繁忙期に「起業準備の時間がゼロ」になったとき、本当にやるべきこと

新井一

新井一

テーマ:起業

「繁忙期が明けたら動く」は、永遠に来ない

――新井さん、今日は「本業が忙しすぎて起業準備の時間がまったく取れない」というテーマでお話を伺います。帰宅が22時を過ぎる、週末も出勤が続く……そんな状況でも、起業準備は続けられるものですか?

新井:まず正直に言うと、「繁忙期が明けたら再スタートしよう」という考え方には注意が必要です。繁忙期の次はまた別の忙しい時期が来ますから。「繁忙期が明けたら」は、永遠に来ないことが多いのです。

――それは耳が痛い話ですね……。決算期、大型プロジェクトの追い込み、繁忙期ってローテーションで来ますものね。

新井:そうです。「落ち着いたら動こう」が「いつまで経っても動けない」につながる。現場で本当によく見る光景ですよ。ただ、だからといって「忙しくても無理して動け」という話でもないのです。繁忙期には繁忙期に合った過ごし方がある。

目標は「前進」ではなく「習慣の維持」

――繁忙期の正しい過ごし方とは?

新井:目標を下げることです。繁忙期の目標は「前進」ではなく「習慣を維持すること」。週に1回、10分だけでも起業準備に関する何かをする。これだけを目標にしてください。

――10分でいいのですか?

新井:完全にゼロにした状態と、週1回10分続けた状態では、繁忙期明けの再起動速度がまったく違いますよ。「エンジンを止めるか、アイドリング状態にするか」の差です。たとえば通勤電車の中で起業に関する記事を1本読む、週末の朝10分だけアイデアメモを見返す。それで十分なのです。

――心のどこかに「起業準備中」という意識を持ち続けることが大切ですね。

新井:「今は意図的に休止中」という意識があれば、繁忙期が終わったときにすっと戻ってこられます。「すっかり忘れていた」と「意識的に休んでいた」は、再スタートの速さが全然違いますよ。

繁忙期は実は「観察期間」でもある

――忙しい時期でも、何か起業準備につながることはできますか?

新井:これが面白いのですが、繁忙期ほど気づきが多い時期はないのですよ。本業で忙しくなる場面、自分が得意なこと、苦手なこと、同僚との比較で見えてくる「自分にしかできないこと」。これがすべて起業のタネになります。

――具体的にはどんな観察をすればいいですか?

新井:「この仕事の何が好きか」「なぜ自分はこの作業が人より早いのか」「顧客がいつも困っているポイントはどこか」。これを言語化するだけでいい。意識して観察するだけで、繁忙期が「起業準備の素材収集期間」に変わります。

――本業の中に、起業のネタが眠っているということですね。

新井:そうです。ただひとつ注意があって。意識しすぎて本業のパフォーマンスを落とすのは避けてください。会社員でいる間の信用は、起業後の人脈に直接影響しますから。「どうせ辞めるから」という態度になると、後で痛い目に遭う(笑)

繁忙期明けに「すぐ動ける準備」を今しておく

――繁忙期の間にできる具体的な行動はありますか?

新井:3つあります。「繁忙期明けにやること」をリストにして保存しておく。気になったキーワードやアイデアをメモアプリに放り込んでおく。参加したいセミナーを調べてカレンダーに入れておく。この3つです。

――行動の準備を、今のうちにしておくということですね。

新井:「繁忙期が明けたら動く」ではなく「繁忙期が明けたらすぐ動ける状態を今作っておく」という発想の転換です。繁忙期中に「こんなセミナーがあるな」と調べておくだけで、繁忙期明けの初動が変わる。それだけで全然違いますよ。

――本業の忙しい時期も、無駄にしなくていいのですね。

新井:繁忙期があること自体は問題ではありません。繁忙期を「完全な停止」にしてしまうかどうかが分岐点です。10分でもつながっていれば、再スタートのコストは大幅に下がります。

多忙な職種ほど、起業の資産が蓄積される

――「本業が忙しい人は起業準備に向いていない」という声もありますが、実際はどうですか?

新井:まったく逆ですよ。多忙な仕事ほど、業務知識・マネジメント経験・顧客対応スキルが蓄積されています。それが起業の資産になります。起業準備に「向いている仕事」はなく、「向き合い方」の問題です。

――起業準備とは、特別な時間に特別なことをする……ではないのかもしれませんね。

新井:日常の中に「起業の種を見つけようとする目線」を持つことが、最初の一歩です。繁忙期はその目線を鍛える絶好の機会でもありますよ。焦らず、でも完全に止めない。それが繁忙期の正しい起業準備だと思っています。

――今日はとても参考になりました。ありがとうございました!

新井:こちらこそ、ありがとうございました。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、26年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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