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コラム

大正時代のスペイン風邪禍と現代の新型コロナ禍の類似性

2020年5月8日

テーマ:漢方

コラムカテゴリ:医療・病院

大正7年から9年にかけて世界的に大流行したスペイン風邪では、日本でも多数の死者が出ました。当時6歳だった幼い私の大叔母にあたる人もその犠牲になりました。

私が中学生だった時に、それまで墓地は実家の近くの宗派も違う寺に共同墓地のような形で間借りしていましたが、祖父が菩提寺に墓地の移転を行いました。その移転を祖父とともに手伝ったのですが、その時に見た墓碑銘の戒名の中に大正8年に亡くなった幼い女性のものがあったのです。この人は誰?と祖父に聞くと、それは祖父の妹で、スペイン風邪で亡くなったのだそうです。かわいがっていた妹の死は、祖父は齢をとっても鮮明に覚えていたようで、当時のことを私に話してくれました。亡くなったのは妹だけではなく、近所のお爺さんも亡くなった。医師に往診を頼んだがなかなか来てくれず、当時は自動車ではなく馬に乗って往診をしていたが、あまりの往診の多さに、馬が過労死するほどだったというのです。この時、間違いなく医療崩壊が起きていたのです。

このスペイン風邪で、森道伯先生がスペイン風邪に対して著効を収められた処方は、肺炎型には小青竜湯加杏仁、石膏、脳症を発するものには升麻葛根湯加白朮、川芎、細辛、胃腸型には香蘇散加茯苓、白朮、半夏でした。この三種類の処方で治療して治らないものはなかったといいます。もし、私の大叔母も、森道伯先生のような漢方の名医に診ていただいたなら、死ぬことはなかったのでは、と思います。森道伯先生は、矢数格、矢数道明、矢数道明三兄弟の師匠で、一貫堂という流派の漢方医です。

令和の時代になり、新型コロナ禍で社会不安が増していますが、百年以上前のスペイン風邪禍と何ら変わっていません。スペイン風邪が漢方で有効だったのなら、新型コロナ肺炎も漢方が有効な可能性が高いです。

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