エンディングノートと遺言書
農地や山林があるときの相続対策 ~「土地はあるけど現金がない
相続において、財産の多くが農地や山林といった「現金化しづらい資産」で構成されていると、納税や分割に苦慮するケースが少なくありません。
「土地はあるけど、現金がない」
こうした状態は、相続人にとって非常に悩ましい問題です。
今回は、農地や山林の相続をめぐる問題点とその対策について、税理士の視点からわかりやすく説明します。
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1.農地の相続と「農地法」の壁
農地の相続では、農地法による制約が大きな壁になります。
農地は自由に売却・転用できないため、以下のような事例が起こり得ます。
■よくある相談事例
父の遺産として、数千坪の田んぼを相続することになったが、自分は農業を継ぐつもりがなく、買い手も見つからず、税金や維持費だけがかかって困っている。
■対策1:農業後継者への承継準備
農業を継ぐ意思のあるご家族がいれば「農業後継者」として認定されることにより、相続税の納税猶予制度を活用できる可能性があります。
ただし、この制度には一定の継続的な営農が必要で、廃業すると猶予された税金を納付しなければならないため、慎重な計画が必要です。
■対策2:貸付・集積の検討
農業を継ぐ人がいない場合でも、農地を農業法人や他の農家に貸し出すことで、収入を得たり、耕作放棄地化を防ぐことができます。
農地バンクや市町村の農業委員会を通じて、貸付先のマッチングを行う取り組みも広がっています。
2.山林の相続と管理コスト
山林もまた、所有しているだけで維持管理の手間とコストが発生します。
特に手入れがされていない山林は、倒木・土砂崩れ・境界不明などのトラブルが起きやすく、責任問題になることも。
■よくあるトラブル
・相続後、山林の境界が不明で隣地所有者とトラブルに
・放置していた山林で倒木事故が発生し、損害賠償のリスクに
・山林の評価額が高く、現金化できないまま納税資金が足りなくなる
■対策1:森林経営管理制度の活用
市町村が主体となって、山林の管理を民間事業者に委託する<strong>「森林経営管理制度」</strong>が2019年から始まっています。
一定条件を満たすことで、山林を自ら管理できていない人でも、安全かつ効率的に維持する方法が確保できます。
■対策2:評価見直しと専門家の確認
山林は「倍率方式」または「面積×単価方式」により相続税評価されますが、実際の価値よりも高く評価されることがあり、負担税が大きくなる場合があります。
税理士や不動産鑑定士による評価の見直しで、相続税を抑えられるケースも少なくありません。
3.小規模宅地等の特例が使えないケースも
自宅や事業用地の相続では有効な「小規模宅地等の特例」ですが、農地や山林については原則として適用対象外です。
つまり優遇措置は基本的に使えません。
結果として、「現金収入はほぼないのに、相続税が数百万円単位でかかる」というような状況にも陥りかねません。
■対策例
農地の納税猶予制度
認定農業者が相続した場合、一定条件下で相続税の納税が猶予されます(廃業等で打ち切りになるリスクあり)
納税資金の準備
生命保険・不動産売却・生前贈与などにより、相続税の支払いに備える。
法人化による分散管理
農業法人や資産管理会社を設立し、農地・山林の一元管理と相続対策を図る方法もあります。
4.【まとめ】農地・山林の相続は「資産整理+人の整理」がカギ
農地や山林の相続では、資産の管理や納税だけでなく、「誰が引き継ぐのか」「誰が管理できるのか」といった”人の整理”が必要不可欠です。
◆相続対策の3つの柱
1.資産の現状把握・・・評価額・所有者・登記状況
2.意思の共有・・・誰が何を継ぐのかの話し合い
3.制度の活用・・・納税猶予・管理委託・保険など
〇最後に
農地や山林を含む相続は、専門的な知識と時間のかかる調整が求められる分野です。
トラブルになる前に、生前からの対策を立てておくことが、円満な相続につながります。
私たち たくえす税理士法人では、農地・山林の相続や納税資金の準備、評価の見直しなど、実務に基づいた具体的なご提案を行っています。
詳しくはぜひ、たくえす税理士法人 までお問合せください!
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