小学高学年に向けた、英語プレゼンのための宿題はこれだ!
自分が化石になったような石丸氏の衝撃。
Social-media populists have arrived in Japan.
東京都知事選で予想に反して第二位に躍進した石丸伸二氏のことを、英誌エコノミストは、日本の政治にこれまでいなかった「ソーシャルメディアのポピュリスト」と伝えています。
私自身は、石丸さんに投票しませんでしたが、その斬新な選挙戦術には、正直、自分がまるで化石になったような、衝撃を受けました。
YouTubeとTikTokを駆使し(空中戦)、その視聴者たちが彼の街頭演説に集まり(地上戦)、その様子が撮影、またSNSで拡散され、更にその姿を観ようとする人々が街頭に集まる。
この空中戦と地上戦の好循環で、石丸氏の支持者は、無党派層を中心に急増し、当初50万票取れれば御の字とされていた得票数は、165万8363票にもなりました。
ある出口調査によれば、18~29歳の42%が石丸に投票し、小池氏の27%、蓮舫氏の15%を大きく上回ったとのことです。
教育関係者として、石丸氏がこれだけ若者の支持を受けた理由を、なんとしても分析しなければと思います。
英語での模擬選挙で見えてきた石丸氏のメッセージ
当会の中高クラスでは、候補者を、小池氏、蓮舫氏、石丸氏の3人に絞り、英語での都知事選を開催しました。
模擬選挙の1か月前から授業で、3人のスローガン、マニフェスト含め、英語で理解を試みました。
そこで気づいたことがあります。
日本語と違い、主体と目的語を明確にする英語で各候補者のメッセージを理解する中で、石丸氏のメッセージに他の二人にはないある特徴が見えてきたのです。
★小池氏
“ We will protect lives, livelihoods and economy, and make Tokyo the best city
in the world,”
(私たちは東京都民の命と生活、経済を守り、東京を世界一の街にします。)
★蓮舫氏
“I want to eliminate the anxiety of young people and make Tokyo a comfortable place
to live. This is a measure against the declining birthrate that only I can take,”
(私は若者のの不安を取り除き、東京を住みやすい街にします。それが私にできる唯一の少子化対策です。)
★石丸氏
“Think about what you wish for and what you want to choose. Let us move together.”
(あなたたちが何を望み、何を選びたいのかを考えてください。共に前に進みましょう。)
小池氏と蓮舫氏は、we, I,が主語で、使役のmake(東京を~する)という構造は同じです。
それに対して、石丸氏は、自身を表す主語(I, we)は使わず、あくまでyou(有権者たち)に呼びかけるスタイルです。
そもそも、君たちは、一体東京をどうしたいの?と石丸氏は問いかけました。
しかし、実は、それこそ、そう簡単に答えが出ない、極めて難しい問いなのです。
だから、一緒に考えてこう!進んでいこう!と励ましもしました。
当会の今年のテーマは、日本の若者の幸福のパラドックス(ユニセフの調査によると、先進民主国の中で、日本の若者は身体的幸福は1位だが、精神的幸福はほぼ最下位。)の謎を解くことで、今回の模擬選挙もその一環でした。
そもそも、小池氏に命や生活を守ってもらえれば、蓮舫氏に不安を取り除いてもらえれば、若者たちの幸福感は高まるのでしょうか?
それは、もしかして、特に無党派若年層には「大きなお世話」なのかもしれません。
4位の田母神氏は、下北沢などわざわざ若者の街に行き、
「若者が結婚しないのは、所得が低いからです。若者の所得を増やします。」
とやたら演説していました。
所得が増えて、結婚できることが幸せの原則なのでしょうか?
良い学校に行って、良い会社に就職し、良い家庭を築き、健康な子どもを二人ばかり持つ。
その家庭では、お父さんが主な稼ぎ手で、お母さんが主に家事・育児を分担する、そんな昭和の理想像が、令和の今も潜在的な幸福基準となっています。
そろそろ、そんな幸福像を一旦白紙にし、様々な人々が広く幸福感を共有できる社会の在り方を、具体的にイメージする時期に日本社会は来ているのではないでしょうか。
それが幸福のパラドックスを解く鍵でもあり、石丸氏がSNS戦略以外に、若年層の心をうまくつかんだ理由の一つなのかもしれません。