思ったことを上手く伝えられず仕事の人間関係が悪化していく不安

大場慶夫

大場慶夫

テーマ:仕事の不安と解消方法


「自分の考えていることをうまく伝えることができず、上司とのやりとりが億劫に感じられる」「まわりの人と話す際、言葉をのんでしまう機会が増えている」「胸の内に不安を抱え自信が持てずにいるため、まわりの人との関係がぎくしゃくしてしまう」そんな毎日を送っていませんか?

上司や先輩、同僚、部下など多くの人間が集まる職場では、人間関係は必ずしも楽しいことばかりではなく、ストレスの原因になることがあります。

対人関係のコツをつかみ、コミュニケーションの質を高めることで、ストレス軽減を目指すことができるかもしれません。

仕事の人間関係やコミュニケーションについて

私たちの生活には、職場や地域のコミュニティ、学生時代の仲間などさまざまな属性があり、そこに属している人たちと人間関係を構築します。

特に、職場では多くの人とのつながりを持ちながら業務を行うことになります。

業務を行う中で、部下としての上司に対する振る舞い、先輩との関わり方、同僚同士の距離感、ほかの部署との関係性、取引先や顧客とのつきあいなど、さまざまなコミュニケーションが生じます。

こうしたコミュニケーションがあるからこそ、仕事が順調に進み良い結果が生まれるのですが、これらさまざまに錯綜する人間関係がストレスの要因になることも多々あります。


「ストレス」はすっかり馴染みのある言葉になりましたが、同じような経験をしても、とりたてて影響が出ることなく平気でいられる人もいれば、不安や苦痛を感じて心身に不具合が出てしまう人もいるなど、ストレスへの反応は人それぞれ異なります。「ストレスを感じているのは自分だけ?心が弱いのだろうか…」と悩むことがあるかもしれませんが、そんな風に自分を責める必要はありません。

目の前の存在が自分より大きく、思ったことを上手く表現できない


仕事をする上で、コミュニケーションはとても重要です。業務を円滑に行うために「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」が欠かせないとよく言われますが、そのホウレンソウの伝達方法は主に言葉であり対話です。

業務に欠かせない報告や連絡などをする際、要領よく話をすることができず、前置きが長くなったり、思ったことをうまくまとめられず、言いたいことが明確に伝わらずにストレスを感じたことはありませんか?

言いたいことをうまく伝えることができないのは、自分が言おうとすること以外の何かを気にし過ぎているのかも知れません。

たとえば、

・自分の提案や仕事のやり方を、否定されたり拒絶されたりするのが怖い
・変な印象を相手に与えないためにも、ここは黙って我慢して済ませておこう
・空気を読もうとするあまり、相手の反応ばかりが気になってしまう

話の最中にこのような心理が働き、表現が曖昧になった挙げ句、結局は誤解を与えてしまうのです。


では、相手にどう思われるか、といったことを気にするようになったのは、いつ頃からでしょうか?

特に目上の人に萎縮するのは、幼い頃の記憶とリンクしている可能性があります。
「~がしたい」「~がほしい」と親にお願いやおねだりをしても、理由もなく頭ごなしに拒絶されることが多かった。
「お前はダメだ」「お前にそんなことができるわけがない」などと言われ、親から否定されることが多かった。
何か言いたいことを言っても、「子供のクセに」「子供なんだから」と受け入れてもらえなかった。
たまにわがままを言うと、親が困った顔をしたり悲しんだりした。

上記のような経験から「自分が何か言いたいことを言うと親に嫌われる」「断られる」「残念な顔をされる」といった固定観念が抜けず、嫌われないように、否定されないように、拒絶されないように、言葉を選んだり飲み込んだり、相手の顔色をうかがうといったコミュニケーションのクセを身につけてしまっている可能性があります。

自分の気持ちを伝えることができないのは自分の気持ちがわからないから

自分が一番言いたいことは何か考えてみましょう。自分が言いたいこと、結論を先に言うことに抵抗がありますか?

自分の気持ちを上手く伝えられない原因として「自分の気持ちがわからなくなってしまう」ということが挙げられます。
「自分の気持ちがわからない」ために「言葉にできない」のです。

「こんなことを言ったら嫌われるんじゃないか」「怒られるんじゃないか」など、相手の反応や気持ちにばかり意識がいってしまうと、自分の気持ちがわからなくなってしまいます。

そして、相手に嫌われる、否定される、受け入れてもらえない、という不安や恐怖からまわりの人に気を遣いすぎて、言いたいことが言えず、思いを伝えられなくなってしまうのです。

解消するための考え方や対処法


相手に思いを伝えるために、ちょっとしたことでも、普段から少しずつ口に出してみましょう。「こんなことを言うと嫌われるのでは?」といった相手を恐れる気持ちと向き合い、ちょっとだけ嫌われる勇気を持ってみてください。
実際、少しずつでも自分の思いを口に出してみると、意外に相手の反応が悪くなかったり、たいしたことがなかったりします。相手の反応を気にするあまり、自分で自分に禁止していることが多いのです。
まずは、言いたいことを言う自分を許してあげることが大事です。

常に相手を中心にして物事を考えるなど、自分を犠牲にしたり自己否定したりしていると、日々のコミュニケーションがストレスになってしまいます。
自分を労わり、自分自身を大事にすることを心掛けてください。

伝える言葉を考えるのではなく、自分の感情を大事にしてみましょう。多少言葉が上手くなくても、感情を伝えようとすれば、あなたが何を考えているのか、どう思っているのか、あなたの気持ちは伝わります。

ですが、相手と自分は違う人間です。どんなに上手く伝えようとしても、相手に伝わるか(理解してもらえるか)はわかりません。伝える自分と聞いてくれる相手を信頼することが、よりよいコミュニケーションにつながります。

また、自分を大切にし、相手を尊重することができるようになると、相手の言いたいことや思いを聞いてから、自分の意見を伝えることができるようになります。相手の意見を一旦聞きいれ、共感してから自身の意見を述べる話法を「Yes But法」と言いますが、こういった話法によりコミュニケーションがよりスムーズになる可能性があります。

コミュニケーションは、人との関わりや関係を気づいていく上で、なくてはならない大切なもので、かつ有効なものです。
是非、よりよいコミュニケーションで、自分と周りの方を大切にしてあげてくださいね。

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大場慶夫(心理カウンセラー)

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現役技術者&心理セラピストは貴重な存在。技術者が抱える悩みや心の問題の原因分析を得意とし、一時的な症状緩和や回復ではなく、根本からの問題解決と症状改善に取り組んでいます。

大場慶夫プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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