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藪﨑秀實プロは静岡新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

相続人同士のトラブルを回避するために知っておきたい4つの不動産分割方法

藪﨑秀實

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テーマ:不動産相続

相続財産のなかに不動産があった場合、現金のように複数人の相続人で均等に分けるのは大変です。今回は、相続財産の不動産の分割についてお話ししましょう。

不動産分割の考え方

相続不動産の分割はたいへん難しいものです。例えば、3,000万円の預金を3人の子どもが相続するということであれば、3人の子どもがそれぞれ1,000万円ずつ均等に相続することができますが、不動産の場合はそうはいきません。

というのも、仮に90坪の土地を3人の子どもが相続することになり、均等に分割するためそれぞれ30坪ずつ取得することにしたとしても、金額的には均等になりません。土地の面積は同じでも、道路に面した部分と奧まった部分では価格に開きがあります。また、日当たりの良い部分、日当たりの悪い部分でも価格に差が出るなど、均等にはなりにくいのです。

次に不動産の4つの分割方法、「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有」について見ていきましょう。

現物分割について

相続財産の現物分割とは、遺産をそのままの形で相続することを言います。

例えば、長男Aさん、次男Bさん、妹C子さんに遺された財産が、不動産が2つと預金が2,000万円としてみましょう。そして、長男のAさん、次男のBさんがそれぞれ不動産を1つずつ相続し、妹のC子さんが預金2,000万円を相続することにしたとします。この場合、兄・弟・妹3人がそれぞれ遺産をそのままの形で相続したことになります。

ただ、現物分割はAさん、Bさん、C子さんがそろってこの分割に納得していれば問題はありませんが、長男Aさんが相続した不動産は3,000万円、次男Bさんが相続した不動産は1,000万円ということであれば、次男Bさんから不満が出る可能性もあります。現物分割は、相続人全員が納得している場合に限られます。

代償分割について

代償分割についても上の例で考えてみましょう。
次男Bさんから「自分だけ相続が少ない」と不満が出たとします。ここで長男のAさんが、次男Bさんに1,000万円を支払うことにすれば、長男のAさんは「不動産3,000万円-1,000万円=2,000万円」、次男Bさんは、「不動産1000万円+長男Aさんからの1,000万円=2,000万円」、妹のC子さんは預金2,000万円となり、兄・弟・妹3人均等に遺産を相続したということになります。

つまり、長男のAさんが、自分の法定相続分を超過する価値分について、次男のBさんに代償金を支払ったということです。これが代償分割です。ただし、長男Aさんに代償金1,000万円を支払う資金力がなければ、この方法はとれません。

換価分割について

換価分割は、不動産を売却してその売却金を法定相続分に応じて分配する方法です。

ここもAさんたち3人の例で考えてみましょう。遺された財産は、不動産の1つが3,000万円、もう1つが1,000万円、そして預金が2,000万円です。

ここで2つの不動産を売却すると、売却額は「3,000万円+1,000万円=4,000万円」、預金2,000万円を合わせると総額6,000万円ということになります。

そして、この6,000万円を兄・弟・妹が法定相続分1/3=2,000万円ずつ相続すれば、3人が均等に遺産を相続することになります。

換価分割であれば、長男Aさんから次男Bさんに代償金を支払う必要もなく、すっきり均等に分割することができるわけです。

ただ、不動産の売却には手数料や譲渡所得税などの税金がかかり、換価分割をすると遺産が目減りする可能性があります。また、遺産分割協議の席上、「両親や自分たちの思い出の詰まった家を売却したくはない」という意見が出ることも考えられ、その点で協議が難航するケースもあります。

相続不動産の共有について

相続不動産の共有とは、複数の相続人が法定相続分に応じて持分を共有にすることを言います。Aさんたちの例で言えば、2つの不動産をそれぞれ1/3ずつ共有することになります。

遺産分割協議の席上、不動産を「急いで処分するより、とりあえず共有ということにしておこう」という意見が大勢を占めるケースは少なくありません。しかし、不動産の共有はおすすめできません。なぜなら、共有は争いの元になる場合が多いからです。

不動産の共有には大きな問題があります。ひとつは、今後、相続した不動産を売却したい、賃貸に出したい、建て替えたいという希望が出た場合、共有者全員の同意がなければ何一つできないということです。

Aさんたちの例で言えば、長男Aさん、次男Bさん、妹C子さん全員が同意しなければなりません。誰も自分一人の意思で処分をすることができないのです。

また、Aさんたちにそれぞれ子どもが2人、3人いた場合、Aさんたちが亡くなった後は、その子どもたちが共有持分を引き継ぐことになります。

共有者の数が増えるわけですが、しかし、共有した不動産の処分について共有者全員の同意が必要であることに変わりはありません。こうした事態になると、相続した不動産の処分は困難を極めます。

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藪﨑秀實
専門家

藪﨑秀實(宅地建物取引士)

株式会社 あいしん不動産

不動産を売りたい人、買いたい人の思いをくみとり、より良い提案をしています。昨今問題になっている空き家のこと、新しい相続の形「家族信託」などの相談にも、専門家などと連携して相談に応じています。

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