浜松の司法書士が目指す「もめない相続」
相続対策として、遺言の活用が有効であると言われています。
自分亡き後、自分の想いに従った遺産の分割を実現する方法として、遺言は有効な手段です。
しかし、はっきり言って遺す財産が預貯金だけなら、後で揉めたとしても結果的には民法で定められた平等の基準に従い分配されて終わりです。
注意しなければいけないのが、土地や建物の不動産を遺す場合です。
特に、そこに相続人の内の誰かが住んでいたり、住む予定の場合です。
最近増えてきているのが、平等に財産を分けるという建前の下、「相続人の一部がそこに住んでいようが、家屋や土地を売却してお金に換えて分配してしまえ」という声です。
各家庭の事情があるでしょうから、それが間違った考え方とは断言できませんが、自分の生まれ育った家や先祖の土地や建物を守っていくという想いは希薄になっている感じがします。
ましてや、住んでいる人がたとえ自分の親であっても平等の考えが優先するところが、現代的であると感じることが多くあります。
とは言っても、ほとんどの方が「自分には関係ない話だ」「自分の子供達はそんなことはしない」と思っていらっしゃるでしょう。
でも、相続問題で相談に来られる方のほとんどが「こんなはずじゃなかった」「親が遺言さえ書いていてくれたら」とおっしゃっていることも事実です。
だからこそ、不動産を持った瞬間から、自分が亡くなったあとその不動産がどうなるのか、どうしたいのかを考えることが大切であると感じています。
不動産を持つ方は、トラブルの元となる可能性のある財産を持っている、という自覚が必要であると思います。
「不動産を持つ」という意味については別のところで改めて考えてみたいと思います。
私は、どんな課題も一旦は自分で考え、決断することが重要だと考えます。
ですから不動産についてしっかりと考えた結果、自分に万が一のことが起きても、その後は残った家族間で好きなようにしてくれ、との考えであればそのままでもいいと思います。
引き続き誰かをそこに住まわせたい、財産を自分の想いに沿う形で分けてほしいと考えるのであれば、財産を引き継ぐ家族に自分の考えや想いを伝えるため、具体的な言葉にする必要があります。
そこに法律的な効果を与える…
つまり、考え・想いを実現させるのが遺言です。ただし、遺言にはルールがありますのでご注意くださいね。
財産を貰う側(相続人)にも一定の権利が民法で保障されていますので、全てが遺言どおりにいくとは限りません。
例えば、遺言で財産を分けてもらえなくても、その内容に異議を唱えて一定の割合で相続財産を分けてもらう権利、もしくは、多く貰いすぎている方から保障された割合の相続財産を取り戻す権利が認められているのです。それが 遺留分 です。
それらを踏まえたうえで、遺言を書くことによって、自分が万が一の時に、遺された財産の行く末をコントロールすることができるのです。
極端な言い方かもしれませんが、遺言を書いておくことは、持ち家のある方が火災保険に入るのと同じくらい大切なことであると思っています。
不動産を持った以上、持ち家や土地の分配、誰に守ってもらう等、しっかりと遺言に記しておく義務があると言ってもいいと、私は思っています。
自分亡き後、大切な人をそこに住まわせ、その人を無用な紛争から守りたいと思うのであれば。
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