パートナーと死別した後なかなか再婚に踏み切れない人のための発想法

日高りえ

日高りえ

テーマ:グリーフケア

死後の辛さを異性がやわらげてくれることがあります。ただ、再婚となると大きなハードルです。再婚が世間や故人への罪悪感を伴うからです。
しかし、遺された人にも新しい家庭や人生は必要です。できれば、故人を忘れずに思い続ける自分を、受け入れてくれる人と再出発しましょう。

生きている者は新しい人生を歩んでいく

パートナーを亡くした時、自分の一部が失われるのと同時に社会的なつながりや精神的な支えも無くしてしまいます。こうした喪失感を抱えながら元の生活を取り戻すには何年もの歳月を要します。

毎日の生活の中でも、何をしても辛く孤独を感じてしまいます。食事をするにも、一人きりで食卓に座ることが寂しく耐えられないと、食欲も無くなりやせてしまう人もいます。

食材を購入するにも、一人分で売られているものは種類も多くはありません。何より、自分だけのために料理をしようという気持ちがわいてきません。外食したり、友人たちと食事をしたりすることがあっても、毎日というわけにはいきません。テレビを眺めていても、パートナーと一緒に旅行した場所などが映れば、亡き人のことがよみがえってきて寂しさが募ります。

長く暗い夜も一人で眠らなくてはならないことも、辛くむなしいものです。肉体的な関係というよりも隣に誰かがいるという安心感を失ったことに喪失感を感じます。誰もいない空間が空虚で、眠りについても悪夢ばかり見てしまうということもしばしば耳にします。

死別から間もないころは、自分が何をしたらよいか、どこへ進むべきかも分からないでしょう。目の前のことを対処するだけで手いっぱいかもしれません。それでも、生きているものは今後の人生を歩んでいかなくてはなりません。

新しい関係は故人への忠誠心に反することではない

パートナーを亡くしたばかりの時は、再婚するなど思いも及ばないでしょう。頭の中は喪失感、恐怖や不安といった感情でいっぱいです。

故人のこと以外考えられない状態です。ただ、時間が経つほどにしだいに悲しみから回復していきます。このあたりから、自分が抱え込んだ孤独を癒したいという思いが芽生えてきます。

共に食事をしたり外出を楽しんだりする関係の異性を持つことで、心にぽっかりと空いた穴を埋められることもあります。

ただ、そこから先へ進んで新たな関係を築くことは、心理的に大きなハードルがあります。なぜなら、離婚ならば相手のことが嫌になり自分たちの意思で別れますが、死別では愛しているのにその意に反して別れてしまうことになるからです。
相手の良いところばかりが思い起こされ、再婚することで裏切ってしまうような罪悪感をもってしまうからです。

再婚することで「冷たい」「亡くなった人がかわいそう」などと無責任にあれこれ言われることもあります。しかし、パートナーを亡くした辛さは同じ思いをした人でなければ本当のところは理解できません。
パートナーのことを理解しているのは遺された自分だけです。周りに何を言われようと気にすることはありません。

死別した人のことを思い続けることは大切なことです。しかし、故人だけを思い続ける必要はありません。これからの人生を歩んでいくためには、共に助け合う存在は必要です。新しい家庭をつくり幸せを求めて再出発するのを止めさせる権利は誰にもないのです。

結婚には心理面以外のハードルがある場合も

しかし、実際に再婚を進めるとなると気持ちの問題ばかりでなく、物理的なハードルもあります。
まずは年齢的な問題です。配偶者と死別したのが、子どもが独立後から老後に差し掛かったころだとします。若くても40代後半になるでしょう。そうなると新しい環境へ踏み出すには勇気がいります。恋人関係にはなっても、結婚までは踏み切れないという人が多いようです。

また、子どものことも大きな問題となります。子どもにとっては親が亡くなったことでショックを受けています。新しい親として認めることも簡単ではありません。子どもが独立していれば、遺された親の気持ちもおもんばかれるようになりますが、難しい場合もあります。

一般的には死別後2年程度は再婚を控えることが多くなっており、死別のショックを乗り切り、悲しみを過去のものと昇華することができてからの方が再婚は望ましいとされています。法的な制限期間は男性で0日、女性でも100日です。それでもあまりに早すぎると周囲に驚かれることになります。

しかし、新しいパートナーを尊重して大切にしていけるのであれば、死別からの期間は関係ないでしょう。これからの人生のことを考えていくことが重要です。

ただし、孤独に耐えられずに寂しさを埋めるためだけに再婚するのでは、上手くいかないことが多いです。前の結婚生活や前の配偶者と比べることなく、新しい生活を築いていきましょう。

故人は愛する人の幸せを願っている

乗り越えなければならない壁はありますが、決して不可能ではありません。そして、死別後、新しい人生を再出発することを後ろめたく思うこともありません。

再婚するといっても、心の中から故人を消し去ってしまうわけではありません。一度心の底から愛した人はずっと心の中に生き続けます。新しいパートナーもそれを受け入れてくれる器の大きな人であれば、きっと亡くなった妻(夫)も天国からやさしく見守ってくれるでしょう。


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大切な人を亡くした人の悲しみをじっくり聴き、現在も過去も直視することができず、未来さえも描けなくなった心を癒すカウンセリングが特徴。そして、もう一度、生きる気力が生まれるように導くコーチングも強み。

日高りえプロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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