社員アンケートを取れば、いいオフィスになる? ― 大切なのは「何を聞くか」より「どう使うか」

2026年10月1日、私たちDexiは、浜松の「働く」を記録するWEBメディア「HAMAMATSU WORKING LOG(HWL)」を公開しました。
■ HAMAMATSU WORKING LOG
https://hamawork.jp/
なぜ、オフィスづくりをしている私たちがメディアを始めたのか。
その理由の一つに、「浜松には、浜松の働き方があるのではないか」という思いがあります。
これまでオフィスづくりの仕事をしている中で、東京の先進的なオフィス事例を参考にすることはたくさんありました。
ABW、フリーアドレス、リモートワーク、集中ブース、カフェスペースなど。
新しい働き方を実践している企業の事例には、参考になるものがたくさんあります。
一方で、それをそのまま浜松の企業に持ってきても、なかなかうまくいかないことがあります。
「東京でうまくいっているから、浜松でもうまくいく」とは限らない。
では、浜松の企業に合ったオフィスや働き方とは、どんなものなのでしょうか。
HWLを立ち上げたこの機会に、改めて考えてみたいと思います。
浜松では、出社することを前提とした企業がまだ多い
浜松の企業の特徴の一つは、製造業が多いことです。
工場とオフィスが隣接している会社も多く、そもそもリモートワークが難しい仕事もあります。
そのため、首都圏の企業と比べると出社率が高い会社が多いように感じています。
もう一つ感じるのが、個人よりも「チーム」で働く意識が比較的強いことです。
個人の成果を最大化するというより、部門やチーム、さらには会社全体で成果を出す。
これは製造業が多いことも関係しているのかもしれません。
こうした背景がある中で、
「これからはABWだから」
「固定席をなくした方がいい」
と、東京の先進事例をそのまま持ってきても、必ずしもうまくいきません。
ABWができるかどうかは、レイアウトだけの問題ではない
実際に私たちがオフィスづくりをしている中でも、ABWやフリーアドレスを検討した結果、導入を見送ることがあります。
理由はさまざまです。
固定電話がある。
紙の資料が多い。
社員から固定席を希望する声が多い。
こうした物理的な問題もあります。
ただ、私がそれ以上に大きいと感じているのが、マネジメントの問題です。
例えば、
「部下には自分の近くに座っていてほしい」
という部門長が多い会社で、無理にフリーアドレスを導入してもうまくいかないだろうと判断することがあります。
働く場所を自由にするということは、単純に机を自由席にすることではありません。
「どこに座っていても仕事が進む」
「近くにいなくても部下の状況を把握できる」
というマネジメントの変化も必要になります。
オフィスだけ新しくしても、働き方やマネジメントが以前のままでは、なかなか機能しません。
0か100かで考えなくてもいい
だからといって、
「浜松の企業にはフリーアドレスは向かない」
ということでもありません。
全部を変えなくてもいいと思っています。
例えば、営業部門など外出が多く、在席率が低い部署だけをフリーアドレスにする。
固定席を残しながら、集中して仕事をする席や、コミュニケーションのための場所を増やす。
こうした方法もあります。
実際に、紙の資料が多く、当初はフリーアドレスへの移行が難しそうだった企業で、オフィスづくりと同時にペーパーレス化を進めた事例もあります。
紙を減らす一方で、オフィスにはモニターを複数設置した席を多く用意する。
「紙をなくしてください」で終わるのではなく、紙がなくても仕事がしやすい環境を空間側でも用意することで、新しい働き方への移行が進みました。
大切なのは、ABWにすることでも、フリーアドレスにすることでもありません。
その会社に合った働き方を考えることです。
浜松の働き方も、少しずつ変わり始めている
最近、もう一つ興味深い変化を感じています。
これまで浜松では、郊外に工場とオフィスを構え、同じ場所に集まって働く企業が多くありました。
ところが最近、そうした企業が街中にもオフィスをつくるケースが出てきています。
これは単に「街中の方がおしゃれだから」という話ではないと思っています。
これまで大切にしてきた「みんなが同じ場所で働く」ことによるメリットだけではなく、
場所が分かれていても働ける。
仕事内容によって働く場所を選べる。
そんな新しい働き方を取り入れようとする動きの一つではないでしょうか。
浜松の企業にも、少しずつ変化が始まっています。
東京の正解ではなく、浜松の答えを
東京の最新オフィスから学ぶことはたくさんあります。
新しい技術も、新しい働き方も、積極的に知った方がいいと思います。
ただ、それをそのままコピーする必要はありません。
製造業が多い。
出社率が高い。
工場とオフィスの距離が近い。
チームで成果を出すことを大切にしている。
そうした浜松の企業ならではの背景を理解したうえで、
「この会社なら、どこまで変えられるだろう?」
と考えることの方が大切です。
東京の正解を浜松に持ってくるのではなく、先進事例から学びながら、浜松の企業に合う形へ変えていく。
私たちDexiも、そんなオフィスづくりをしていきたいと考えています。
だから、浜松の「働く」を記録する
今回HWLを立ち上げたのも、こうした考えがあったからです。
私たち自身、浜松の企業が何を考え、どんなことに悩み、どんな試行錯誤をしているのかを、もっと知る必要があると感じています。
HWLでは、完成された成功事例だけではなく、そこに至るまでの背景や試行錯誤を記録していきます。
遠くにある大企業の事例だけではなく、同じ浜松で働く企業や人の取り組みを知る。
そこから、
「これなら自分たちにもできるかもしれない」
と思えることが一つでも見つかれば、新しい働き方を考えるきっかけになると思っています。
浜松には、浜松の働き方がある。
でも、それもずっと同じではありません。
いろいろな企業の試行錯誤を共有しながら、浜松らしい「これからの働き方」を一緒に考えていけたらと思っています。
■ HAMAMATSU WORKING LOG
https://hamawork.jp/


