と納品責任を見る
――契約を解除して別の人に頼むかどうかは、どう判断すればいいでしょうか?
新井:ここは慎重にいきましょう。外注先が一人で仕事をしている方なら、仕事を頼む側として取引条件をきちんと示す義務が生じることもあります。ただ、その法律が「何日待てば解除していい」と一律に決めてくれるわけではありません。
まず見るのは、契約書や発注時のメールです。納品日、途中データの扱い、連絡が取れない場合の対応。これらが書いてあるかどうかを確認してください。契約解除や損害の話に進むなら、弁護士に相談する場面になります。動画の納品が迫っているなら、発注元へ迷惑をかけない動きと、記録を残す動き。この2つを先に優先します。
もちろん、支払いをしなくていいと自分で決めてしまうのも危険です。受け取った成果物、途中データ、約束した範囲、連絡記録。これらは分けて残しておきましょう。
次から同じことを起こさないための3点
――今回を乗り切ったあと、次から何を変えるとよいですか?
新井:外注そのものを怖がる必要はありませんよ。ただ、次からは最初に3つ決めておきましょう。
- 中間確認日:納品日の何日前に途中データを見るか
- 連絡手段:メール、電話、チャットのどれを正式な連絡とするか
- 共有データ:途中で止まった場合に、どのファイルを渡してもらうか
納品日が決まっている仕事では、最後の日だけ決めても足りません。途中で確認する日を入れておけば、10日も連絡がないまま納品直前を迎える事態は減らせます。
今回はまず、納品日から逆算して待つ期限を決めること。そして、催促しながら素材を開くこと。相手との関係を守ることと、発注元への納品責任を守ること。この2つは、同時に考えて構わないのです。記録を残すのも忘れずに。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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