なぜ起業したい大人の9割が挫折するのか?~起業18フォーラム代表・新井一氏が語る「本当の理由」と突破法~
時間がない人ほど一日を大きく見すぎている
――新井さん、会社員の方から「起業準備をしたいけれど時間がない」という相談は多いですか?
新井:とても多いですね。でも、話を聞くと本当に時間が一秒もないわけではありません。多くの場合、準備の時間を「一日まるごと空いたらやる」と考えているのですよ。会社員の生活で、そんな日はめったに来ません。起業準備は大きな休日にまとめるより、朝、通勤、昼、夜、週末に役割を分けるほうが続きます。
――時間を増やすより、置き場所を決めるということですね。
新井:そうです。たとえば朝は考える時間、通勤は聞く時間、昼は一行メモ、夜は整理、週末は試す時間。こんなふうに分けるだけで、同じ24時間でも進み方が変わります。起業準備は気合いではなく設計なのです。
朝は考える作業だけに絞る
――朝の時間は、具体的に何をするとよいのでしょうか?
新井:朝は頭が冴えてますから、企画や判断に使うのが向いています。「誰の役に立ちたいか」「何を売るのか」「なぜ自分がやるのか」を紙に書く。これだけで十分です。メール返信や調べものから始めると、せっかくの朝が細かい作業で埋まってしまいます。
――30分くらいでも意味がありますか?
新井:あります。むしろ30分で区切るほうがいい。前の晩に「明日の朝はサービス対象を一行で書く」と決めて寝る。朝になってから何をするか迷わない。ここが大事ですね。迷う時間を減らすだけで、準備はかなり進みます。
通勤と昼休みは小さな材料集めに使う
――通勤時間は、手を動かしにくいですよね。
新井:だから通勤はインプット専用でいいのです。音声を聞く、本を数ページ読む、気になった言葉をスマホに残す。資料作成をしようとすると無理が出ますが、材料集めならできます。昼休みも同じで、長い作業を置かず、一行だけメモするくらいが現実的です。
――小さすぎる気もしますが、それで変わるのでしょうか?
新井:変わりますよ。起業準備で止まる人は、頭の中だけで考え続けます。1日1行でも外に出すと、次の判断材料になります。「この悩みは誰に聞けばよいか」「この言葉はお客様に伝わるか」と考えられる。小さな記録は、あとで企画の土台になります。
夜は新しい判断をしないほうが続く
――夜にまとまった時間を取る人も多そうです。
新井:夜は使えますが、重い判断には向きません。仕事で疲れたあとに「起業テーマを決めるぞ」とやると、しんどくなります。夜は朝や昼に集めたメモを見直す、明日の朝にやることを決める、資料を一つだけ整理する。そういう軽い作業が向いています。
――夜に頑張りすぎると、次の日が続かないのですね。
新井:そうです。会社員のまま準備するなら、生活を壊さないことが前提です。夜更かしで数日だけ進めても、体調を崩したら止まります。起業は短距離走ではありません。続く時間割を作ることが、最初の実力になります。
週末は試す時間として使う
――週末は何に使うのがよいでしょう?
新井:週末は試す時間です。平日に考えたことを、誰かに話してみる。小さな告知文を書いてみる。サービスの説明を3分で話して録音する。いきなり大きな副業を始める必要はありません。週末は「決める日」ではなく「確かめる日」にすると、失敗の怖さが小さくなります。
――完璧な準備より、小さな確認なのですね。
新井:その通りです。会社員の方は、時間を一気に空けようとしがちです。でも本当に必要なのは、毎日の中に置ける小さな役割です。朝に考え、通勤で学び、昼にメモし、夜に整え、週末に試す。この流れができると、起業準備は生活の中に入っていきます。
――時間割を作るだけでも、最初の一歩になりそうです。
新井:はい。完璧な計画はいりません。まず1週間だけ、朝に考えること、昼に残す一行、週末に試すことを決めてみる。それだけで「いつかやる」が「今日少しやる」に変わります。小さく続く形にした人が、結局いちばん遠くまで進みますよ。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
→ 新井一のセミナー日程一覧


