売上高を個人目標にしない働き方
まずは、理想の因果モデルを書いてみる。
これが私の仕事の進め方です。経営者はもちろん、中間管理職の方々、そしてお客様との接点に立つメンバーの皆さんに現状のお仕事の内容と課題についてヒアリングします。アンケートで収集する場合もあるのですが、「文章にするのは苦手なんだけど、聞かれたら答えるよ!」という方は多いのです。さらにいろいろと聞いていくといろいろと気が付くことがあるらしく、ふだんは当たり前だと思っていたことでも、「これも課題なんだなぁ」と思い当たることがあるようなのです。社外のメンバーがヒアリングすることの意味はこういった点にもあるのです。
今回添付させて頂いた因果モデルの図は、ある自動車ディーラーのお話しを伺った際に書いたものの簡略版です。(実際にはもっと現実的な課題をまとめています。) ゴールを「利益拡大」においてその要因を左に書いていく。原因から結果へと矢印を引いていく。これをドンドン遡って繰り返していくことで作成します。もちろん、これは理想の図です。この理想の因果がなぜ実現しないのかを考えることが大切です。
この事例で言えば、売上要因分析(売上高=顧客数×買上頻度×一客点数×一点単価)の「買上頻度」に課題があることが伺えました。その理由は、目標管理のあり方が個人の成約件数などに片寄っているが故に短期的な成約が見込める「1年以内車検」顧客に営業活動が集中していること、営業担当者の担当エリアは一応決まっていながらも過去の経緯から担当エリア外の顧客数が多数いるため営業効率が良くないこと、営業担当者は納車に伴う様々な書類作成から警察署などへの提出まで担っており営業活動に専念しづらい状況にあること、などが挙げられました。こうした課題をどうしたら解決できるのか?という視点で整理をしていくのですが、この場合はチームとしての役割分担を明確にすること、行動基準を明確にすること(→結果として評価制度を見直すこと)、担当エリア制度を徹底することを提案しました。
こうした提案をどこまで採用して頂けるのかは経営者としての判断になりますが、ヒアリングにご協力頂いた方々からも「この改革ならば効率的な営業が出来る!」と評価して頂けた時にはちょっと嬉しいですね。
皆さんの会社でもぜひ、業績向上に向けた因果モデルを書いてみることをおすすめします。きっといろいろな気づきがあると思います。