会社員起業の新常識! 新井一が明かす「小さく始めて大きく育てる」成功メソッド
強みがないのではなく見ている場所が違う
――新井さん、「自分には売れる強みがありません」という会社員の方は多いですか?
新井:多いですね。特に40代、50代の方は、長く会社で働いてきたぶん、自分の仕事を「普通」と思い込みやすいです。資格がない、表彰されたことがない、特別な実績がない。そう言って止まってしまう。でも実際には、強みがないのではなく、強みを見る場所が少し違っていることが多いですよ。
――どこを見ればよいのでしょうか?
新井:まず見るべきは、資格欄ではなく「人から頼まれてきたこと」です。何度も頼まれることには、本人が気づいていない価値が隠れています。同僚が面倒がるのに自分は苦にならない作業、上司から毎回任される調整、家族や友人に相談されること。ここが入口です。
頼まれごとは小さな市場のサインになる
――頼まれごとが、起業準備につながるのですか?
新井:つながります。たとえば在庫管理をいつも頼まれる人なら、整理の仕方やミスを減らす工夫を持っているかもしれない。クレーム対応を任される人なら、相手の不安をほどく言葉を知っているかもしれない。本人にとっては日常でも、困っている人から見ると助かる力なのです。
――大きな実績でなくてもいいのですね。
新井:いいのです。起業準備の最初は、大きな肩書きを作ることではありません。「この困りごとなら、自分は少し役に立てるかもしれない」という仮説を見つけることです。頼まれごとは、その仮説を探すための現実的な手がかりになります。
棚卸しはできることより場面から始める
――強みの棚卸しというと、スキル一覧を作るイメージがあります。
新井:それだと苦しくなりますね。「Excelができます」「接客ができます」と書いても、それだけでは売り物になりにくい。おすすめは、場面から書くことです。「急なトラブルで誰かに呼ばれた場面」「説明が苦手な人を助けた場面」「散らかった情報を整えた場面」。場面で書くと、誰のどんな困りごとに役立つかが見えます。
――確かに、スキル名だけより具体的です。
新井:そうです。起業はスキルの見せびらかしではありません。困っている人に、どんな状態からどんな状態へ移ってもらうか。その変化を作れるかが大事です。場面で棚卸しすると、その変化が見えやすくなります。
売れるかどうかは小さく聞いて確かめる
――強みらしきものが見つかったら、次はどうすればよいですか?
新井:いきなり商品化しないで、まず小さく聞いてください。「この整理のやり方、困っている人はいますか」「こんなチェック表があったら使いますか」と身近な人に聞く。反応があれば、無料の相談や短い説明資料にして試す。ここで大切なのは、売れると決めつけないことです。
――反応を見るのが怖い人もいそうです。
新井:怖いですよね。でも、頭の中だけで半年悩むより、身近な3人に聞くほうがずっと前に進みます。反応が薄ければ言い方を変えればいい。違う場面を探せばいい。起業準備は、自分の価値を一発で当てる作業ではなく、反応を見ながら絞る作業なのです。
普通に続けてきた仕事ほど入口になる
――最後に、強みがないと感じている会社員の方へ伝えたいことはありますか?
新井:普通に続けてきた仕事を、軽く見ないでほしいですね。18年同じ会社にいた、ずっと調整役だった、トラブル対応をしてきた。そういう経験は、外から見ると価値があります。ただし、そのままでは伝わりません。頼まれごとを棚卸しし、場面に直し、誰の困りごとに役立つかを言葉にする。ここから始めれば十分です。
――資格がなくても、入口は作れるのですね。
新井:作れます。むしろ、今ある生活と仕事の中から見つけるほうが、無理がありません。会社員のまま小さく準備するなら、最初の資源は「自分がすでに頼られてきたこと」です。そこに気づくことが、起業準備の最初の一歩になります。
――棚卸しなら、今日から始められますね。
新井:そうですね。特別な道具はいりません。紙に10個、頼まれごとを書くだけで十分です。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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