Mybestpro Members

杉田策弘プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

社員アンケートを取れば、いいオフィスになる? ― 大切なのは「何を聞くか」より「どう使うか」

杉田策弘

杉田策弘

テーマ:プロジェクトの進め方




オフィスの移転やリニューアルをするとき、

「せっかくだから社員の意見も聞いてみよう」

と、社員アンケートを実施する会社は多いと思います。

社員が毎日使うオフィスですから、実際に働いている人の声を聞くことはとても大切です。私たちも、社員アンケートはできれば実施した方がいいと考えています。

ただし、何となくアンケートを取れば、いいオフィスになるわけではありません。

「カフェが欲しい」
「もっと収納が欲しい」
「集中できる個室が欲しい」
「固定席がいい」
「フリーアドレスがいい」

さまざまな要望が集まりすぎて、かえってオフィスづくりが難しくなることもあります。

大切なのは、社員の要望をたくさん集めることではなく、

「何のためにアンケートを取り、その結果をどう使うのか」

を最初に考えておくことです。

まず「欲しいもの」より「今どう働いているか」を聞く


新しいオフィスをつくるとなると、

「新しいオフィスに何が欲しいですか?」

と聞きたくなります。

もちろん、それも参考になります。

ただ、私たちが最初に知りたいのは、社員が「今どう働いているか」です。

例えば、

「1日のうち、自席で仕事をしている時間はどのくらいか」

「週に何日くらい出社しているか」

「個人で保管している紙資料はどのくらいあるか」

「現在のオフィスにどのくらい満足しているか」

「ペーパーレス化できる業務はあるか」

といったことです。

こうした情報が分かってくると、本当に必要な席数や収納量、スペースの使い方などが見えてきます。

「何が欲しいか」の前に、「今、どう働いているのか」を知る。

これが社員アンケートの大きな役割の一つです。

声を上げにくい人の意見を拾う


アンケートのもう一つのメリットは、普段の打ち合わせでは声を上げにくい人の意見を拾えることです。

例えば、オフィスづくりのプロジェクトメンバーが男性中心の場合。

過去の経験から、トイレやパウダースペース、更衣室、休憩場所、ランチ、セキュリティといった、女性の要望が入りにくいことがあります。

「ちょっとした鏡が欲しい」

「歯磨きできる場所が欲しい」

「お弁当箱を洗える場所があるとうれしい」

そんな日々の生活に根付いた意見が、アンケートから出てくることがあります。

オフィスは毎日使う場所です。

こうした小さな声が、実際の使いやすさを左右することもあります。

そのためアンケートでは、個人を特定する必要はありませんが、会社の人数などに応じて、

性別・部署・内勤/外勤

といった属性がある程度分かるようにしておくと、回答の背景が見えやすくなります。

アンケートは2回に分けてもいい


私たちは、社員アンケートを一度ですべて終わらせる必要はないと考えています。

例えば、

1回目は「現状を知るためのアンケート」。

その結果や経営者・プロジェクトチームへのヒアリングをもとに、会社としてどんなオフィスを目指すのかを考え、ラフレイアウトをつくります。

すると、

「ここはどうしよう?」

という具体的な迷いが出てきます。

そこで、

2回目は「新しいレイアウトについて確認するアンケート」。

例えばキッチンをつくるなら、ドリンクを用意できる程度でいいのか。それとも、簡単な調理ができる環境があれば実際に使う人がいるのか。

収納なら、一人あたりどのくらい必要なのか。

こうした具体的な質問なら、回答を実際の設計に反映しやすくなります。

最初からすべてを社員に聞くのではなく、

ある程度方向性をつくってから、迷っているところをアンケートで「答え合わせ」する。

これも有効な方法だと思います。

自由記入欄には、思わぬヒントがある


アンケートをつくるとき、私たちが大切にしているのが自由記入欄です。

オフィスデザイン会社は、お客さまから話を聞き、そこから答えを考えます。

ただ、どれだけヒアリングをしても、すべての社員の声を網羅できているとは限りません。

こちらが用意した設問では出てこなかった課題や要望が、自由記入欄に書かれていることがあります。

実際、かなりしっかり書いてくれる社員の方もいます。

「そんな使い方をしていたんだ」

「そこに困っていたんだ」

と、私たちが気づいていなかったことを教えてもらえる。

自由記入欄は、そんな発見の場所でもあります。

アンケートは「多数決」ではない


ここはとても大切です。

社員アンケートは、意思決定そのものではなく、意思決定するための材料です。

例えば経営者は、

「これから会社としてペーパーレス化を進めたい」

と考えている。

一方、社員アンケートでは、

「紙はまだ必要」
「収納を減らされると困る」

という意見が多かったとします。

では、どちらが正しいのでしょうか。

私は、どちらか一方をそのまま採用する必要はないと思っています。

例えば、執務スペースの個人収納は少なくしてペーパーレス化を進める。その一方で、すぐには捨てられない書類については、別のエリアに共用の倉庫スペースを設ける。

経営者も社員も、少しずつ譲ることになります。

ただ、会社として目指している方向には進みながら、社員も現実的に働ける環境をつくることができます。

オフィスづくりでは、こうした「ちょうどいい着地点」
を探すことがとても大切です。

オフィスは会社のもの。でも、そこで働くのは社員


社員の意見を聞くことは大切です。

ただ、社員の要望をすべて叶えることが、いいオフィスづくりだとは思いません。

そもそもオフィスは会社のものです。

会社として、

「これからこんな働き方をしたい」

「こんな会社になっていきたい」

という方向性が必要です。

一方で、実際にそこで毎日働くのは社員です。

だから、経営者やプロジェクトチームだけでは見えていない現場の実態を知る必要があります。

場合によっては、社員アンケートの結果を見て、経営者やプロジェクトチームが当初考えていた方針を変えることがあってもいいと思います。

どちらか一方を正解にするのではなく、

会社としてより良い未来につながるものを選びながら、経営と現場の着地点を一緒に考える。

そのための一つの手段が、社員アンケートです。

だからこそ、

なぜ聞くのか。 いつ聞くのか。 誰に聞くのか。 そして、その答えをどう使うのか。

そこまで考えてアンケートを設計することが、いいオフィスづくりにつながるのだと思います。

オフィスづくりは、レイアウトを考える前から始まっています


Dexiでは、家具やレイアウトを決めるだけではなく、現在の働き方の調査や社員アンケート、経営者・プロジェクトチームへのヒアリングなどを通して、その会社に本当に必要なオフィスを一緒に考えています。

「社員の意見をどうまとめればいいか分からない」

「経営側と社員側で、オフィスに求めているものが違う」

「まだ具体的なレイアウトまでは決まっていない」

そんな段階でも大丈夫です。

オフィス移転やリニューアルを検討されている方は、Dexiのオフィスデザインサイトで、私たちのオフィスづくりやこれまでの事例をご覧ください。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

杉田策弘
専門家

杉田策弘(オフィスデザイン事業)

株式会社デクシィ

浜松市を拠点に、オフィスに特化したデザイン設計や内装、家具の販売・製作などを展開。経営課題や企業文化を踏まえた空間づくりを通じて、働きやすさと組織の成長を支えています。

杉田策弘プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

企業の成長と働き方改革を支えるオフィスデザインのプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ静岡
  3. 静岡の住宅・建物
  4. 静岡の家具・雑貨
  5. 杉田策弘
  6. コラム一覧
  7. 社員アンケートを取れば、いいオフィスになる? ― 大切なのは「何を聞くか」より「どう使うか」

杉田策弘プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼