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香りを選ぶことは、今の自分を知る手がかりになる

下坪壮介

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テーマ:香りを活かすセルフケア



こんにちは。
薫風堂の下坪です。

アロマセラピーというと、よく「この精油は何に効きますか」と聞かれます。

もちろん、精油にはそれぞれ成分的な特徴があり、研究されている作用や、伝統的に語られてきた使われ方もあります。
けれど、日々のセルフケアとして香りを使う時に、もうひとつ大切にしたい視点があります。

それは、「自分は今、どんな香りを心地よいと感じるのか」ということです。

香りを選ぶことは、単に好きな匂いを選ぶことではありません。
今の自分の疲れ方、張りつめ方、求めている感覚に気づく手がかりになることがあります。


いつも好きな香りが、今日は違って感じることがある




普段は好きな香りなのに、今日は少し重たく感じる。
いつもは気にならない香りが、今日は妙に落ち着く。
以前は苦手だった香りが、今は不思議と心地よい。

香りには、そういうことがあります。

これは、香りそのものが変わったというより、自分の側の状態が変わっている場合があります。

疲れている時。
頭を使いすぎている時。
人に気を遣いすぎている時。
身体がだるい時。
気持ちが張りつめている時。
何かを決めきれず、心が散らかっている時。

同じ香りでも、その時の自分によって受け取り方が変わります。

だからこそ、香りを選ぶ時には、「この香りは何に効くのか」だけでなく、
「今の自分は、この香りをどう感じているのか」を見てみることが大切です。


香りの好みは、心と身体の小さな声を拾う入口




香りを選ぶ時、頭で考えすぎる必要はありません。

今日は明るい柑橘の香りに惹かれる。
今日は樹木の香りがしっくりくる。
今日は花の香りを少し重たく感じる。
今日はハーブの青さが心地よい。
今日は甘い香りより、すっきりした香りが欲しい。

こうした反応は、意外と正直です。

柑橘の香りに惹かれる時は、気分を軽くしたいのかもしれません。
樹木の香りが心地よい時は、落ち着きや安定感を求めているのかもしれません。
花の香りに安心する時は、少しやわらかさや優しさが必要なのかもしれません。
すっきりした香りを選びたい時は、頭の中を切り替えたいのかもしれません。

もちろん、これは占いではありません。
「この香りを選んだから、あなたはこうです」と決めつけるものでもありません。

ただ、香りへの反応を丁寧に見ていくと、普段は見過ごしている自分の状態に気づきやすくなります。


「好き」だけでなく「今は違う」も大切な情報


香り選びでは、好きな香りを見つけることも大切です。
けれど、それと同じくらい大切なのが、「今はこの香りではない」という感覚です。

以前は好きだったのに、今日は強く感じる。
良い香りのはずなのに、今は少し疲れる。
有名な精油だけれど、自分には合わない気がする。

その感覚を無視しなくてよいのです。

アロマセラピーでは、知識が増えるほど、つい「この場合はこの精油」と決めたくなります。
けれど、生活の中で香りを使う時には、理屈だけで押し切らないことも大切です。

今の自分が心地よいと感じるか。
呼吸が少し楽になるか。
気持ちが急かされないか。
その香りのある空間に、しばらく身を置いていられるか。

そうした感覚は、精油のプロフィール表だけでは分からない情報です。


香りを選ぶ時間は「自分に質問する時間」でもある




香りを選ぶ時、少しだけ自分に問いかけてみます。

今、私は疲れているのか。
気持ちを切り替えたいのか。
落ち着きたいのか。
元気を出したいのか。
考えすぎているのか。
人に合わせすぎているのか。
少し一人になりたいのか。
それとも、誰かと穏やかにつながりたいのか。

この問いに、すぐ正解を出す必要はありません。

ただ、香りを選びながら自分に目を向ける。
それだけでも、心の向きが少し変わります。

忙しい毎日の中では、自分の状態を確認する時間が後回しになりがちです。
不調というほどではない。
けれど、何となく疲れている。
何となく落ち着かない。
何となく気分が重い。

そういう曖昧な状態は、言葉にしにくいものです。

香りは、その曖昧さに触れるきっかけになります。


香りは、答えをくれるものではなく「気づくための道具」




香りは便利です。
けれど、万能ではありません。

香りを選んだからといって、悩みが消えるわけではありません。
精油を使えば、生活の問題が自動的に片づくわけでもありません。
心身の不調が強い時には、医療や専門的な支援が必要な場合もあります。

それでも、香りには役割があります。

それは、自分の状態に気づくきっかけをつくることです。

たとえば、香りを選ぼうとして、何も選びたくないと感じる。
それは、かなり疲れているサインかもしれません。

すっきりした香りばかり欲しくなる。
それは、頭や気持ちを切り替えたい状態が続いているのかもしれません。

やわらかい香りに安心する。
それは、自分に少し優しくしたい時期なのかもしれません。

香りは、答えを外から与えるものではありません。
自分の内側にある感覚を、少し見えやすくしてくれるものです。

## 「正しい香り」より、「今の自分に合う香り」を大切にする

アロマセラピーを学ぶと、精油の成分や作用、禁忌、安全性など、知っておくべきことがたくさんあります。
それはとても大切です。

ただし、知識が増えるほど、香り選びが「正解探し」になってしまうことがあります。

この不調にはこの精油。
この気分にはこのブレンド。
この成分が多いから、この作用を期待する。

そうした整理は役に立ちます。
けれど、日々のセルフケアでは、そこに自分の感覚を戻してあげる必要があります。

今日の自分にとって、強すぎないか。
心地よく感じるか。
無理なく使えるか。
生活の中に置いた時、邪魔にならないか。
その香りを選ぶことで、自分に何をしてあげたいのか。

香りを生活に取り入れるということは、香りを主役にすることではありません。
自分の生活を少し整えるために、香りをそっと添えることです。


香りの記録をつけると、自分の傾向が見えてくる




もし余裕があれば、香りの記録をつけてみるのもおすすめです。

難しいものでなくて構いません。

日付。
選んだ香り。
その時の気分。
身体の状態。
香りをどう感じたか。
使った後に少し変わったこと。

これだけでも十分です。

たとえば、忙しい時期には柑橘やハーブの香りを選びやすい。
疲れがたまると樹木系の香りに安心しやすい。
緊張が続いた後は、花の香りを求めることが多い。
気持ちが沈んでいる時は、強い香りを受けつけにくい。

そうした傾向が見えてくると、自分の整え方が少し分かりやすくなります。

これは、誰かに決めてもらうセルフケアではありません。
自分の反応を見ながら、自分に合う方法を育てていくセルフケアです。


香りを選ぶことは「自分を雑に扱わない」練習




日々の中で、自分のことは後回しになりがちです。

仕事。
家族。
予定。
連絡。
やらなければならないこと。
考えなければならないこと。

そうしたものを優先しているうちに、自分の状態を確認する時間がなくなっていきます。

香りを選ぶ時間は、ほんの短いものです。
けれど、その短い時間の中で、「今の自分はどうだろう」と立ち止まることができます。

今日は軽やかな香りがいい。
今日は落ち着く香りがいい。
今日は何も足さず、静かに過ごしたい。
今日は香りより、まず眠った方がいい。

そう感じ取ることも含めて、セルフケアです。

香りを選ぶことは、自分を特別扱いすることではありません。
自分を雑に扱わないための、小さな習慣です。


今の自分を知るところから、整える時間は始まる


心や身体を整えたい時、私たちはつい「何をすればよいか」を急いで探します。

けれど、その前に大切なのは、
「今の自分はどういう状態なのか」
を知ることです。

元気を出したいのか。
休みたいのか。
落ち着きたいのか。
切り替えたいのか。
緩めたいのか。
背中を押してほしいのか。

それによって、必要な香りも、必要な時間も変わります。

香りを選ぶことは、その入口になります。

今日、心地よいと感じる香り。
今日は少し違うと感じる香り。
なぜか手に取りたくなる香り。
今は使わなくてもよいと感じる香り。

その一つひとつが、今の自分を知る手がかりになります。

香りは、生活を大きく変える魔法ではありません。
けれど、自分の状態に気づき、少し丁寧に扱うための、静かな道具にはなります。

今の自分を知ること。
そこから、セルフケアは始まります。

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下坪壮介
専門家

下坪壮介(メンタルヘルスカウンセラー)

薫風堂

アロマセラピーによる癒やしを雰囲気だけで終わらせず、癒やしを求める心の裏側にある悩みや課題を丁寧なカウンセリングによって整理。香りがもたらす安らぎの効果と併せて、ストレスで消耗した心を穏やかに整えます

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