売上高を個人目標にしない働き方
「あの時のメッセージカード、今でも持っています。」
先日、以前勤めていた企業でマネジャーをしていた時に同じチームで働いていた方が60歳を迎えるということでお祝いの会があった時に言われたことです。10年以上前のことでした。
私は、個人営業部門(いわゆる外商)のマネジャーでした。営業未経験者のチームで低稼働顧客を活性化することをミッションとしていました。知らない職場への異動、それも営業部門への異動ということで、他部門から配属される方々はとても不安になるようです。なので、マネジャーとして、まずは「不安を少しでも軽減できることはないかな?」と思い、始めたことがメッセージカードでした。新規配属する方々の机の引き出しを綺麗に掃除して、そこに手書きのメッセージカードを入れておくだけです。その年々で、そしてそれぞれのキャリアに基づいて変えていましたが、基本的にはこんな内容でした。
「おはようございます。マネジャーをしている鈴木と申します。慣れない職場で不安だと思いますが、丁寧に説明していきますので大丈夫です。一緒に頑張りましょう。」
これだけなんです。しかし、とっても感動するらしいのです。私がマネジャーの時に受け入れてきたメンバーは50人以上いるのですが、大袈裟でなく、多くの方から今でも言われます。「あのメッセージは嬉しかった。」
新規配属者はみんなの前で一言挨拶をするのですが、その時に「今日、初めて出勤させて頂いたのですが、机にこんなメッセージカードがありました。とても嬉しかったです。これからよろしくお願いします。」と言った方もいました。もちろん、他チームのメンバーは何のことか分からなかったと思うのですが…。
私は手書きのメッセージを大切にしています。わざわざ感謝の言葉を文字にして伝えることに意味があると思っています。毎月配られていた給与明細。今ではメール配信になってしまったようですが、私は必ず日々の仕事に対する感謝の言葉を添えて配付していました。このメッセージカードも、大先輩のメンバーが65歳で退職される時に「鈴木さんのあのメッセージカードは今でも持ってます。ありがとうございました。」と言われました。
なんでもかんでも効率化が進んでしまっているのですが、人の気持ちはデジタルだけでは伝わらない。アナログのコミュニケーション、心を込めた手書きのメッセージはちょっとした感動を生み出していたのでした。
今でも誰でもできる心のマネジメントです。