肝は目と関係の深い臓器です

山路美晴

山路美晴

テーマ:東洋医学豆知識

【春にしては暑い】


このところ、昼間は暑いような日が続き、夕方からは急に冷え込んで風も強く吹くという天候が続いている滋賀県地方ですが、皆様のところはいかがでしょうか。

各地で一斉に花開いた桜もそろそろ終わりですね。

春は五臓では肝の季節。
今回は肝と目の関係についてお話ししたいと思います。


【肝の不調は目に現れる】



先日もお話ししたように、「肝」という臓器は東洋医学では血を貯蔵し、気とともに全身にくまなく巡らせるという働きをしています。

そのため、肝の気が滞ると血もうまく巡らなくなり、それが目に症状となって表れると考えられています。
具体的には、目のかすみや疲れ、乾燥や充血が起こります。

また、肝臓が不調になって黄疸になると目にも黄疸の色が出てきますね。


【目の周りのツボ】


人間は、疲れ目の症状がよく出ます。

特に最近はパソコンやスマホなど、集中して目を酷使する状況が増えていますので、疲れ目・乾燥・充血などは常態化していますね。

それに比べると犬猫は目を酷使することはありませんので、人間ほどは疲れ目はないと思われます。


でも、やはり血行が悪くなることでドライアイになったり、年を取ると白内障などの目の症状が出てきます。

実は、白内障も「血行不良が原因」と考えられているため、中医学では目の周りのツボに針を打って治療することがよくあります。


目のツボ


上記の写真のように目の周りにはいくつかのツボが固まっていますが、これは全てが同じ経絡のつぼというわけではありません。

経絡治療をする場合、どの臓腑にどんな気の滞りがあるかを厳密に調べてそこに鍼を刺すという治療をしますが、家庭でのケアの場合はツボよりもむしろ全体の流れを重視した方がいいと思います。



【流れをよくする】



下記の動画は、実際に目の周りをマッサージしているところです。




自分の目の周りを同じようにマッサージしていただくとわかると思いますが、目の周りの骨のきわや、頬骨、耳の下の骨のくぼみなど、骨の形に添ってマッサージすると痛気持ちいい感じがします。

これが、普段気血が滞っているところなんですね。

犬猫の場合は顔の前から両手で両頬を挟むようにして支え、親指で目の周り、耳の下までゆっくり優しく撫でてあげてください。

また、口の両脇や顎の下の方までマッサージしてあげると唾液腺の分泌などもよくなります。


【ローラー鍼を使う】



そして、できればローラー鍼をぜひご活用いただきたいと思います。

ローラー鍼で目の際は難しいのですが、頭部や顔の横にかけるだけでも十分です。

実際、ローラー鍼を全身にかけてもらったら、それだけでドライアイが治ったというワンちゃんもいます。




我が家の前の犬もマイボーム腺腫で化膿した目やにが出ていたのが、毎日全身をコロコロしていたらすっかり出なくなりました。
ローラー鍼は体全体の気血の流れを整えますので、結果的に肝の調子を整え、目にも効果が現れるのだと考えます。

簡単にできるケアなので、マッサージもローラー鍼も毎日少しずつでいいから続けてあげてくださいね!


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山路美晴
専門家

山路美晴(獣医師)

滋賀ペット治療院

鍼灸・整体など東洋医学に基づく診療で、動物本来が持つ“自分で治ろうとする力”を引き出す。ローラー鍼などの「刺さない鍼」やお灸を用いて、家庭でペットのケアを行う講座を各地で開催している。

山路美晴プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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