今日だけ」が毎日になる心理|ダイエットが続かない本当の理由

川瀬由理

川瀬由理

テーマ:ダイエット 心理学 食 習慣 

ダイエット中に「今日だけ」と自分に許可を出した経験は、多くの人に心当たりがあるはずです。
「今日は疲れたから、好きなものを食べよう」「今週は忙しいから仕方がない」「明日からまた気をつければいい」。
一日だけ食べすぎても、すぐに体型が大きく変わるわけではありません。
問題は、一回の食事ではなく、同じ場面で何度も「今日だけ」を選ぶ状態が続くことです。
気づいたときには、「今日だけ」が週に何度も登場し、例外だった行動が日常になっています。
では、なぜ私たちは同じことを繰り返してしまうのでしょうか。


「今日だけ」は、自分を納得させるための言葉

私たちは、痩せたいと思いながら、目の前にある食べ物も楽しみたいという、相反する気持ちを持っています。

その矛盾を一時的に解消してくれるのが、「今日だけ」「明日から」という言葉です。

食べること自体を完全に肯定しているわけではありません。「今日は特別だから」と例外をつくることで、目標を捨てずに目の前の満足も選べるようにしているのです。

つまり、「今日だけ」は意志が弱い証拠というより、自分の中でつじつまを合わせるために使われる言葉です。

ただし、毎回同じ方法で自分を納得させていると、例外が習慣へ変わっていきます

食行動は、本人の意図だけで決まるものではありません。習慣、自己調整力、周囲の環境など、複数の要因から影響を受けます。健康的に食べたいという気持ちがあっても、それだけで実際の選択が変わるとは限らないのです。

未来の結果より、今の安心を選びやすい

「今日食べるのを控えれば、数か月後に体が変わる」

頭では分かっていても、疲れているときやストレスがたまっているときには、数か月後の結果より、今すぐ得られる満足のほうが魅力的に感じられます。

心理学や行動経済学では、将来の利益よりも目の前の利益を優先しやすい傾向を、現在バイアスなどの考え方で説明します。健康に関する行動でも、将来の不利益より、現在の快楽や負担の少なさが選ばれやすいことが指摘されています。

特に、仕事で判断を繰り返した日、人に気を遣った日、睡眠不足の日などは、長期的な目標よりも「今すぐ楽になりたい」という欲求が強くなります。

そのため、「今日だけ」を減らすために必要なのは、食べ物を遠ざけることだけではありません

なぜその日に限って、目の前の安心を強く必要としていたのかを見る必要があります。

問題は「食べたこと」より、毎回同じ流れになること

たとえば、次のような流れが固定されていないでしょうか。

  1. 仕事で嫌なことがある
  2. 帰宅後に気持ちを切り替えられない
  3. 「今日くらいいい」と考える
  4. 好きなものを食べて一時的に落ち着く
  5. 翌朝に後悔して、厳しい制限を決める
  6. 数日後に再び疲れて、同じことを繰り返す

この場合、食べすぎだけを直そうとしても、根本的な流れは変わりません。

食べる前にある疲労や感情、食べることによって得ている安心、食べた後の極端な制限までを、一つのパターンとして捉える必要があります。
私が食欲を考えるときに重視しているのも、「何を食べたか」だけではなく、その選択を生み出した習慣・記憶・感情・身体の状態です。

同じ「今日だけ」という言葉でも、その背景は人によって違います。

「明日から頑張る」ではなく、次の場面を決める

「もう二度と食べすぎない」と決めても、具体的な場面が来たときにどう行動するかが決まっていなければ、以前と同じ選択をしやすくなります。

そこで有効なのが、

「もし○○になったら、私は△△する」


という形で、あらかじめ行動を決めておく方法です。

これは実行意図(If-Thenプラン)と呼ばれる考え方です。健康的な食行動についても、具体的な状況と行動を結びつける計画が、意図を実行へ移す助けになることが研究で確認されています。

たとえば、

「仕事で疲れて帰ったら、食べる前に10分だけ座って休む」
「会食が続いたからといって、食事を極端に減らすのではなく、調整食をはさむようにする」
「甘いものが欲しくなったら、空腹なのか疲労なのかを先に確認する」


というように決めます。

重要なのは、完璧な行動を設定することではありません。

自分が「今日だけ」を使いやすい場面を知り、その場面で行う次の選択を一つだけ決めることです。

自分を責めても、パターンは変わらない

「また食べてしまった」
「私は何をやっても続かない」

そう責めたくなる気持ちは分かります。
しかし、自分を責めるだけでは、「今日だけ」を選ぶ前に何が起きていたのかが見えなくなります。

見るべきなのは、自分の性格ではなく、繰り返している流れです。
あなたの「今日だけ」は、どんな日に出てくるでしょうか。

  • 忙しい日
  • 人に気を遣った日
  • 頑張った自分に報酬を与えたい日
  • 一度予定が崩れて投げやりになった日


「今日だけ」をなくそうとする前に、その言葉が必要になる場面を知ってください。

ダイエットを続けるために必要なのは、自分を厳しく管理することではありません。

自分がいつ、どのように元のパターンへ戻るのかを理解し、その都度、選び直せる状態をつくることです。

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川瀬由理
専門家

川瀬由理(メンタルコーチ)

Aile coaching salon

脳科学や心理学に基づき、太る習慣や思考パターンを根本から改善。思考のOSを書き換えパフォーマンスで人生のベクトルを上げていく。

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