「50代女性がスキルなしで月30万稼げる」は本当か? 起業支援25年のプロが語る正しい準備法
看護師には、起業の素質がすでにある
――新井さん、看護師の方から「起業したい」という相談は多いのでしょうか。
新井:多いですよ。医療現場で働く看護師さんからのご相談は、本当にたくさんいただいています。そして毎回感じることがあって。看護師という仕事は、起業との相性が抜群なのです。
――それはなぜですか?
新井:「傾聴力」「問題解決力」「信頼を得る力」、この3つを、看護師さんは現場の中で毎日自然に鍛えているじゃないですか。どんなビジネスにも直結するスキルです。ところが多くの看護師さんは「私には起業なんて……」と思っている。理由を聞くと、だいたい同じ答えが返ってきますよ。「新しいアイデアがない」と。
――確かに「起業=ゼロから新しいものを生み出す」というイメージがありますよね。
新井:それが最大の思い込みです。看護師として積み上げてきた経験と信頼、それがそのままビジネスの核になります。新しいことに挑戦しなくていい。自分の才能に気づく。まずはそれだけでいいですよ。
「訪問看護しかない」という視野の狭さ
――看護師が起業と聞くと、真っ先に訪問看護ステーションをイメージしますが。
新井:それが典型的な視野の狭さなのです(笑) 訪問看護は確かにひとつの選択肢です。ただ、開設するには常勤換算2.5人以上の看護職員の確保や都道府県への指定申請手続きが必要で、資金面でも相応の準備が求められる。それで「ハードルが高い……」と諦めてしまう方が多い。
――では実際、看護師さんにはどんな起業の選択肢があるのでしょう?
新井:たくさんあります。医療知識を活かしたオンライン講座、産後ケアや母子向けサービス、企業・メディアへの医療監修業、健康系YouTubeやブログ発信……。看護師の知識と信頼が直接ビジネスになる領域は、実はとても幅広いですよ。「訪問看護以外はないと思っていた」とおっしゃっていた方が、この話を聞いてパッと表情が変わる瞬間、何度も見てきました。
起業でつまずく看護師に共通するパターン
――看護師さんが起業で最初につまずくのは、どんな場面でしょうか?
新井:ほぼ共通しています。「良いサービスを作れば、利用者さんは来る」という思い込みです。医療の世界では、良い先生や優れた技術があれば患者さんが遠くから来てくれますよね。だから「ビジネスでも同じはず」と感じてしまう。
――でもそうはならない、と。
新井:そうです。訪問看護ステーションを開業して3カ月で相談にいらっしゃった方がいました。「利用者さんがほとんどいない」と言うから話を聞くと、開業の告知はケアマネジャーへの一度の挨拶のみ。他の集客活動は何もしていなかった。「開業すれば来るはず」という認識でいたのです。これは看護師さんだけでなく、医療従事者全体に共通するパターンです。
――それは切ないですね……。
新井:あなたが悪いわけじゃない。仕組みを知らなかっただけです。「良いサービスを作ること」と「お客様を集めること」は、まったく別のスキル。この認識の有無が、うまくいく看護師さんとそうでない看護師さんの大きな違いです。どちらのスキルも、学べばちゃんと身につきます。
看護師の強みをビジネスに変換する方法
――看護師としての経験をどうビジネスに変えるか、イメージが湧かない方も多いと思います。
新井:大切なのは「自分の経験の棚卸し」です。「得意だったこと」「患者さんにお礼を言われたこと」「後輩から相談されたこと」をリストアップする。そこから、ビジネスの種が見えてきます。
――具体的にはどんな強みが活かしやすいですか?
新井:たとえば傾聴・共感力が高い方は、コーチングやカウンセリング系との相性が非常に良いです。「話を聞いてもらうだけで楽になった」という体験を提供できる仕事は、社会的に需要が高まり続けています。あるいは、難しい医療知識を「一般の人がわかる言葉で伝える」のは、看護師にしかできない強みです。健康系YouTube、ブログ、オンライン講座で形にできます。重要なのは「医療知識×自分だけの経験」の掛け合わせです。医療知識だけなら同業他社と同じですが、そこに「私だけの経験」を加えることで、世界にひとつのポジションが生まれますよ。
会社員のまま、6カ月で起業の土台をつくる
――「辞めてから考える」という方もいますが、新井さんはどう見ていますか?
新井:むしろ在職中に準備することを、強くおすすめしています。看護師として安定した収入を確保しながら準備するほうが、判断を冷静に保てますし、失敗しても軌道修正できます。「辞めてから考える」は、精神的・経済的なプレッシャーが高すぎる。
――具体的に何から始めればいいでしょうか?
新井:最初の半年でやるべきことは明確です。自分の経験を棚卸しして「誰の何を解決できるか」を明確にすること、最初の1人のお客様を見つけること、SNSや自己発信で信頼の土台を少しずつ積み上げること。週に数時間の時間があれば、6カ月で土台を作ることができます。大きな投資も必要ありません。相談に来る方の多くが、初期費用50万円未満でスタートしていますよ。
――最後に、「起業したい」と考え始めた看護師さんへのメッセージをお願いします。
新井:あなたが毎日当たり前にやっていること、患者さんに「ありがとう」と言ってもらえること、後輩を一人前に育てたこと、そのすべてが、ビジネスになる種です。完璧な準備はいりません。まず「自分の棚卸し」から始めてみてください。あなたの一歩を、心から応援していますよ。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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