朝30分しかない会社員が起業準備を続ける3行メモの作り方

新井一

新井一

テーマ:起業

30分は足りない時間ではない

――新井さん、今日は「朝の30分で起業準備は進むのか」というテーマで伺います。小さいお子さんがいて、出勤前の30分しか自分の時間が取れない方でも、本当に準備は進むのでしょうか?

新井:進みます。むしろ、時間が限られている人のほうが、余計なことを削れる場合があります。起業準備というと、何時間も勉強したり、立派な事業計画を作ったりするイメージがあるでしょう。でも最初に必要なのは、長時間の作業ではなく毎日同じ時間に小さく記録する習慣です。

――30分で何かを完成させようとしなくていいのですね。

新井:はい。完成を目指すと、できなかった日がすぐ失敗になります。朝の30分は、作る時間ではなく観察する時間にします。昨日、誰に何を聞かれたか。自分が苦もなく片づけたことは何か。仕事や家庭で、少しだけ工夫したことは何か。それを1行で残すだけで十分です。

勤めながら次を探す人は増えている

――会社員のまま次の一歩を考える人も増えているのでしょうか?

新井:増えています。総務省の令和4年就業構造基本調査では、今の仕事を続けながら別の仕事もしたいと考える追加就業希望者が493万人にのぼり、5年前より約93万人増えています。まとまった時間がある人だけが動いているわけではありません。

――細切れの時間で進めている人も多いのですね。

新井:そうです。だから「朝の30分しかない」と考えるより、「朝の30分なら毎日触れられる」と見方を変えることが大切です。起業準備は、週末に気合いでまとめて進めるより、生活の中に小さく置いたほうが続きます。特に子育て中や通勤前の人は、時間を増やすより、起きてから最初に何を見るかを決めるほうが現実的です。

検索より昨日の出来事を書く

――朝の30分を情報収集に使うのはどうでしょうか?

新井:最初の数週間は、検索を閉じたほうがいいですね。起業の情報は多すぎます。読めば読むほど、他人の成功例と自分の生活を比べて「まだ無理だ」と感じやすい。朝は、外の情報より自分の足元を拾う時間にしたほうがいいです。

――具体的には何を書けばいいですか?

新井:3行だけで十分です。1行目は「昨日、人に聞かれたこと」。2行目は「自分が迷わずできたこと」。3行目は「それを誰に説明できそうか」。資料の直し方、予約の段取り、家計のメモ、子どもの予定管理。小さく見えることほど、人に渡せる価値になりやすいですよ。

半年続けると90時間の材料になる

――毎日30分では少なすぎる気もします。

新井:平日だけでも半年続ければ、合計で90時間ほどになります。これは大きいですよ。大事なのは1日で大きく進むことではなく、毎日同じ場所に材料を残すことです。メモがたまると、自分が何度も頼られていること、何度も説明していることが見えてきます。

――時間を増やすより、続けることが先なのですね。

新井:そうです。30分を45分に伸ばそうとすると、急に重くなります。まずは「起きたらメモを開く」だけでいい。内容の質はあとから上がります。習慣ができる前に質を求めると、続かなくなりますから。

新井:たとえば職場で後輩に資料作成をよく聞かれていた人が、朝の30分で説明の手順をメモし始めたケースがあります。最初から商品を作ったわけではありません。自分が何度も説明してきたことを、1つずつ言葉にしていったのです。

明日の朝は3行だけで始める

――読者が明日の朝に始めるなら、何をすればいいでしょうか?

新井:まずは3行だけ書いてください。「昨日、人に聞かれたこと」「自分が迷わずできたこと」「それを誰に説明できそうか」。書けない日があっても、翌日に戻れば大丈夫です。完璧な記録ではなく、続く記録を目指してください。

――それなら、忙しい会社員でもできそうです。

新井:できます。起業準備は、長い時間が取れる人だけのものではありません。短い時間を毎日同じ場所に置くから、生活を壊さずに進められる。朝30分は、会社員のまま小さく始める人にとって、十分に強い味方になりますよ。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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