営業担当にインセンティブを付ければ業績は向上するのか?(その2)
「営業担当にフレックス勤務を導入したいんだけど…」との相談を企業経営者から受けることがあります。経営者の考える要因としては2つあって、営業職の働きやすさということとコスト削減です。営業担当からも「フレックス勤務の方が良いです」という方も確かにいらっしゃる。さらにマネジメント職も「結果数字だけ作ってくれれば文句はない。」とはっきりと言う方もいます。
果たして、営業担当はフレックス勤務で良いのでしょうか。
もちろん、一部の企画系というのでしょうか、自分で仕事を組み立てられるお仕事の場合はフレックス勤務が相応しいでしょう。しかし、多くの営業職は基本活動が決まっている。自宅訪問、電話アプローチ、メールやSNSなどで接点を確保し、企業側からの情報発信と顧客側のニーズの把握などがあります。こうした活動の組み立てを全部営業職に委ねて良いのでしょうか。既に述べてきたように、営業担当は個人業績目標を背負って仕事をしています。今期、今月、場合によっては今日の目標を求められるので、より確度が高い、つまり直近のお買い上げ高が期待できる顧客にアプローチを集中せざるを得ません。既存顧客はもちろん重要なのですが、それだけではいずれ売上は減少していきます。“我亡き後に洪水来たれ”になってしまう。だから、次の商売の種まきをしておかないといけない。今の売上には直結しないけど、将来の売上に貢献する顧客を獲得し、育成していくための活動はマネジメント職が営業担当の仕事に組み込まないと、後回しになってしまう。
経営者の方にこのように指摘すると、「営業担当には、最近お買い物が少ない顧客にも定期的に接点を持つように伝えていますよ」と言われることもあります。指示していると思うのです。しかし、「当面の売上目標を達成していれば上司は文句を言わないよ。」と思っている。だから、低稼働顧客とも定期的に接点を持つことを確実にするためには、もっと具体的に指示を出し、活動報告を受けなければならないのです。「毎月第1週目は担当顧客を順番に回ってください。」「第2週目は月末に開催される催事のご案内で電話アプローチしてください。」と伝え、活動当日の朝礼にて当日の活動予定を表明させて、1日の終わりに振り返りの報告をして頂く。さらに本当にその活動をしているのか否か、抜き打ちでも確認する。ここまでやらないと絶対に徹底しません。営業担当も一生懸命働いているのです。足元の売上を確保しつつ、将来の商売の種を蒔きを着実に実践して頂くためには、マネジメントの活動が不可欠なのです。だとするならば、出退勤時刻を営業担当に委ねるフレックス勤務では難しい。
繰り返しではありますが、フレックス勤務で効率が高まる営業もあるとは思いますが、多くの場合には(売上目標の進捗確認だけでなく)メンバーの活動をマネジメントしないといけないと私は思っているのです。
「営業担当にフレックス勤務を導入したいんだけど…」と経営者から相談を受けた時には、このように申し上げます。
「では、マネジメント職の方は何をマネジメントされるのですか?」