社員アンケートを取れば、いいオフィスになる? ― 大切なのは「何を聞くか」より「どう使うか」

オフィスの移転やリニューアルの相談を受けていると、
「せっかくだからフリーアドレスにしたい」
という話が出ることがあります。
理由を聞いてみると、
「最近のオフィスっぽいから」
ということも少なくありません。
もちろん、フリーアドレスを取り入れること自体が悪いわけではありません。
ただ、私たちが最初に知りたいのは、
「なぜフリーアドレスにしたいのか?」より、「今のオフィスや働き方に、どんな課題があるのか?」
ということです。
フリーアドレスは目的ではなく、働き方やオフィスの課題を解決するための一つの手段だからです。
フリーアドレスに向いている会社、向いていない会社
フリーアドレスは、どんな会社でも導入すればうまくいくものではありません。
例えば、
デスクトップPCを使っている。
紙の資料が多い。
固定電話が必要。
リモートワークの経験がない。
こうした会社が、いきなり自席をなくしてしまうと、働きにくくなる可能性があります。
一方で、
ノートPC中心で仕事をしている。
ペーパーレス化が進んでいる。
外出やリモートワークが多い。
チャットなどのITツールを使い慣れている。
そして、経営者自身が働き方を変えていこうという意思を持っている。
そんな会社であれば、フリーアドレスを比較的取り入れやすいと思います。
だからこそ、
「流行っているからフリーアドレス」ではなく、「自分たちの働き方に合っているか」
を最初に考える必要があります。
全部をフリーアドレスにする必要はない
固定席か、フリーアドレスか。
この二択で考える必要もありません。
例えば、
営業部門は外出が多いのでフリーアドレス。
経理部門は紙や専用機器を使うので固定席。
開発部門はチームでの連携が重要なので、ある程度エリアを決めるチームアドレス。
そんな組み合わせでもいいと思います。
むしろ、仕事の内容が違うのに、何も考えず全社一律でフリーアドレスにする方が問題です。
部署や仕事に合わせて、固定席とフリーアドレスを使い分ける。
これも一つの考え方です。
席を減らして、何をつくるのか
フリーアドレスのメリットの一つは、全社員分の固定席を用意する必要がなくなることです。
ただし、ここでは在席率の調査が欠かせません。
100人の会社だから100席必要、ではなく、実際にどのくらいの社員がオフィスにいるのかを調べる。
その上で、通常の執務席を減らしていきます。
でも、私は「席を減らすこと」そのものがフリーアドレスの目的ではないと思っています。
大切なのは、
減らしたスペースで、何をつくるのか。
例えば、
集中して仕事をする場所。
少人数で打ち合わせをする場所。
オンライン会議をする場所。
社員同士が気軽に話せる場所。
休憩したり、少し気分を変えて仕事をしたりできる場所。
通常の執務席を効率化することで、こうした場所をつくる余白が生まれます。
私は、
フリーアドレスは「働く場所の効率化」、ABWは「働く場所の多様化」
だと考えています。
効率化によって生まれたスペースを、多様な働き方のために使う。
これが、今のオフィスづくりでは大切なのではないでしょうか。
コミュニケーションは、フリーアドレスにすれば増える?
フリーアドレスのメリットとして、
「部署を超えたコミュニケーションが生まれる」
と言われることがあります。
これは確かにあると思います。
ただ、席を自由にしただけで自然にコミュニケーションが増えるわけではありません。
ここでは、ゾーニングが重要になります。
例えば、集中して仕事をする静かなエリアでは、知らない人に積極的に話しかけることはあまりないでしょう。
一方で、通路と執務スペースの中間に、カフェのような場所がある。
コーヒーを取りに来た人が立ち止まり、たまたま居合わせた別部署の社員と話をする。
そんな場所なら、偶発的なコミュニケーションは生まれやすくなります。
人がどこを通り、どこで立ち止まり、どこなら話しかけやすいのか。
そこまで考えて空間をつくることが大切です。
「今日はどこに座ろう?」をどう考えるか
フリーアドレスにすると、
「毎朝、どこに座るか考えるのが面倒」
という声が出ることもあります。
確かに、固定席なら何も考えず自分の席に座ることができます。
でも私は、
「今日はどんな仕事をするのか」を考える時間になってもいい
と思っています。
今日は一人で集中して資料をつくりたい。
今日はチームメンバーと相談しながら仕事をしたい。
今日はWeb会議が多い。
その日の仕事に合わせて、働く場所を選ぶ。
「今日はどこに座ろう?」ではなく、
「今日はどう働こう?」
と考える。
それができるようになると、フリーアドレスからABW的な働き方へ一歩進んでいきます。
もちろん、すべてを自由にする必要もありません。
チームごとに拠り所となる場所をつくるなど、「自由にすること」と「迷わせないこと」のバランスも必要です。
同じ席に座っていたら、フリーアドレスは失敗?
フリーアドレスを導入しても、結局いつも同じ席に座る人はいます。
私は、それ自体は大きな問題ではないと思っています。
私物を置きっぱなしにして個人机のようになっているのでなければ、本人がその席を選んでいるだけだからです。
大切なのは、
「毎日違う席に座っているか」
ではありません。
必要なときに必要な人とコミュニケーションできているか。
集中したいときに集中できているか。
出社したときに必要な席が確保できているか。
スペースが有効に使われているか。
そして、新しいオフィスに合わせて、組織の情報共有やコミュニケーションの方法を試行錯誤できているか。
そうしたことの方が、ずっと重要です。
フリーアドレスにしなくても、働く場所は選べる
そして、すべての会社がフリーアドレスにする必要はありません。
固定席を残したままでも、
集中するときは集中席へ。
少し相談したいときはミーティングスペースへ。
Web会議のときはブースへ。
気分を変えたいときはラウンジへ。
という働き方はできます。
つまり、固定席+ABW的な考え方でもいいのです。
フリーアドレスにすれば、働き方が変わる。
私は、そんなに単純ではないと思っています。
フリーアドレスにしたことをきっかけに働き方が変わっていく会社もあれば、いつの間にか実質的な固定席に戻ってしまう会社もあります。
だから、最初に考えたいのはフリーアドレスにするかどうかではありません。
今の働き方にどんな課題があるのか。
これから、どんな働き方をしたいのか。
そのために必要なのが固定席なら、固定席でいい。
フリーアドレスなら、フリーアドレスにすればいい。
そして、その先に大切なのは、
「席を自由にすること」ではなく、「仕事に合わせて働く場所を選べること」。
フリーアドレスは、働き方を変えてくれる仕組みではありません。
でも、これまで当たり前だった働き方を見直す、いいきっかけにはなると思っています。
オフィスから、働き方を考える
Dexiでは、固定席やフリーアドレスといったレイアウトを決める前に、現在の在席率や業務内容、IT環境、部署ごとの働き方などを確認しながら、その会社に合ったオフィスを一緒に考えています。
「フリーアドレスにした方がいいのか分からない」
「今のオフィスが働き方に合っているのか、一度見直してみたい」
そんな段階からでも大丈夫です。
オフィス移転やリニューアルを検討されている方は、Dexiのオフィスデザインサイトで、私たちの考え方やこれまでの事例をご覧ください。
Dexi オフィスデザイン
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