身体の異常を感知するために五感を研ぎ澄ませよう
【傷寒論】
中医学の古典のひとつに「傷寒論」という書物があります。
起源は古いのですが、何人もの中医学者によって編纂され、いろんな版がある中で、特に日本では南宋の時代に編纂されたものが一般的に「傷寒論」として研究されたとのことです。
「傷寒」は「急な発熱を伴う伝染病」をさすと言われています。
具体的にどんな病のことを言うのかは諸説ありますが、インフルエンザやチフス、マラリアなどが含まれるようです。
現代のように「病原体」を直接顕微鏡などで見ることができなかった時代は、
患者の症状を見ながら急性期、慢性期など6つの証に分けてそれぞれ薬や鍼灸などによる治療法を記しています。
有名な漢方薬、葛根湯の処方もこの書物に書かれているそうです。
病気の正体を直接知ることができなかった時代の感染症対策、きっと民間では
まじないや祈祷に頼っていたでしょうし、医師のジレンマは相当大きかったでしょうね。
漢方薬の力
「傷寒論」は、感染症に対して人がどう対抗してきたかという中医学の英知の結集と言っても過言ではないと思います。
実際、ここに書かれている処方薬は現代でも十分通用するものが多いですし、現代では漢方薬の効果が西洋医学のお医者さんや獣医師の間でも見直されつつあります。
昨年からの新型コロナウイルス感染症に対して、中国では漢方薬による治療が大いに効果を発揮したそうです。
お隣の韓国や台湾でも同様に新型コロナウイルスに対抗する漢方薬の処方が新しく作られて効果を発揮していたと聞きました。
残念ながら日本では漢方薬の新しい処方は法律で認められていませんので、従来の方剤を組み合わせて使うか、または漢方薬の処方ができる薬局で特別に煎じ薬を処方してもらうしか方法がありません。
漢方薬は決して「昔の薬」ではなく、その成分もかなり明らかにされて用途も広がっています。
当院では、今は手技療法だけで薬はほとんど使用していませんが、今後は漢方薬も診療に取り入れていきたいと考えています。
お灸で感染症予防
現代では感染症の正体もわかり、予防法やワクチン、薬などもたくさん開発されています。
なにより感染症の原因が微生物であること、手洗いや消毒でほとんどが防げることがわかっているので心強いですよね。
それでも、疲れやストレスで免疫力が落ちると感染したり、重症化しやすいので日頃から免疫力を維持する必要があります。
ローラー鍼のように皮膚刺激をするのも免疫力アップに効果がありますが、自分でやるならお灸が手っ取り早いと思います。
ペットにする場合は温灸器(温灸ローラーでもいいですね)を使うのがいいと思います。
こちらは特にツボについて考えなくても、腰から順に温めるだけで十分効果を発揮します。
もっと詳しく知りたい方はぜひ講座を受けてみてくださいね!
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(この記事は2020年12月のメルマガ記事です。メルマガスタンドの移行に伴い加筆修正してこちらに投稿しました。)
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