起業したいのに家族が反対! 起業支援の専門家が明かす「離婚せずに応援される起業準備法」
「公務員だから起業準備できない」は思い込みかもしれない
――新井さん、最近「公務員でも起業準備はできますか?」という相談が増えているそうですね。
新井:そうですね。2026年に国家公務員の兼業規制が緩和されたというニュースが出てから、「自分も動いていいのか」という問い合わせが増えました。地方公務員の方からが多いですよ。
――地方公務員の方は、同じく規制が緩和されたと思ってよいのでしょうか?
新井:ここが大事なポイントなのですが、2026年の規制緩和は国家公務員の兼業規制に関するもので、地方公務員には自動的には適用されません。地方公務員法の第38条によって、首長等の許可なしに「営利企業への従事」が制限されています。「国が解禁したから自分も自由だ」という理解は間違いですよ。
――それは知らなかった方も多そうです……。
新井:まず自分の職場の就業規則と人事規定を確認することが第一歩ですよ。「市役所勤務だから国の法律は関係ない」という理解は正しいのですが、逆に「国が解禁したから自由だ」も間違い。自分の自治体の規定が基準になります。
法律が制限するのは「報酬を受け取る行為」
――では、公務員は起業の準備も一切できないのでしょうか?
新井:そんなことはないですよ。法的な制限がかかるのは「営利活動」=報酬を受け取る行為に対してです。報酬が発生しない準備活動のほとんどは、制限の対象外なのです。
――具体的に、「準備」として認められる活動にはどんなものがありますか?
新井:起業に関する書籍やセミナーでの学習、ビジネスプランの作成や市場調査、将来の事業テーマのリサーチ、将来の顧客候補との情報交換(報酬なし)……これらはまったく問題ありません。つまり、「学ぶ・考える・準備する」は自由で、「稼ぐ」には許可が必要、ということですよ。
――反対に、気をつけるべきラインはどこでしょう?
新井:「報酬を受け取ること」「屋号で取引を行うこと」「継続的に事業活動をすること」は、許可なしに行うと職場の規定違反になる可能性があります。特に開業届の提出は「事業の開始」とみなされるため、在職中に出すかどうかは職場の規定と照らし合わせて慎重に判断してください。隠れてやるより、ルートを確認してオープンに進めるほうが絶対に安全ですよ。
許可申請のルートを今から調べておく
――将来的に兼業の許可を取りたい場合は、どこから動けばいいですか?
新井:今から職場内の手続きを確認しておくだけで全然違います。「許可を申請したいのですが、手続きを教えてください」と人事担当に聞くこと自体は何も問題ない。聞くだけなら違反じゃないですから(笑) 隠れてやるより、正攻法で確認したほうが安心できますよ。
――相談して怪しまれないか、不安な方もいると思いますが……。
新井:「副業の申請ルートを知りたい」という文脈なら自然です。自治体によっては農業・不動産賃貸・講演など、一定の条件で兼業が許可されているケースもあります。「自分の自治体では何が認められているか」を調べるだけで、選択肢がぐっと広がりますよ。
公務員が今すぐ始められる起業準備
――公務員として、今すぐ動けることをまとめてもらえますか?
新井:まず、自分のスキル・経験の棚卸しを静かにやることです。報酬なし、社外への発信なし、あくまで個人的な作業として。ビジネスプランの草案を作ること、職場の人事担当へ許可申請の手続きを確認すること、地域の創業支援相談窓口への相談(匿名でも可)……これらは今日からでも始められます。
――起業準備は「退職してから」でないとできないと思っていました。
新井:それ、本当に多い勘違いです。「起業準備」と「報酬を得る事業活動」は別物ですよ。在職中に準備を重ねて、退職後に本格始動するのが最もリスクの小さい形です。公務員であることは、起業準備を「できない」理由にはなりません。制限があることを正確に理解した上で、できることから始める。これが一番確実な進め方ですよ。
――公務員の方にとって、とても実践的なお話をありがとうございました!
新井:こちらこそ、ありがとうございました。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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