会社員が起業で成功する秘訣は「桃太郎のおばあさん」にあった! 新井一が語るチャンスの掴み方
実績があっても問い合わせが来ない理由
――新井さん、今日は「プロフィールに実績を書いているのに申し込みが来ない」という相談です。長く仕事をしてきた人ほど、経歴や資格をしっかり載せますよね。
新井:載せますね。しかも、その経歴自体は本当に立派です。メーカーで25年、品質管理をしてきた。表彰もある。資格もある。普通に考えれば信用されそうでしょう? でも、問い合わせが来ないことはよくあります。理由は、実績の量が足りないからではなく、読み手が自分の困りごとをそこに当てはめられないからです。
――実績が多すぎると、かえって伝わらないのでしょうか?
新井:多いこと自体が悪いわけではありません。ただ、プロフィールの上から順に「私の経歴」「私の資格」「私の表彰」と並ぶと、読み手は「すごい人だな」で止まりやすい。大事なのは、その次です。「では、この人に何を頼めるのか」「自分のケースも相談していいのか」が見えないと、問い合わせフォームを押す理由が生まれません。
読み手は3か所で引き返している
――問い合わせ前に、読み手はどこで止まるのでしょう?
新井:大きく3つあります。1つ目は、相手が自分だと分からないこと。たとえば「品質管理25年」と書いてあっても、中小工場の現場改善を頼みたい人が「うちのような小さい会社でも頼めるのかな」と思ったら止まります。2つ目は、頼める範囲が分からないこと。診断だけなのか、改善案までなのか、現場の会議まで入るのか。ここが曖昧だと、声をかけにくい。
――3つ目は何ですか?
新井:声のかけ方が分からないことです。料金、所要時間、最初に何を送ればいいか。このあたりがないと、問い合わせがいきなり大きな見積もり依頼に見えてしまう。読み手は忙しいですから、「ちょっと聞いてみよう」ではなく「面倒そうだから後で」に変わります。そして、その後はだいたい戻ってきません。
――実績を書く前に、頼み方の入口を作る必要があるのですね。
新井:そうです。プロフィールは自分を説明する場所であると同時に、相手が「自分の用件を置けるか」を試す場所です。だから、最初に置くべきなのは経歴の一覧ではなく、誰のどんな場面をどこまで手伝うか。この3行です。
実績を消すのではなく、順番を変える
――では、実績や資格は控えめにしたほうがいいのでしょうか?
新井:そこは違います。実績を消す必要はありません。むしろ、資格や許認可、法人の審査、公共団体との取引などでは、実績を明示しないと判断材料になりません。問題は量ではなく順番です。読み手が「私のことだ」と分かる前に立派な経歴を浴びせると、遠い人に見えてしまう。
――「すごい人だから、自分が頼む相手ではない」と思われることもありそうです。
新井:あります。強みは、出し方を間違えると距離になります。だから最初の3行で、「町工場の現場改善を、初回2時間のヒアリングから手伝います」「会議の進め方と引き継ぎ資料の整理を、1回単位で相談できます」のように、頼む場面を見せる。経歴はその後に置けば、安心材料として効きます。
――経歴を弱めるのではなく、読み手が入れる入口を先に置くわけですね。
新井:まさにそうです。起業は、自分のすごさを見せる競争ではありません。相手が「この人なら、いまの困りごとを話せそうだ」と思えるかどうかです。
問い合わせが止まっている場所を数字で見る
――プロフィールを直す前に、何を見ればいいですか?
新井:まずは、問い合わせページを開いた人の数と、実際に送信された数を見てください。半年で閲覧があるのに送信が少ないなら、集客以前にページの中で止まっています。読まれていないのではなく、読んだ後に判断できていない可能性が高い。
――アクセスが少ないと、すぐ告知を増やしたくなります。
新井:気持ちは分かります。でも、新しい告知を増やす前に、いま来ている人がどこで止まっているかを見たほうが早いことがあります。プロフィールの冒頭に、誰を手伝うか、どこまでやるか、いくらから頼めるかを置く。最小の相談単位を見せる。これだけで、問い合わせの重さはかなり変わります。
――料金も最初から書いたほうがいいですか?
新井:全部の料金表でなくていいです。最初の入口だけで十分です。「初回相談60分」「現場確認1回」「資料の見直し一式」のように、頼める単位を置く。金額の目安があると、読み手は自分の予定に当てはめられます。逆に何もないと、問い合わせた瞬間に大きな契約の話になる気がして、手が止まります。
最初の3行に置くべきこと
――具体的には、プロフィールの最初の3行をどう直せばいいのでしょう?
新井:1行目は「誰を手伝うか」。業種だけでなく、相手が置かれている場面まで書きます。2行目は「どこまでやるか」。引き受ける範囲と、引き受けない範囲を短く見せる。3行目は「いくらから頼めるか」。最小単位と金額の目安ですね。
――たとえば、品質管理の方ならどうなりますか?
新井:「中小工場で、不良の原因が現場内で共有されず再発しているチームへ」「初回は工程確認と改善候補の整理まで」「2時間相談から対応します」。こんな感じです。これなら、読み手は自分の現場を当てはめられます。その後に25年の経験、資格、表彰を書けば、信頼の裏付けになります。
――書いた後は、自分で読めば判断できますか?
新井:できれば、あなたの今の仕事をまだ詳しく知らない人に読んでもらってください。そして「何を頼めそうだと思いましたか」と聞く。返ってきた答えが、読み手に届いている内容です。狙いと違う答えが返ってきたら、そこが直す場所です。
――最後に、実績はあるのに申し込みが来ない人へ一言お願いします。
新井:実績を捨てなくて大丈夫です。足す必要もありません。直すのは経歴ではなく、読み手が最初に見る3行です。自分の説明から始めるのではなく、相手が頼む場面から始める。そこが変わると、同じ実績でも届き方が変わりますよ。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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