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松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき) / 宅地建物取引士

株式会社中央プロパティー

コラム

親子・兄弟・夫婦など親族間でトラブルになりやすい不動産

2018年9月26日 公開 / 2023年5月19日更新

テーマ:よくある共有不動産トラブル

コラムカテゴリ:住宅・建物

不動産をめぐるトラブルで多いのは、親の遺産を親族により共有名義で相続した時です。
共有名義の不動産は、共有者全員の合意の下に売却や修理、改築などの変更を行うことができますが、意見の相違や利害関係の対立が発生するリスクがあります。

トラブルを防ぐには、共有名義をできるだけ回避する方向で相続を進めるのがよい方法です。
その事例を紹介し、トラブル防止策についても紹介します。



不動産をめぐる親族間のトラブルは共有名義に多い

親の不動産を相続する時、相続人がそれぞれの持分に応じて相続の手続きをします。
しかし、不動産は、持分に応じてバラバラに分けて使うことは不可能なので、共有者全員の共有物となります。
そのため、その取り扱いをめぐり共有者の間で意見が対立しトラブルになることがあります。

例えば親から不動産を相続して兄弟で共有した場合、その不動産を売りたい兄(弟)と売りたくない弟(兄)の間でトラブルになることがあります。

この他にも、二人で親の家を相続したにもかかわらず、以前から同居をしていた兄だけがその家に住み続け、兄が弟に固定資産税の支払いについて持分相当の税額の支払いを要求して、弟がそれを拒否するといったトラブルなどもあります。

また相続をする時に、法に基づき分割した土地のどの部分を自分の所有にするかで対立が起こることもあります。

親族間で不動産を巡ってトラブルが発生するのは珍しいことではありません。

このような問題は、当事者間で話し合いを重ねても解決することは少なく、トラブルが長期化すればするほどお互いに精神的な苦痛をもたらします。

問題の解決やトラブルの防止には、共有者だけで話し合わずに、第三者である不動産の専門家や弁護士などにアドバイスを求めるのが良いでしょう。

共有名義を解消してトラブルを回避するには

親族間でトラブルが起こり、自分がこのトラブルから逃れたい場合は、共有名義を解消する手続きをとります。

主な方法は次の通りです。

【1.持分移転】
持分を手放したい共有者が、別の共有者に持分を売買か贈与の形で移転する方法です。
手放したい人と手に入れたい人がいることが前提ですが、持分を取得した人は、その代金を支払う資金力が必要です。
贈与として受け取る場合も、贈与税が発生します。

【2.持分放棄】
手放したい人が自分の持ち分を放棄して、他の共有者に帰属させる方法ですが、放棄された持分は、それを受け取る共有者全員が持分割合に応じて取得し、贈与税を支払います。

【3.全部売却】
不動産全体を第三者に売却し、その売却代金を持分の割合通りに分ける方法です。
この場合、共有者全員の合意を必要とします。
売却時には、共有者全員が売主となりますが、売却の手続きには、委任状があれば共有者全員が参加する必要はありません。

【4.持分売却】
共有者が他の共有者の同意を必要とせずに、自分の持分を第三者に売却できる方法です。
今後起こりそうなトラブルに巻き込まれる事態を事前に回避できる方法ですが、持分の市場価値は不動産を全部売却して分割して得られる金額よりも低くなります。

【5.土地の分筆】
相続した不動産が土地の場合にできる方法です。
相続する持分に応じて分筆し、それぞれを相続人の土地として登記します。
この方法は、単純に面積計算をすればよいというわけではなく、例えば、道路沿いの土地とそうでない土地は価値が変わるため、土地の評価額を持分の割合で分筆します。

共有名義のメリットとは

相続した不動産を共有名義にすると、トラブルが多く発生するように見えますが、メリットもあります。

【1.売却には共有者全員の合意が必要】
共有名義の不動産は、その売却やその不動産を担保に借り入れを行う場合、共有者全員の同意を必要とします。
他の共有者に内緒で売却をしてしまうことはできません。

【2.売却すれば「マイホーム特例」の適用を受けられる】
平成28年から税制改正により、「相続または遺贈により取得した被相続人の自宅を売却した場合も一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる」ようになりました。

つまり売却金額から経費などを差し引いた残りの金額から3,000万円まで控除が受けられます。
2人の共有名義だと、6,000万円まで控除が受けられます。

特に「1.共有者全員の合意が必要」については、不動産を勝手に処分させない抑止力となる一方で、共有者全員の意見が合致しない時は、トラブルに発展するデメリットにもなります。
不動産を共有名義で所有することは、後々起こるかもしれないトラブルを回避するためにも、相続時に共有者全員で予め十分に話し合っておく必要があります。

トラブル回避には専門家のアドバイスを求めよう

遺産相続した不動産は、物件の数や条件、相続する人の人数など、さまざまな状況によって、その後起こりうるトラブルも変わります。

家族のいる人なら誰でも、将来において、遺産相続をした不動産の扱いを巡ってトラブルを経験するリスクはあります。
例えその事態にならなくても、受け継いだ不動産をどのように取り扱うかについては、専門家のアドバイスが必ず必要になります。

資産価値が高い不動産は、相続からその運用、売却に至るまで不動産のプロのサポートを受けるのがおすすめです。

共有持分のよくあるトラブルについては、下記の記事でも詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
共有名義不動産のトラブルランキング

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