フリーアドレスにすれば、働き方は変わる? ― 大切なのは「席を自由にすること」ではなく「働く場所を選べること」

最近、オフィスの移転やリニューアルの相談を受けていると、「採用」を目的の一つに挙げる会社がとても増えています。
むしろ今では、採用が目的に入っていない案件の方が少ないと感じるくらいです。
では、オフィスをきれいにすれば採用に効くのでしょうか。
私は、一定の効果はあると思っています。
ただ、「きれい」だけでは少し弱い。
そして、採用できたとしても、そこで長く働いてもらえなければ、せっかくの投資を十分に生かすことはできません。
採用に効くオフィスと、定着に効くオフィス。
見るべきポイントは少し違いますが、この二つはつながっていると考えています。
「きれい」だけでなく、その会社らしさが見えるか
求職者が初めて会社を訪れたとき、オフィスの印象はそのまま会社の印象につながります。
古くて暗いオフィスより、明るくきれいなオフィスの方が、「ここで働いてみたい」と感じてもらいやすいでしょう。
ただ、どの会社も同じようにおしゃれにすればいいわけではありません。
大切なのは、その会社らしさが感じられることです。
メーカーなら、製品や技術が見える。
ものづくりの会社なら、オフィスにいても現場とのつながりを感じられる。
コミュニケーションを大切にする会社なら、人が自然に集まっている様子が見える。
私たちがオフィスを考えるときは、経営者の方からできるだけいろいろな話を聞くようにしています。
会社をつくってきた中で、どんなことがあったのか。
社員とどんなことをやってきたのか。
これから、どんな会社にしていきたいのか。
ホームページには載っていない話の中に、空間づくりのヒントがたくさんあります。
オフィスだけでなく、工場なども見せてもらいます。
すると、
会社の人たちにとっては当たり前すぎて、普通になっていること
が見つかることがあります。
それを見つけ出して、空間として表現する。
それが「その会社らしいオフィス」につながるのだと思います。
求職者は、オフィスから会社の「空気」を感じている
採用を考えるなら、エントランスや面接室だけでなく、実際に社員が働いているワークスペースも大切です。
可能であれば、求職者にも働いている社員の様子を見てもらった方がいいと思います。
もちろん、セキュリティの問題もあるので、すべてを見せられるわけではありません。
また、一度会社を訪れただけで、本当の人間関係や仕事の質まで分かるわけでもありません。
それでも、人は空間からいろいろなことを感じます。
「グリーンが多いな」
「音楽が流れていて柔らかい雰囲気だな」
「なんとなくいい香りがする」
「照明が落ち着いている」
「社員同士が自然に話している」
こうした感覚は、会社案内だけでは伝えにくいものです。
特に照明は、オフィスの空気感を大きく変えます。
どこも同じ明るさにするのではなく、場所によって明るさや色温度を変える。集中する場所、交流する場所、リラックスする場所で、照明のシーンが違ってもいい。
採用におけるオフィスは、会社を「説明する場所」であると同時に、
会社の空気を体験してもらう場所
でもあると思っています。
採用だけを考えて、エントランスだけきれいにしない
採用が課題なら、
「求職者が見るエントランスや面接室に予算を集中させればいいのでは?」
という考え方もあります。
もちろん、第一印象は大切です。
ただ、私は採用目的であっても、ワークスペースをしっかり考える必要があると思っています。
エントランスはとてもきれいなのに、その先にある職場を見たら、まったく手が入っていない。
それでは、かえってがっかりさせてしまうかもしれません。
そして何より、採用した人には、そのオフィスで毎日働いてもらうことになります。
採用できても、定着しなければ投資は十分に生きません。
だから、採用と定着を分けすぎないことも大切です。
定着は「きれい」だけでは難しい
定着を考えると、オフィスの見た目以上に重要になるのが、
働きやすさや職場の雰囲気
です。
毎日働いていれば、「新しくてきれい」という感動はいずれ日常になります。
その後も、
仕事がしやすい。
必要な人とコミュニケーションが取りやすい。
集中したいときに集中できる。
休憩するときには気持ちを切り替えられる。
そんな環境になっているか。
こちらの方が重要になってきます。
ただし、ここで気をつけたいことがあります。
オフィスを変えれば、社員が辞めなくなるわけではありません。
人間関係や評価制度、仕事内容、マネジメントなどの問題を、オフィスだけで解決することはできません。
会社が変わる。その後にオフィスが変わる
私は、順番も大切だと思っています。
例えばコロナ禍でリモートワークが進んだ会社では、社員が毎日オフィスにいることを前提としないマネジメントへ変わりました。
すると、
「これまでのオフィスは、今の働き方に合っていない」
ということが起こります。
ある会社では、オフィスを単なる「作業をする場所」から、
みんなが集まり、交流する場所
へと再定義し、面積を小さくしながら移転しました。
これは、オフィスを変えたから働き方が変わったというより、
働き方やマネジメントが変わったから、それに合わせてオフィスも変えた
という順番です。
この順番はとても大切だと思っています。
オフィスは「0を1」ではなく「1を10」にするもの
私は、オフィスだけで会社を変えることはできないと思っています。
コミュニケーションがまったくない会社に、きれいなカフェスペースをつくったからといって、翌日から社員同士が活発に交流するわけではありません。
でも、
「もっと部署を越えて話そう」
「働き方を変えていこう」
「社員同士が交流できる会社にしよう」
という動きがすでに始まっている会社なら、空間を変えることで、その動きを大きく後押しすることができます。
私の感覚では、
オフィスは「0を1」にするものではなく、「1を10」にするもの。
会社が変わろうとしている。
働き方を変えようとしている。
そこにオフィスを合わせることで、変化を加速させることができます。
採用と定着は、つながっている
採用が大きな課題なら、エントランスなど求職者の第一印象に関わる場所は重要です。
定着が課題なら、まずは社員が毎日使うワークスペースを考えたい。
そして採用も定着も課題なら、私はまずワークスペース、その次にエントランスと考えます。
なぜなら、そこで働いている社員の環境そのものが、次の採用にもつながっていくからです。
会社らしさのある場所で、社員が気持ちよく働いている。
その空気を、会社を訪れた求職者が感じる。
そして入社した後も、実際に働きやすい。
採用のためにつくったオフィスと、定着のためにつくったオフィスは、最終的にはつながっている。
私はそう考えています。
これからAIによって、私たちの「作業」の一部はさらに置き換わっていくでしょう。
そうなればオフィスも、単に作業をする場所ではなく、
「人が集まることで、何を生み出す場所なのか」
を、もっと考えるようになっていくのかもしれません。
採用のためにオフィスを変える。
定着のためにオフィスを変える。
その前に、
「自分たちは、どんな会社になりたいのか」
そこから考えることが、結果として採用にも定着にも効くオフィスにつながるのだと思います。
オフィスから、会社の未来を考える
Dexiでは、レイアウトや家具を決める前に、経営者の方へのヒアリングや現場の確認を通して、その会社らしさや、これから目指したい働き方を一緒に考えています。
「採用のためにオフィスを変えたい」
「社員がもっと働きやすい環境にしたい」
「何から変えればいいのか、まだ分からない」
そんな段階からでもご相談いただけます。
オフィス移転やリニューアルを検討されている方は、Dexiのオフィスデザインサイトで、私たちの考え方やこれまでの事例をご覧ください。
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