起業にセンスは関係なかった。「平凡な自分」こそが最大の武器になる理由

新井一

新井一

テーマ:起業

「センスがある人は最初から有利」は本当か

――新井さん、起業を考えている会社員の方から「自分にはセンスや才能がない」という悩みを聞くことがあります。新井さんのところにも、こういった相談は来ますか?

新井:多いですよ。「周りを見ると発信が上手い人、アイデアが豊富な人、行動力のある人ばかりで、自分には起業に向いているセンスや才能がない」という相談は、起業準備を始めたばかりの方から本当によく届きます。特にSNSで成功している人の投稿を毎日見ていると、余計にそう感じてしまうのかもしれませんね。

――センスや才能がないと、起業は難しいのでしょうか?

新井:難しくならないですよ。センスは起業の成否を決めません。長く現場を見てきて、「センスがある人が起業に成功し、センスがない人が失敗した」というパターンはほぼ見たことがありません。成否を分けるのは、センスや才能とはまったく別の要素なのです。

「あの人はなぜ速いのか」の本当の理由

――とはいえ、発信が上手い人がすぐにフォロワーを伸ばしたり、アイデアが豊富な人がさっさと動き出したりするケースも実際にありますよね。

新井:ありますよ。ただ、それを「センスがある」と見るのが間違いで。実態をよく見ると、だいたい3つのどれかが起きています。「センスがある」のではなく「すでに試行錯誤の量が多い」、「才能がある」のではなく「顧客像を一人に絞り込むのが早かった」、「行動力がある」のではなく「失敗を許容できる精神的な余裕がある」。このどれかです。

――センスに見えるのは、量か設計か余裕の差ということですね。

新井:そうです。起業準備の現場で見えてくる「センスのように見えるもの」のほとんどは、準備の順番が正しいことと、試行錯誤の積み重ねです。最初から持っている才能ではない。だから「センスがない自分は不利だ」と感じる必要は、まったくないですよ。

「平凡だ」という自覚が起業最大の武器になる

――「自分は平凡だ」という感覚は、起業においてマイナスだと思っていたのですが……。

新井:逆なのですよ。「自分は平凡だ」という自覚は、起業準備における強みになります。なぜかというと、あなたが「平凡」だと感じていることは、同じように「自分は普通だ」と感じている多くの顧客候補と共通しているからです。

――顧客と同じ感覚を持っているということですか。

新井:そうです。突出したセンスを持つ人は「平凡な顧客の気持ち」を理解するのが難しいのですよ。「なぜこれがわからないのか」となりやすい。でも自分を「平凡だ」と感じてきた人は、同じ感覚を持つ人の悩みに深く共感できます。これが実際の差別化につながります。

――実際にそういったケースを見てきていますか?

新井:何百件もあります。起業18フォーラムでも「自分は平凡です」とおっしゃっていた方が大きな収益を出すケースを、ここ数年で数えきれないほど見てきています。感覚的な話ではなくて、センスや才能を感じる方よりも「自分は普通です」という方の方が、着実に結果を出すことが多いというのが実態です。

センスより成否を分ける「本当の要素」

――では具体的に、センスよりも成否を分けるものは何でしょうか?

新井:まず一つ目は、「誰に届けるか」を早く一人に絞れるかどうか。漠然と「多くの人に届けたい」と考えているうちは最初の一歩がなかなか出ない。具体的な一人に絞り込めると、何をすべきかが一気に見えてきます。

――二つ目は?

新井:完璧主義を手放せるかどうかです。20点の状態でも出せる人と、100点にならないと出せない人では、スピードが全然違います。「センスがない」と感じている方は完璧にしてから出そうとする傾向が強い(笑) でもそれが最もよくないパターンです。

――センスに自信がないからこそ、完璧にしようとしてしまうのかもしれませんね。

新井:そこなのですよ。あとは、断られても次の相手に話しかけ続けられるかどうか。起業準備の初期は断られることの方が多い。そこで諦めない人が結果を出しています。センスとは完全に無関係な話です。

「平凡な自分」のままで起業準備を始めるには

――センスよりも設計と行動量が大事だとわかりました。センスがないと感じている方は、まず何から始めればいいですか?

新井:まず「誰に届けるか」を決めることです。「〇〇に困っている〇〇な人」というように、できるだけ具体的な一人を設定する。その人が「自分のことを言っている」と感じるメッセージを届けられるようになると、前に動き始めます。

――「すごいコンテンツを作ろう」としなくていいわけですね。

新井:むしろ作らなくていいのですよ。「ある一人が今日の悩みを解決できる情報を届ける」ことに集中する。そこから始めれば、センスがなくてもきちんと前に進めます。「平凡な自分をそのまま使える起業準備」が、一番遠回りしない方法ですよ。

――自分を変えようとするのではなく、今の自分を活かす、ということですね。今日はとても参考になりました。ありがとうございました!

新井:こちらこそ、ありがとうございました。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

新井一のセミナー日程一覧

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

新井一プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

新井一
専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、26年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

稼ぎ力を引き出す起業支援キャリアカウンセラー

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のビジネス
  4. 東京の起業・会社設立
  5. 新井一
  6. コラム一覧
  7. 起業にセンスは関係なかった。「平凡な自分」こそが最大の武器になる理由

新井一プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼