鏡像関係は、絶対的孤独な人間の寂しさと孤立感を癒す
秋の夜長、そこはかとなく憂い、さまざまなことを考え悩みやすい季節でもあります。
そして
人間とは何だろう。人間になるとは?
男とは? 女とは? 父とは? 母とは?
何のために生まれてきたのだろう?
など、考え始めたら答えを見いだせず、眠れない夜を過ごしてしまうこともあるのではないでしょうか。それらの答えはラカンの精神科学により導き出されます。
ラカン理論は、難解といわれていますが、見えない心を心理学の体系を利用しつつ、その力動・構造・エネルギー論を物理と数学に置き換え、言語学を基に弁証法的に展開しています。
よって、自分でも止められない衝動や、曖昧模糊とした心を、言語化することで整理され、心がすっきり軽くなります。軽くなるとフットワークも軽くなります。
人間とは
ラカン理論は、すべて言語が決めているという理論です。まず言語に至るために必要な鏡像段階、父の去勢、去勢を受けて始まるシニフィアンの連鎖など、人間の在るべき姿を科学で説いています。
【人間になる基:鏡像段階】
我々は、生まれたときはまだ生物学的人間であり、他の動物と何ら変わりありません。生物学的人間から人間になるとは、母と鏡像関係になり、鏡像段階を経て同一化を学びます。そのとき、母の欲望を見て母に同一視、同一化します。母の欲望、母の情が、人間になる礎になります。
しかし、母は情だけなので、言語で規定されない限り、母と未分化の情態です。まだ何者でもありません。
【私の誕生:父の去勢、父-の-名】
母と蜜月の二個一の状態にメスを入れ、母と子を分離させるのが「父-の-名」による去勢です。母の欲望を基に、父の言語「お前は○○だ」と規定を受け、私が誕生します。ここで人間として始まります。○○だと規定されると、自分に無いものを知り、それが欲しくなります。それを欲望といいます。
【人間とは:成長し続けること】
ここからが人間として生きる道です。欲望を自我理想に言語化し同一化しながら自己実現し、享楽に向かいます。自己実現するたび、今の自分は死に新しく自我理想の私が生まれます。このように同一化し、またそれを抹殺し、次の自我理想に向かう。それを繰り返しながら成長していくのが、人間だと説いています。
ラカンの精神科学を学んで自分を活かす
まず自分を知ることが、人間になる第一歩。今のありのままの自分を言語で規定できれば、自分の享楽が何か判明します。その享楽に向かう運動が始まれば、人間として生き始めたことになります。
そこから、男性なら「男とは」「父とは」「アイデンティティー」、女性なら「女とは」「母とは」などの問いを持ちます。それらを、ラカンの精神科学が説いています。
わくわくどきどきしながら、楽しく命尽きるその時まで、自分の享楽に向かって生きたいですね。
-備考ー
- 母と鏡像関係とは:母が子の思い通りに動くので母が鏡となっていること。二人で一人の情態。
- 母の欲望とは:母の都合や損得で可愛いいのではなく、愛する夫の分身である子が「ただ、可愛い、愛しい」世話することが喜び。
- 鏡像段階とは:想像界の形成。理想の自分を母に投影して同一視し、そして母の場所に移動し同一化すること。これらはすべて想像界で行われる。
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