”言語化”スキルを磨く ~マイベストプロコラム執筆で得たノウハウ~
2023年も残すところ、あと僅かとなりました。あっという間の1年だったという人が多いのだろうと思いますが、私の場合は色々なことがあって、今年も長い1年だったなと思っているところです。2023年を振り返って、楽しかったことをまとめてみようというのが今回の話題です。私としては、色々とつらい思いはしたけれど、楽しいこともあった1年だったと思っています。
若者の高いレベルでの活躍
2023年は、若者が結果を出した年でもあったと総括したいです。タイトル「チームビルディングで大切なことが分かった気がする」でも話題にしたWBCでは、大谷選手の「憧れるのをやめましょう」という名言も話題になりました。個人的には、欧米文化に対して潜在的に憧れと同時に劣等感を感じているのですが、この言葉を聞いた時に頬を平手打ちされたような気がしました。高度成長期を生きてきた私は、欧米文化や技術をベストプラクティスとしてしまう傾向がありました。もはや欧米と肩を並べているのだ(実態は知りません)という意識を持ちなさいと言われたように感じました。欧米の成功事例を下敷きに応用するのは、リスクが低くてやりやすいですし、日本人の得意技とも言われていますが、イノベーションを起こすような気概も持ちたいと思います。
やり投げの女子日本記録保持者で、オリンピック及び世界陸上競技選手権の陸上女子フィールド種目における日本人唯一のメダル獲得者である北口榛花選手は、現在25歳のアスリートです。国際的な活躍が期待できる資質を備えた競技者を中長期的な視野で多面的に強化・育成していくプログラムとして、日本陸連が実施している「ダイヤモンドアスリート」制度の第一期生でもある彼女は、子供の時から水泳やバドミントンをやっていた、いわゆる運動神経抜群な人です。どのように試合に臨めば良いかとか、身体の使い方を考えて競技に臨み、結果が出れば隠すこと無く喜びを爆発させますし、結果が出なければ、その原因を分析し、次の機会に備えるというサイクルを回し、自分の成長のコツを掴んでいるように思います。北口選手はこう発言しています。「これだけ記録を出した今でも、指摘されるのは『速く走れ!』とか『もっと持ち上げろ』とか、技術面ではなくて当たり前のことばかり。身体もまだできていないし、やることもいっぱいあるんです。だから、まだまだ記録が伸ばせると思っていますし、伸びないわけがないんじゃないかって。」改善すべき点はたくさんあって、それを改善していくことで成長していくというシンプルな事を実践していることが北口選手の強みではないかと思います。北口選手を見ていると、私だってやる改善すべき点はたくさんあるので、成長しないわけはないと根拠の無い自信を持ってしまいます。
2023ユーキャン新語・流行語大賞に「観る将」が選ばれたそうです。念のために解説しておくと、「観る将」とは、観る将棋ファンの略で、藤井聡太八冠の活躍やAI評価値の進化により、将棋を観戦するファンが増えたことによって、ポピュラーになったのだそうです。藤井聡太八冠は2002年生まれの21歳で、日本の将棋界で史上初めて全8つのタイトルの同時制覇の偉業を成し遂げました。成し遂げた偉業と比較して、その外見は、「イケメン」「かっこいい」と言われるよりも「可愛い」と言われる方が圧倒的に多いそうですが、これまで特に普及が難しかった女性層の心を掴んだのは、いわゆる偉業と外見のギャップなのでしょうか。少し話が逸れましたが、藤井聡太八冠の魅力は、何となく恐怖を感じるAIを見事に超えてくれるということではないかと思っています。私は日曜日の午前中にテレビで対局を観戦しているのですが、結構前から観る将なのかも知れませんね。
大谷選手、北口選手、藤井八冠を例に挙げたのですが、共通するのは自分の成長を楽しんでいるとともに、さらなる成長を求めているということでしょうか。私もそのような思考になろうと思います。きっと毎日が楽しくなると思います。
三体
とあるテレビ局で10月から12月にかけて、全30話で構成されたドラマ三体が放映されていたのをたまたま観てしまい、いわゆる”沼”にはまってしまいました。『三体』(さんたい)は、Webサイトによると以下のように説明されています。『三体』は、中華人民共和国のSF作家劉慈欣による長編SF小説。2006年5月から12月まで、中国のSF雑誌『科幻世界(中国語版)』で連載され、2008年1月に重慶出版社によって単行本が出版された。「地球往事」三部作(『三体』三部作ともいう)は中国において最も人気のあるSF小説の一つとされ、2015年時点で50万組以上を売り上げている。また、本作は2014年11月にケン・リュウによる英訳が出版され、これも複数のSF賞にノミネートされるなど高く評価されている。2019年時点で全世界累計発行部数は2900万部を記録しており、20か国以上の言語で翻訳されている。日本語版は2019年7月4日に早川書房より発売された。日本語訳は、光吉さくらとワン・チャイの共訳による原書からの翻訳原稿を、英語の翻訳が専門のSF翻訳家である大森望が、著者とケン・リュウの協議により変更の加えられた英訳版とも比較し改稿したものである。
何気なく観たドラマから原作を読みたくなり、三部作全てを入手しました。全部で2000ページ(ハードカバーの場合)を少し超えるので、なかなか手強いのですが、今は第三部の上巻を頑張って読んでいる最中です。ドラマも観ないといけないのでなかなか読み進むことができなかったのですが、この年末年始で読破する予定です。読み進めていると感じるのですが、内容や世界観もさることながら、このような話を構成できるという著者の能力に驚嘆せざるを得ませんでした。あまり紹介するといわゆるネタバレになってしまうのですが、要するに地球外文明の話です。今の時代は、地球温暖化対策も全世界レベルでは一枚岩ではないし、戦争も起きたりしています。人類が目を覚ますためには、もはや外部からの刺激に頼るしかないのではないか思ったりするのですが、それが小説の主なテーマになっているし、設定や背景がリアルに描かれているので、本当に起きそうなことだと思えてくるくらい”沼”にはまります。超大作ですので、読む覚悟は必要ですが。楽しく読める作品ですので是非どうぞ。
卒業旅行
愚息が2023年春に大学を卒業し、新社会人になったのですが、新社会人になる前に家族でベトナムに行きました。一般的に卒業旅行というと、大学生が卒業を前に友人やサークルの仲間、恋人などと旅行を楽しむ学生生活を締めくくる一大イベントをイメージされると思いますが、我が家では卒業の時に行う家族旅行を卒業旅行と呼ぶことにして出掛けました。愚息に途上国のパワーを体感して欲しいということと、私がどんな思いでベトナムで仕事をしてたか等を伝えたくて、半ば強制的に日程を決めて行きました。海外に行くというのは、決心や勢いがないと決断できないものではあるのですが、卒業旅行先をベトナムにすることに合意してくれたのは、私が駐在していたということでハードルは低く、添乗員(=私のことです)の密着サポートに身を任せれば良いという安心感もあったのだと思います。
4泊5日ほどの予定だったのですが、ベトナムの人々の生活に触れたり、私が美味しいと思った食事を体験してもらう等で、外国や外国の人とのコミュニケーションを体感できたのではないかと思います。最後の夜には、少し馴れてきた愚息が近所のコンビニに買い物に行ってなかなか帰ってこないというトラブルも発生しました。電話は持っていたので何とか連絡がついて、大事に至らなかったのですが、どうやらコンビニに向かう道すがら、バイクのおじさんに声を掛けられ、何も考えずに後ろに乗って、歓楽街に連れていたれそうになったようです。何とか断って帰ってきたようですが、法外な料金を取られたと言っていました。勉強になったというのが愚息の反省の弁でした。色々なことが起きた卒業旅行ではありましたが、楽しい旅行になりましたし、決して安い旅行ではありませんでしたが、私の思いを家族に伝える機会にもなりましたし、愚息の今後の人生に活かせる体験ができたのではないかと、私としては満足しています。
まとめ
2023年は、楽しいこともありましたが、プライベートで色々なことを考えた年でした。愚息が新社会人として、どんな仕事に就くかとか、人生100年と言われている世の中で、私は残りの人生をどのように生きるべきかとかですが、自分は何に価値を感じるのかということを考えていたと思います。
2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が発表した報告書で「老後の30年間で約2000万円が不足する」と発表されました。老後2000万円問題とも呼ばれます。ゾッとするような話ではありますが、仮に2000万円ありませんとなった時に何が起きるというのでしょうか。私は別に2000万円無くったって、死ぬまで何らかの形で楽しく働き、楽しい上に報酬を得て生活しようと思っていますし、得られた報酬の範囲で生活すれば良いと思っていますが、大切にしたいのは体験です。ところで、モノ消費とコト消費という言葉があります。子供の時にイソップ物語の「アリとキリギリス」を読み聞かせしてもらうというのは、どこの家庭でも行われていたと思います。アリさんのように真面目に働かないとダメになるからねと教え諭されました。アリの生き方はモノ消費と言っても良いと思います。お金を貯め、生きるために必要なモノを買えるように準備することを重視する生き方です。キリギリスの生き方はコト消費です。歌って踊るという体験を重視しています。歌って踊った経験は、思い出となり一生楽しめる無形財産となります。モノは使えば無くなってしまいますが、経験や思い出は、いつでも引き出せ、減ることはありません。これからの人生は、どちらかというとコト消費に比重をおいて、経験や思い出という無形財産を増やしていきたいと思います。
こんな話を愚息と時々しながら、人生の価値について考えた2023年もそろそろ終わります。どちらかというと悪いことが多かったような年でしたが、良いことだってありました。楽しかったことを数えながら、新しい年を迎えたいと思います。来年もよろしくお願いします。