遽に適当の人材を求めんとしても得られるものではない ~三越の古典に学ぶ その15~
オンライン英会話ビジネスの研究をしている仲間がいます。オンライン英会話はサブスクリプション(継続課金)で、1ヶ月の学習時間の長さ(選択コース)や継続期間の長さによって企業側の収益が変わってきます。受講者の募集にあたっては、オウンドメディアはもちろん、様々なアフィリエイト、口コミサイトがあり、後の2つについては一人当たり○千円という費用が発生します。加えて、「1ヶ月無料」「1ヶ月半額」「1ヶ月○○円」など、不定期に実施されるキャンペーンもあります。キャンペーンは本来獲得できる収益を受け取らないのである意味でコストになります。もちろん、主要なコストとは講師代です。
“どんぶり勘定”で言えば、
単位売上高=受講者数×受講料×継続期間-講師代-新規受講者獲得費用
なので、とにかく受講者数を増やすことが目的化しやすいと言えます。
一方で、ライフタイムバリュー基準(一人当たり)で算出すると
Aさんの売上高=受講料×継続期間-キャンペーン費用-応募ルート費用
Bさんの…
というように、個々の受講者の売上高を合計していくことになります。そうなると見えてくることがある。
受講料が高いコースを申し込んだ人は実は受講期間が短い傾向がある。アフィリエイトでの毎月の獲得受講者の多い少ない、継続期間の長い短い、様々な傾向があり、一人当たり紹介費用の高さとは必ずしも連動していない。キャンペーンでは「1ヶ月無料」は受講者を多く集めるが、無料期間が終了してしまうと受講をやめてしまう人も多い。「1ヶ月半額」は自己負担が最初から発生するので比較的継続する人が多い…などなど。こうした様々な組み合わせによってライフタイムバリューの大きさが変動することが分かってきました。そうなると、もっとも企業にとって効果が高い組み合わせを打ち出していくことで、ライフタイムバリュー総額の拡大に効率的に結び付けることが可能になる訳です。
短期的には非効率に見えるかもしれないけど、中長期的には利益をもたらす顧客を発見することは、企業の成長にとって不可欠だと思います。こうしたライフタイムバリューで測ると見える世界が変わってくることを実感します。