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松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(まつばらまさあき) / 相続アドバイザー

株式会社中央プロパティー

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コラム

トラブルに繋がりやすい共有名義の曖昧な管理

2018年6月21日 公開 / 2018年6月22日更新

テーマ:よくある共有不動産トラブル

コラムカテゴリ:住宅・建物

共有名義不動産はトラブルにつながりやすいのですが、その性質上、一度トラブルが生じるとその解消は非常に困難になります。

トラブルに繋がりやすい共有名義の曖昧な管理

共有物の「使用」について

Aさん、Bさん、Cさん兄弟が共同で別荘を購入したとします。価格は900万円。Aさんが600万円、Bさん、Cさんが150万円ずつ出資したとします。出資比率はAさん2/3、BさんとCさんは1/6になります。

民法では、共有物(ここでは3人の別荘です)について、「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。」と規定しています。ポイントは「全部について」という点です。つまり、出資比率が一番高い兄のAさんが、Bさんたちに「君たちの出資比率は1/6だから玄関とキッチンは使ってもいいが、ほかはダメだよ」などとは言えないわけです。BさんもCさんも別荘を全部「使用」できます。

共有物の「管理」について

民法には、共有物について、「使用」のほか、「保存」、「管理」、「変更」についても規定があります。「保存」とは、共有物の現状を保存する行為で、これは共有者が単独で行えます。

「管理行為」とは、共有物を「利用・改良」する行為を意味します。上の例で言えば、Aさんたちの別荘を第三者に賃貸することや、その契約を解約する場合などがあげられます。

そして、民法では、共有物の「利用」については「各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。」(民法252条)としています。

「持分」とは所有権の割合です。原則的に購入に際し、誰がいくら出資したかによって決めますから、Aさん兄弟の別荘の場合、兄のAさんの持分は2/3ですから「持分の価格」は600万円、Bさん、Cさんの持分は1/6ですから「持分の価格」はそれぞれ150万円になります。

そして、兄のAさんの「持分の価格」は過半数を超えていますから、兄のAさんが「自分たちが使わない期間、別荘を賃貸に出そう」と提案し、Bさん、Cさんが反対しても、兄のAさんの提案どおり別荘を賃貸に出すことができます。

「変更行為」とは、大幅なリフォームなど物理的な変更も意味しますが、別荘を売却するなどの処分行為も含まれます。売却は変更の最たるものだからです。そして、民法では「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」(民法251条)と規定しています。売却には共有者全員の同意が必要になるのです。

ところで、別荘を維持するためにはメンテナンスの必要も出てきます。その際の費用はどうなるでしょう? この場合、それぞれの持分に応じて支払うことになります。つまり、メンテナンス費用150万円とすれば、兄のAさんは150万円×持分2/3=100万円、Bさん、Cさんがそれぞれ150万円×持分1/6=25万円ずつになります。

共有名義の不動産でトラブルになったら

共有名義不動産はトラブルにつながりやすい、これは専門家の多くが指摘していることです。たとえば、弟のCさんが一人で別荘に住みついてしまったら、どうなるでしょう。Aさん、Bさんは当然、弟のCさんに明け渡しを請求できるでしょうか?

それがそうはいかないのです。なぜかと言うと、最初にお話ししたように「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」からです。Cさんが「ぼくには別荘を使用する権利がある」と言えば、その通りなのです。

もちろん、Cさんが別荘に一人で住み、共有物である別荘を占有・使用しているのは、兄のAさん、Bさんの共有持分を侵害していることは事実です。言わば、適法、違法が混在している状態です。

Cさんと何度話し合っても解決がつかないため、「そういうことなら別荘を売ってしまおう!」と兄のAさん、Bさんが決めたとしても、先に紹介した民法251条の規定では、売却には共有者全員の同意が必要になります。Cさんの同意がなければ売却できません。共有名義不動産のトラブルを解消するのは難しいのです。

しかし、共有名義の不動産であっても、その持分については自分の単独の判断で処分できます。共有名義の不動産全体を処分しようとすれば、他の共有者の持分も一緒に処分されてしまいますから、他の共有者への影響が大きくなります。そのため、共有者全員の合意がなければならないとされているのですが、自分の持分だけを売却するのであれば、他の共有者の持分に影響が及びません。自分の持分については、他の共有者による承諾は不要になるのです。

これまでの例では、兄のAさん、Bさんが、それぞれ自分の共有持分だけを売却すれば、面倒な共有関係から離脱することができ、持分の現金化もできます。

その後は、Aさん、Bさんの持分を買った第三者とCさんとの交渉に移ることになります。しかし、法的な処理はそうなりますが、Aさん兄弟の間に入ったひびは修復できないでしょう。こういったトラブルが起こりやすいことが、多くの専門家が不動産の共有名義をすすめない理由です。

この記事を書いたプロ

松原昌洙

共有名義不動産の売買、仲介に強い不動産会社社長

松原昌洙(株式会社中央プロパティー)

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