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鈴木一正プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

売上向上のために(その5)~既存顧客〈後編〉

鈴木一正

鈴木一正

テーマ:顧客戦略

既存顧客の重要性を再確認して頂き、業績向上の仕組みを創ることが私の基本方針です。
『マーケティング・マネジメント』で有名なコトラーの「購買の意思決定プロセス」というのがあります。

問題の認知→情報探索→代替品評価→購買決定→購買後の行動

AIDMAとかAISAS、SIPSとかいろんな言い方をするのですが、基本はこれです。つまり、商品を購入するにあたっては、まずその商品を必要とするニーズが生じます。そのニーズを満たす商品を様々な手段で探し、何点か比較対象となる商品を選び出します。その中から最も効用の高い(と考える)商品を選び、購入します。実際に購入して満足すれば良いのですが、悪かったらとても不満を感じます。最近では、この最後の行動が非常に重要で、ネットのレコメンド欄に書き込んだりします。このレコメンドが次の情報探索に結びついていく訳です。「さとなお」さんのファンベースマーケティングが有名ですね。

私が百貨店個人営業部門に勤務していた時に実感したのは、担当者制度というのはとてもすごい仕組みだいうことです。月1回、お得意様ご招待会があって電話アプローチをするのですが、そのついでに旬の食品をお勧めするんです。5月ならばお茶、7月ならば鰻などです。担当者全員で電話アプローチしていたときにベテラン担当者が次のようにお客様に話しているのが聞こえました。

「三越の●●です。○○様ですか。お久し振りです。お元気ですか? 今月もご招待会の時期になりました。ぜひ遊びに来て下さい。それと今月は鰻なんです。何枚用意しますか?…」

ビックリでした。お客様は「鰻を買う」とは一言も言っていないのです。配属されて直ぐの時だったので、その先輩に聞いたのです。「お客様は買うと言ってないのに、大丈夫なんですか?」そうしたら先輩は答えました。「毎月買ってくれるんだよ。担当者から買うのが嬉しいらしいんだよ。あなたのお役に立つんだったら…と。」

もちろん、初見のお客様には通用しません。この関係になるまでにこの先輩は何度もお客様のご自宅に伺い、毎月電話アプローチをして、今の関係を作ったのです。最初は訪問しても会ってくれない。電話も出てくれない…でもあきらめずに続けた結果、「何枚必要ですか?」が通用する関係になっているのです。

「購買の意思決定プロセス」の全ての段階で、「まずは三越の○○さんに聞いてみよう」と浮かんでいる状態なのです。絶対に他社では買わない。そんな関係です。当然、「●●さんのために友達を紹介するわ」となっているのです。実際、多くの新規顧客が既存顧客の紹介で成り立っているのです。紹介するような顧客はほぼ間違いなく紹介した方よりも高額のお買い物をする。人格的にも問題がない。なぜならならば「お役に立ちたい」と思っているからなのです。

少々極端な話になってしまいましたが、ロイヤルティの高い顧客を獲得することの重要性を少しでも理解して頂ければと思って取り上げました。もちろん、ロイヤルティの高い顧客は一朝一夕には獲得できません。そのためには“売り込まない”、関係構築のための活動が重要になるのです。“売り込まない”がキーワードです。

マーケティングとはセリングとは違う、自ずと売れる仕組みを創ることです。

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鈴木一正
専門家

鈴木一正(経営コンサルタント)

合同会社スズセイ

百貨店個人営業(外商)での経験をもとに、BtoC企業のお得意さまづくりをサポート。訪問や電話などアナログな接点づくりを大切にする顧客戦略の設計図を描き、お客さま本位の働き方改革を実現します。

鈴木一正プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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