学生納付特例 保険料を追納すべき?
社会保険加入要件について
社会保険(厚生年金、健康保険)の適用事業所は、株式会社などの事業所や、従業員が常時5人以上いる個人経営の事務所(除外される業種あり)などであり、適用事業所で常時使用される70歳未満の方は被保険者となります。
パートタイマーであっても、同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員と比べ、一日又は一週の所定労働時間が概ね4分の3以上で、一か月の所定労働日数が概ね4分の3以上である場合は加入しなければなりません。
「手取りを増やしたいから厚生年金には加入したくない」「年金制度は信用できないから健康保険だけ加入したい」と考える方もいるかもしれません。しかし、加入するかどうかは選択できるものではなく、要件を充たせば当然加入しなければいけないものです。
適用逃れは指導・調査からは逃れられない
しかし、労使で折半する保険料の負担を嫌がるなどして、社会保険に加入しない事業所が存在するのも事実です。
そのような未加入の事業所に対しては指導が行われており、それにより適用事業所となった事業所数も平成24年度約8,000件、25年度1万9,099件、26年度3万9,704件と年々増加しています。悪質なケースですと、場合によっては遡って適用事業所となり、保険料についても遡って納付(最大2年分)することもあります。
また、事業所としては社会保険に加入していたとしても、本来であれば社会保険に加入させなければならない従業員を加入させていないケースもあります。
昨年末に厚生労働省が公表した国民年金被保険者実態調査では、国民年金第1号被保険者の就業状況を基に、本来であれば厚生年金に加入しなければならない可能性のある労働者が、推計で約200万人程度いるとされました。
今後は、国税庁から法人番号(法人のマイナンバー)を添えた法人情報の提供を受け、適用逃れの疑いのある約79万事業所に調査票を送付し、従業員数や労働時間等を確認するとしています。
従業員の将来に責任を持つのも事業主の責務
厚生年金と国民年金は同じ期間保険料を納付したとしても、将来受け取る受給額が違います。老齢年金だけではなく、万一の時の遺族年金、障害年金でも国民年金より手厚い給付が受けられます。
厚生年金に加入すれば配偶者が国民年金第3号被保険者になれる場合でも、厚生年金未加入となれば夫婦二人とも国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を納付しなければなりません。また、国民年金の場合は保険料未納という問題もあり、将来的に低年金や無年金になるといった可能性もあります。
事業主にとって負担が重いのは事実でしょうが、自社で働いている従業員の将来に影響があることです。要件を充たした従業員を社会保険に加入させるのは、事業主の責務と言っていいでしょう。