AI副業で月5万円稼いだら次に何をすべきか?
実家に戻るのは負けではなく固定費の見直し
――新井さん、起業準備を進めたいけれど都心の家賃が重くて、実家に戻るか迷う会社員は多いのでしょうか?
新井:多いですね。特に30代後半で独身、会社では営業や専門職を続けてきた方ほど、「実家に戻ると負けた気がする」と感じやすいです。でも、起業準備で見るべきなのは気分ではなく固定費です。家賃を月5万〜7万円下げられるなら、1年で60万〜84万円の支出を止められます。これは売上を増やすのと同じくらい大きな効果がありますよ。
――親のスネかじりに見られそうで、そこが気になります。
新井:そこは、戻り方を決めないまま帰るから不安になるのです。実家に戻るかどうかではなく、戻ったあとの契約を先に作れるかで判断してください。家事の分担、親への説明、介護が前倒しになった場合の扱い、いつ出るか。この4つを紙にしておけば、甘える帰省ではなく、生活費を圧縮して起業準備を進める一時的な設計になります。
三つの選択肢を数字で並べて比べる
――「戻るか、戻らないか」の二択で悩んでしまいます。どう整理すればいいですか?
新井:二択にしないことです。まず、都市に残って家賃を払い続ける型、実家にいきなり戻る型、期限付きで一時撤退する型の三つに分けます。おすすめは三つ目ですね。都市に残れば固定費は下がりません。いきなり戻ると、期間がなくなってだらだら同居になりやすい。期限付きの一時撤退だけが、家賃圧縮と退路の確保を両立できます。
――数字で見ると、気持ちの問題だけではなくなりますね。
新井:そうです。今の家賃、光熱費、通信費、食費、交際費を1枚に書く。次に、実家へ戻った場合の家賃ゼロ、または家に入れる生活費を入れて、差額を出す。たとえば月7万円浮くなら、営業資料、商談環境、試作品、学習費にどれだけ回せるかまで見ます。固定費を下げる目的は、楽をすることではなく、起業準備の可動域を作ることです。
親と先に決めたい4つの条件
――実家に戻る前に、親とは何を話しておくべきでしょう?
新井:4つあります。1つ目は家事負担です。食事、洗濯、掃除をどう分けるか。2つ目は親の目線です。親戚や近所にどう説明するかを、親が困らない言葉にしておく。3つ目は介護の前倒しです。親の体調変化が見えたとき、自分の起業準備をどこまで優先するか。4つ目は退路、つまり卒業条件です。何年後に出るのか、月商いくらで出るのかを決めます。
――口約束では弱いですか?
新井:弱いですね。親子ほど「言わなくても分かる」で揉めます。紙に書くのは冷たいからではありません。お互いの不安を減らすためです。「2年だけ戻る」「月商10万円が3カ月続いたら部屋を借りる」「家事は平日夜と日曜を担当する」など、見える形にしてください。期限のある滞在と、期限のない同居はまったく別物ですよ。
期限を決めると実家は準備の拠点になる
――実家に戻ると、外に出る気力がなくなるのではという心配もあります。
新井:それは本当にあります。だから期限を先に決めます。あるIT営業の方は、都心の家賃が重く、実家に戻るか迷っていました。最初は「地元に戻ったら市場が狭くなる」と思っていたのですが、駅前の廃業店舗と新規出店を自分で歩いて数え、市の商工データも見直した。すると、オンライン商談が中心の自分には、都市に残る意味は気分以上には見つかりませんでした。
――実際に戻った後はどうなったのでしょう?
新井:その方は2年の期限付きで戻りました。家賃は月7万円台からほぼゼロへ、生活費全体もかなり下がりました。浮いたお金をリモート商談の環境整備と営業ツールに回し、半年後には勤務先の外で受ける案件が月10万円ほど積み上がった。良かったのは、戻る前に親と4条件を紙で決めていたことです。家事と期限が見えていたので、実家にいても起業準備を優先する空気を保てました。
生活費の紙1枚が話し合いを落ち着かせる
――迷っている人が、今日できる一歩は何でしょうか?
新井:直近1カ月の支出を、家賃、光熱費、通信費、食費、交際費に分けて書き出してください。そのうえで、家賃をゼロにした場合、家に生活費を入れた場合、都市に残った場合の3パターンを並べる。ここまでやると、親と話す内容も「戻りたい」ではなく、「この条件なら1年でいくら準備費が作れる」に変わります。
――数字があると、親も安心しやすそうです。
新井:そうです。親が心配しているのは、あなたが甘えるかどうかだけではありません。いつまで続くのか、生活は崩れないのか、自分たちに負担が来ないのかです。そこへ数字と期限で答える。起業準備で実家に戻るのは、恥ずかしい選択ではありません。ただし、契約なしで戻るのは危ない。固定費を下げ、期限を決め、浮いたお金を起業準備に回す。この形にできるなら、実家は十分に使える準備拠点になります。
――戻るかどうかより、戻る前に何を決めるかが大切なのですね。ありがとうございました。
新井:こちらこそ、ありがとうございました。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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