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更年期の不調は「気のせい」でも「甘え」でもありません

下坪壮介

下坪壮介

テーマ:更年期・女性の心身のゆらぎ



こんにちは。
薫風堂の下坪です。

更年期という言葉は、以前よりも広く知られるようになりました。

それでも、実際に不調を抱えている方の中には、こんなふうに感じている方が少なくありません。

「このくらいでつらいと言っていいのだろうか」
「ただの疲れかもしれない」
「年齢のせいだから仕方ない」
「気のせいだと思って我慢している」
「甘えていると思われたくない」
「周りに分かってもらえない」

更年期の不調は、外から見えにくいものです。

日によって調子が変わる。
検査でははっきり分からないこともある。
本人にも、何が原因なのか説明しにくい。
つらいのに、周りからは元気そうに見えてしまう。

だからこそ、自分でも「大げさなのではないか」と思ってしまうことがあります。

けれど、更年期の不調は、気のせいでも甘えでもありません。

身体の変化、心の負荷、家庭や仕事で担っている役割。
そのいくつかが重なりやすい時期に起こる、現実のしんどさです。


更年期は、身体が大きくゆらぐ時期です






更年期は、一般的には閉経の前後約5年ずつ、あわせて10年ほどの時期を指します。日本人の平均閉経年齢は50.5歳とされ、45歳から55歳頃にあたる方が多いとされています。

この時期には、女性ホルモン、特にエストロゲンの分泌が大きく変化します。

ただし、ある日を境に急に変わるというより、身体は少しずつ、ゆらぎながら変化していきます。

調子がよい日もある。
急にほてる日もある。
眠りが浅くなる日もある。
理由もなく気持ちが沈む日もある。
いつもの自分ではないように感じる日もある。

その波があるからこそ、本人も戸惑います。

昨日はできたことが、今日はしんどい。
前は気にならなかったことに、急に疲れてしまう。
小さなことで涙が出そうになる。

それは、気合いが足りないからではありません。
身体の土台が変化している時期なのです。


症状は、人によって違います


更年期の不調というと、ほてりや発汗、いわゆるホットフラッシュを思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、それも代表的な症状の一つです。

けれど、更年期の不調はそれだけではありません。

疲れやすい。
眠れない。
肩こりがつらい。
頭痛がする。
動悸がする。
めまいがする。
気分が落ち込む。
イライラする。
不安が強くなる。
集中しにくい。
物忘れが増えたように感じる。

こうした不調が、いくつか重なって現れることもあります。

厚生労働省の資料でも、更年期症状は人によって異なり、日常生活への支障は検査結果だけでは判断しにくく、本人が困難を感じているかどうかが大切だと説明されています。

つまり、周りから見て分かりにくくても、本人がつらいなら、それは大切に扱うべき不調です。

「このくらいで」と軽く見なくてよいのです。


更年期は、生活もゆらぎやすい時期です


更年期の不調を考える時、身体の変化だけを見ていては足りないことがあります。

この時期は、生活の中でもさまざまな変化が重なりやすい時期です。

子どもの進学や独立。
親の介護。
夫婦関係の変化。
仕事での責任の増加。
管理職やリーダーとしての負担。
家族の健康問題。
これからの自分の生き方への不安。

身体がゆらいでいる時期に、家庭や仕事の役割も重なる。
それでは、心が疲れてしまうのも無理はありません。

更年期は、身体だけが変わる時期ではありません。
身体も、心も、暮らし方も、人との関わり方も、少しずつ見直しが必要になる時期です。

だからこそ、不調を「年齢のせいだから仕方ない」と片づけず、自分の状態をやさしく見ていくことが大切です。


「我慢できるか」ではなく「困っていないか」


更年期の不調を抱えている方の中には、とても我慢強い方がいます。

つらくても家事をする。
仕事に行く。
家族の予定を管理する。
親のことを気にかける。
人前では平気そうに振る舞う。

周りから見ると、いつも通りに見えるかもしれません。

けれど、本人の中では、かなり無理をしていることがあります。

ここで大切なのは、
「我慢できるか」
ではありません。

「困っていないか」
「生活に支障が出ていないか」
「無理を重ねすぎていないか」
です。

眠れない日が続く。
朝起きるのがつらい。
仕事や家事に集中できない。
家族への対応が苦しくなる。
好きだったことが楽しめない。
人と会うのがしんどい。
一人になると、どっと疲れが出る。

こうした状態が続くなら、「我慢できているから大丈夫」とは言い切れません。

更年期の不調は、我慢大会ではありません。

つらい時は、つらいと言ってよいのです。


更年期は「弱くなった時期」ではありません


更年期という言葉に、どこか暗い響きを感じる方もいるかもしれません。

「もう若くない」
「衰えていく」
「今までのようにはできない」
「女性として終わっていく」

そんなふうに感じてしまう方もいると思います。

けれど、更年期は「終わり」だけを意味する時期ではありません。

これまでの頑張り方。
働き方。
家族との関わり方。
休み方。
自分の気持ちの扱い方。
無理を重ねてきた習慣。

そうしたものを、これからの自分に合う形へ整え直していく時期でもあります。

若い頃は何とかできた無理が、同じようには通用しなくなることがあります。
けれど、それは価値が下がったという意味ではありません。

身体が、
「これからは少し違う整え方が必要ですよ」
と教えてくれているのかもしれません。

更年期は、弱くなった時期ではありません。
これから先の自分を、もう一度大切に整え直す時期です。


身体のこわばりと心の疲れは、つながることがあります


更年期の不調の背景には、ホルモンバランスの変化があります。

ですから、姿勢や肩こりだけで更年期の不調を説明することはできません。

ただ、身体のこわばりや痛みが、気持ちの落ち込みや疲れやすさに影響することはあります。

肩がこる。
首が重い。
背中が丸くなる。
呼吸が浅くなる。
動くのが億劫になる。
外に出るのが面倒になる。
気分も沈みやすくなる。

身体がつらいと、心も疲れます。
心が疲れると、身体にも力が入りやすくなります。

そのように、心と身体は互いに影響し合っています。

だからこそ、更年期のケアでは、心だけでも、身体だけでもなく、両方を見ていくことが大切です。

医療的な相談が必要な時は医療へ。
身体の使い方や姿勢の見直しが必要な時は、その専門家へ。
気持ちの整理や休み方の見直しが必要な時は、対話やセルフケアへ。

一つの方法ですべてを何とかしようとしないことも、大切です。


香りは、更年期のつらさに寄り添う「助け」になることがあります




更年期の不調に対して、アロマセラピーが話題になることがあります。

リラックスしたい。
眠る前に少し落ち着きたい。
イライラや不安をやわらげたい。
気持ちを切り替えたい。
自分のための時間を持ちたい。
つらい時に、少しでもほっとできるものがほしい。

そのような時、香りが助けになることはあります。

もちろん、精油や香りが更年期障害を「治療」するものではありません。
医療の代わりになるものでもありません。

けれど、だからといって、香りに意味がないわけではありません。

好きな香りを感じた時に、ふっと肩の力が抜ける。
心地よい香りで、呼吸が少し深くなる。
眠る前の香りが、「今日はここで休んでよい」という合図になる。
つらさの中で、少し救われたように感じる。

こうした感覚は、数値では測りにくいものです。
けれど、更年期のように心身がゆらぎやすい時期には、その「少し楽になる」「ほっとする」という時間が、とても大切になることがあります。

また、精油の中には、更年期世代の女性を対象に研究されているものもあります。

たとえば、ゼラニウムやローズ・オットーの香り刺激によって、唾液中のエストロゲン濃度が上昇したという報告があります。
また、ラベンダーや低濃度のネロリなどの芳香浴が、更年期症状の軽減に役立つ可能性を示した研究レビューもあります。ただし、研究の数や条件には限りがあり、誰にでも同じ効果があるとまでは言えません。

ですから、
「この精油で更年期障害が治る」
「女性ホルモンが整う」
「これさえ使えば大丈夫」
という言い方は避けるべきです。

一方で、香りが更年期のつらさに寄り添い、日々を少し過ごしやすくする助けになる可能性は、大切にしたいところです。

香りは、不調をなかったことにするためのものではありません。

今の自分の状態に気づくきっかけ。
呼吸を思い出す時間。
緊張を少しゆるめる合図。
一日の中で、自分に戻るための小さな区切り。

そのような形で取り入れることで、香りは更年期の時期を支える「癒し手」のような存在になり得ると思います。

不調が強い時には、婦人科など医療機関に相談することが大切です。
そのうえで、日々のセルフケアとして香りを活かす。

医療と対立させるのではなく、つらさに寄り添う生活の工夫のひとつとして、アロマセラピーを取り入れる。

そのような位置づけで香りを用いていただくのが良いと思います。


セルフケアは「もっと頑張ること」ではありません




更年期の不調を感じると、何かをしなければと思う方もいます。

運動しなければ。
食事を整えなければ。
睡眠を改善しなければ。
ストレスを減らさなければ。
もっと前向きに考えなければ。

もちろん、生活を整えることは大切です。

けれど、セルフケアが新しい義務になってしまうと、かえって苦しくなります。

更年期のセルフケアは、頑張りを増やすことではありません。

むしろ、今まで増えすぎていた負荷を見直すことです。

やめられることはないか。
人に任せられることはないか。
休みを先に確保できないか。
家族に共有できることはないか。
仕事のやり方を少し変えられないか。
自分の身体の変化に合わせて、ペースを調整できないか。

こうした見直しも、立派なセルフケアです。

「もっと頑張る」ではなく、
「これからも続けられる形に整える」。

更年期には、この視点がとても大切です。


家族や職場にも、理解が必要です


更年期の不調は、本人だけの努力で何とかするものではありません。

家族や職場の理解も大切です。

更年期世代の女性は、家庭でも職場でも、さまざまな役割を担っていることがあります。厚生労働省も、更年期症状の健康課題は職場にとっても重要なテーマであり、周囲がこの世代の体調不良を理解することの大切さを示しています。

家庭でも同じです。

「いつもできていたのに」
「それくらい大丈夫でしょう」
「気にしすぎでは」
「みんな通る道だから」

こうした言葉は、本人をさらに追い詰めることがあります。

必要なのは、特別扱いではありません。

不調がある時期なのだと知ること。
本人の言葉を軽く扱わないこと。
一人で抱えている負担を見える形にすること。
できることを分け合うこと。
必要な受診や休息を責めないこと。

家族の中でも、職場の中でも、それぞれにできることと、できないことがあります。

だからこそ、役割を固定せず、補い合う視点が大切です。


医療に頼るのは、弱さではありません


更年期の不調が強い時は、婦人科など医療機関に相談することが大切です。

更年期症状のうち生活に支障が出るものを更年期障害といい、厚生労働省の女性の健康支援情報でも、つらい場合は我慢せず婦人科を受診し、治療を受けることがすすめられています。治療にはホルモン補充療法、漢方治療、睡眠や気分に関する薬、カウンセリングなどが選択肢になる場合があります。

もちろん、すべての人に同じ方法が合うわけではありません。

体質、持病、生活状況、症状の出方によって、合う方法は変わります。

だからこそ、自己判断だけで抱え込まず、相談することが大切です。

医療につながることは、弱さではありません。

自分の身体を知ること。
不調の原因を確認すること。
選択肢を持つこと。
これからの生活を整えること。

そのための行動です。


「気のせい」と片づけず、自分の声を聞く






更年期の不調は、見えにくく、説明しにくく、日によって変わります。

だからこそ、自分でも疑ってしまうことがあります。

「本当につらいのだろうか」
「大げさなのではないか」
「みんな我慢しているのではないか」
「自分だけ弱いのではないか」

けれど、つらさを感じているなら、それは大切な情報です。

まだ言葉になっていないだけかもしれません。
原因が一つではないだけかもしれません。
身体と心と生活が、複雑に重なっているだけかもしれません。

「気のせい」と片づける前に、一度立ち止まってみてください。

いつからつらいのか。
どんな時に強くなるのか。
眠れているのか。
食べられているのか。
仕事や家事に支障はあるのか。
誰かに話せているのか。
医療に相談した方がよい状態ではないか。

自分の状態を見ようとすることは、自分を甘やかすことではありません。

自分を大切に扱うことです。


更年期は、これから先の自分を整える入口です




更年期の不調は、気のせいでも甘えでもありません。

身体の変化があり、心の負荷があり、生活の役割があり、人間関係や仕事の責任も重なります。

その中で不調が出るのは、恥ずかしいことではありません。
我慢が足りないからでもありません。
女性として弱くなったからでもありません。

更年期は、これまでの自分を否定する時期ではなく、これから先の自分に合う形へ整え直していく時期です。

無理を重ねてきたなら、休み方を見直す。
一人で抱えてきたなら、分け方を考える。
身体がつらいなら、医療や専門家に相談する。
気持ちが見えにくいなら、言葉にする時間を持つ。
香りが心地よいなら、自分に戻る小さな区切りとして使う。

更年期の不調を、気のせいにしない。
甘えにしない。
年齢のせいだけにしない。

そのうえで、怖がりすぎず、過信しすぎず、自分の心と身体を丁寧に見ていく。

それが、更年期というゆらぎの時期を、自分らしく越えていくための大切な一歩になると思います。

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下坪壮介
専門家

下坪壮介(メンタルヘルスカウンセラー)

薫風堂

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