『「できるくない?」「あるくない?」って正しい表現?―日本語の最適化と大人の責任』
こんにちは、与一の井上です。
突然ですが、来年中学校の教科書が変わることを知っていますか?
英語だけでなく全ての教科において、学習指導要領の変更に伴い、教科書も改訂が行われます。
これによって来年度からの英語にどんなことが起こるのかをお話しします。
中学英語、超難化!
まずはこれらの言葉を見て下さい。
“感嘆文”
“仮定法”
“原形不定詞”
“完了進行形”
保護者の方には、「そんなのやったかな?」とピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
なぜでしょうか?実はこれらは全て今年度まで高校生の学習内容だったものだからです。
それが来年度新しくなる教科書では、全て中学校で学習することとなります。
ただ単純に新しい単元が増えた、ということではありません。
これらは全て現在中学校で学習している内容の発展内容と言えるものであり、高校生でも理解していない子が少なくないやや難易度の高い内容です。(余談ですが完了進行形に関しては高校の先生でも100%理解していない方も少なくないようです)
“難しい”内容が増える。これだけでもことの重大さは感じられるのではないでしょうか。
さらに学習する語句の数も大幅に増加します。
中学3年間で学習するべき単語の数は現行で1,200語前後、新課程では1,800語前後となるようです。
つまりおよそ1.5倍になるということですね。
この教科書改訂によって考えられる影響は以下の通りです。
〇英語が苦手な人が増える and 学校の授業だけで付いていくのが困難になる
〇高校生になった時の差がますます広がる
〇実は一番影響を受けるのは新3年生かもしれない
ひとつずつお話しましょう。
英語が苦手な人が増える and 学校の授業だけで付いていくの
新しいことが入ってくるということは、代わりに今まで習ってたものがいくつかなくなるのだと思いますか?
そうではありません。新しい内容が入ってくる分、今までよりも“速く進む”ということなのです。
新年度の教科書によると(実は徳島市内では新年度から採択される教科書も変更となり、今までのNEW HORIZONからSUNSHINEに変更になります。この話もまた後に少し触れます)
1年生は3課まででbe動詞、一般動詞、canの学習を終えることになっています。
これがどれくらい大変なことか想像が付きますか?
現行の教科書では一般動詞は3課以降に、canに至っては3学期に学習している内容です。
これを全て1学期には学習をし終える。恐ろしいことになりそうです。
ただでさえ「be動詞と一般動詞の区別が付かない」子が少なくないのに、そうした子はますます増えることになるでしょう。
中学校1年生の英語と言えばどんなイメージを持っていますか?
「1学期のテストでは90点以上取るのが当たり前」ですよね。
まだ始まってもいないため、もちろん実際のテストを目にした訳ではありませんが、もうこんな常識は通用しなくなるでしょう。
今までであれば70・80点を超えていたテストの平均点が、50点台になっても何の不思議もありません。
どうしてこんなに速く進むのでしょうか。それは先んじて行われた“小学校での英語の教科化”による影響です。
「小学校で習ったことの復習だから、さっと終わっても大丈夫だろう」そういうことらしいです。
でも考えてみて下さい。いくら小学校で英語が教科化されたとは言っても、その目的は“聞く・話す”ことであるため小学校では決して“文法”として教えないことになっています。
それが「もう知っているよね」と言われても、いざ文法として扱われるとそうすんなりと理解できるものではありません。
「いや小学校で話せるようにるんだから文法なんて自然と身に付くだろう」そう思いますか?
それは全くの間違いです。
「聞ける・話せる」=「文法的に理解できる」でないことは、日本語が十分話せるにも関わらず、中学生のほとんどが国語の文法(修飾・被修飾とか、形容動詞とか)を苦手としている事実が何よりも物語っています。
つまり今までは「英語は1年生のときはいけていたのに2年生から…」と言う人が多かったのですが、これからは「英語はもう1年生の最初からつまづいて…」と言う人が確実に増えてしまうのです。
それでも授業は待ってはくれません。待つどころか学習すべきことは次々とやってくるため、どんどん進むことになるでしょう。
そして(どこまで実現されるかは不明ですが)新課程では英語の授業は英語で行うことと定められたため、新たな内容についていくのがやっとで、理解できていない内容は理解できないままという状態にさらに拍車がかかることとなります。
こうなるともう自力ではどうしようもありません。今まで以上に“塾頼み”になってしまうことは想像に難くありません。
これは塾を運営している私にとっても、決して歓迎すべきことではありません。
高校生になったときの差がますます広がる
これはわかりやすいですよね。
これまでも徳島県の中学生は基礎学力テストの“せい”で本来身に付けるべき文法事項を未習得のまま高校生になってしまうという事実がありました。
それが中学生で学習するべき事項が増えたとなれば、今までであれば『A君 100 B君 70 C君 50』であった知識の差が、単純に『A君 150 B君 105 C君75』となる訳です。
「中学校の内容があいまいです」進学校に通う子でさえこう言う子は少なくありませんが、この言葉の持つ危険度はさらに増すことになるでしょう。
いつも通り長くなってしまいましたので、残りの1つについては次回お話させて頂きます。
最後になりますが、受検生の皆さん、最後の追い込みが大変だとは思いますが、本番で全力を出し切れるよう、くれぐれも体調管理に気を付けましょう。