夫婦問題や親族問題!共有名義によくあるトラブル!

松原昌洙

松原昌洙

テーマ:よくある共有不動産トラブル

話し合いのうえ離婚することになったけれども共有名義の住宅ローン残っているなど、どうすればいいのか?という事態が起こりえます。今回は、3つのよくある悩ましい事例を紹介します。

A子さん夫婦の事例(夫婦共有名義のローン)

A子さん夫婦はマイホーム購入に際し、夫婦共有名義で住宅ローンを組みました。共働きだったので、一人で借りられる金額より大きな金額を借りることができました。しかし昨年、離婚し、A子さんが家を出ることにしました。ただ困ったのは残っている住宅ローンをどうするかです。

離婚

友人に相談したところ、慰謝料と養育費の代わりにローンの返済は夫がすることにしたら、と言われ、夫も承諾したので銀行に名義変更を申し出ました。しかし、銀行の答えは「ノー」でした。
A子さんとしては、自分が家を出て、その後はその家に住まない。しかも、返済は夫がすると夫婦間で合意しているのに、なぜ名義変更ができないのか納得できません。

しかし、銀行側から見れば、A子さんと夫の収入を合算して審査し、融資可能と判断してお金を貸すことにしたわけです。A子さんの名義を外して夫の単独名義した場合、審査時の収入合算に達しなくなると判断せざるを得ません。それは残金の回収ができなくなることを意味しますから、単独名義への変更は承諾できないことになるのです。

そうするとA子さんはいつまでも連帯債務者のままです。もし、A子さんの夫が「慰謝料と養育費の代わりに支払う」と約束したローンの返済を滞らせれば、A子さんのもとに返済の請求がやって来ることになります。そして、こうしたケースは少なくないのです。

離婚を期に、夫婦いずれかが単独で住宅ローンを払っていきたい場合、ローンを借り換えるという方法があります。A子さん夫婦の例で言えば、A子さんの夫が単独名義で別の銀行から住宅ローンを借り、そのお金を現在の住宅ローン完済にあてるのです。これでA子さんは連帯債務から解放されます。しかし、そのためにはA子さんの夫に、別の銀行が納得するほどの経済力がなければなりません。

Bさん夫婦の事例(離婚後の不動産売却)

共有名義の解消はトラブルにはならなくても大変です。Bさん夫婦は結婚後、3LDK・築10年の中古マンションを共有名義で購入しました。その10年後、Bさん夫婦は離婚することになり、Bさんはマンションを売却することにしました。妻の同意も得ています。

この時点で築20年、売れるかどうか心配でしたが、立地がよかったせいもあり買い手が見つかりました。ローン残債の支払いの目処も立ち、Bさんは「やれやれ」と一息つきましたが、実はこれからやるべきことがたくさんあるのです。

前妻との共有名義ですから、銀行での手続き、不動産の移転登記など何をするにしても前妻の印鑑や証明書が必要です。その度に前妻に連絡をとり、身分証明書や実印・印鑑証明を用意してもらったり、契約書への記入・署名・押印など、やってもらわなければならないことがたくさんあります。それを毎日の仕事と並行して行わなければなりません。

しかもマンションの売買契約時や決済時には共有名義者である前妻の立ち会いが必要です。その間の日程調整やこまごまとした必要種類の整理、共有名義の解消は大変なのです。

それでもBさん夫婦の場合、前妻が協力的だったので、無事売却することができました。しかし、もし、協力的でなかったならBさんの苦労は増したでしょうし、前妻が売却に応じないということになれば、マンションは売ろうにも売れないことになってしまいます。 

Cさん兄弟の事例(兄弟の不仲)

Cさん兄弟の親が亡くなり、Cさんと弟のDさんが親の家と土地を相続することになりました。親と一緒に住んでいたのは兄のC夫婦さんです。亡くなる前、数年間の介護はCさん夫婦に重くのしかかっていました。Dさんは別にマンションに住んでいました。遺産分割協議で家をどうするかを話した際、弟のDさんは「兄さんがこのままこの家に住むのが一番いい」と言い、家はとりあえず共有ということにしました。

それから数年経った頃、Dさんが「家賃を払ってくれ」と言ってきました。最初のうちCさんは弟が何を言っているのか分かりませんでしたが、Dさんは、「その家に住む権利は自分にもある。こっちは毎月ローン(マンション)の返済をしているのに、兄さんだけタダで住むのはおかしい」と言うのです。
「お前が家主でおれが店子と言うのか」、Cさんがカッとなって言い返したことから兄弟仲が険悪になってきました。兄のCさんには、親の面倒を最後まで見たのは自分だという気持ちが強くあります。

それからまたしばらくして、弟のDさんが「自分の持分を買ってくれないか」と言ってきました。
Cさんが住んでいる家のDさんの共有持分を買ってくれれば、もうCさんとの関係もなくなり清々すると言うのです。Cさんが返答に困っていると、「兄さんが買わないなら、ブローカーでも買取業者でも安くても売ってやる」と言います。Cさんは、もし家の持分が第三者の手に渡ったらどういうことになるか不安でなりません。

共有持分のトラブル事例については、下記でも解説しています。ぜひご覧ください。
共有持分のトラブル事例

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松原昌洙
専門家

松原昌洙(宅地建物取引士)

株式会社中央プロパティー

遺産分割における共有名義不動産の自己持分のみの売買、仲介を取り扱う。複雑な案件でも、これまでの経緯や心情に配慮しながら取引を進める。買取とは異なり、「できるだけ高く売りたい」という要望にも応える。

松原昌洙プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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