最悪の事態を考えてしまう。不安と思考が止まらない原因と4つの解決法

大澤秀行

大澤秀行

常に最悪の事態を考えてしまう。日々あらゆる想定をしてしまい、心が休まることがない。どういう問題があるかを予測して、あらゆるケースバイケースをシミュレーションしてしまい、考え過ぎて眠れない。

このように最悪の事態ばかりを考えてしまうのはなぜでしょうか。その原動力は何なのでしょうか。

本記事では、最悪の事態を考えてしまう原因と、その解決法をご紹介します。

なぜ最悪の事態ばかりを考えてしまうのか?

最悪のケースばかりを考えてしまう原動力は不安です。不安こそがあらゆるケースの想定やシミュレーションを作り出す原因です。

不安があらゆるケースバイケースのシミュレーションを作ります。この不安と思考が止まらない状態を過剰防衛と言います。過剰防衛を生み出す原動力が不安です。

もっとも強い不安を感じるのはどんな時か?

仕事や遊びの予定などが何も無いときは、思考する対象がないので不安は低減するはずなのに、何も無い時の方がもっと不安になってしまう、ということはありませんか。

運転している時に車が突っ込んできたらどう対処しようとか、仕事でこういう最悪の問題が起きたらどうしようとか、友だちにこういうことを言われたらどうしようとか、何かある時に不安が色々な妄想やシミュレーションを作り出すというのはわかるとしても、何も無い時にもっと不安が強くなってしまうのはなぜなのでしょうか。

「何も無い」ということは「何も起きない」ということです。何も起きないということは、「すべてのことが起こり得る」前提になります。

地震もない、火山の噴火もない。ということは地震や噴火が起こり得る可能性があるという意味です。なぜなら、70年に1回とか30年に1回起きると言われているのですから。

だから何も無いということは、すべてのことが起こり得る可能性を示唆してしまうのです。

何も起こらないということは、すべてのことが起こり得る可能性の上になっているということです。すべてのことが起こり得るがそれがいつ起こるかわからない。これが不安のすべてを成しています。だからシミュレーションして過去にしてしまうのです。

何も無い時というのはすべてのことが起こり得る不安を作ってしまいます。これが途轍もない不安を作ります。

最悪の事態を考えてしまう人が不安から逃れる4つの方法

予測することにおいて不安を防衛しようとする、予測することにおいて何とか凌ごうとする。これがある限り、不安は増長すれども軽減することはありません。なぜなら、この予測性は過剰だからです。

ではどうすれば不安を和らげることができるのでしょうか。ここでは4つの解決法をご紹介します。

1.今を生きる

現象は不確実で不確定です。そのため、人間は未来を先取りして予測性で知っていたいのです。未来が分かれば対処法を考える必要がないからです。現象に確実なことはないので、人間はあらゆるケースを想定します。そこで想定外という概念が生まれるのです。

このように、人間の不安の根本は未来に何が起こるか分からないということです。
逆にいえば、未来を知っていれば不安はないということです。

しかし、私たちは未来を予言することも見ることも不可能です。だとすれば、一つ目の対処法は未来を考えないことです。今を生きる、今を見る、これが不安を和らげる一つ目の方法です。

2.任せる

そうはいっても人間の思考には時間空間があるので、どうしても未来を考えたくなってしまいます。そしてその未来は想定できません。予言できません。とすれば私たちができることはたった一つです。それは「任せる」ということです。

任せることができるようになれば、即座に不安から逃れることができます。

ところが中々人に任せられないものです。任せるために必要なのは信頼だからです。
任せられない人は全部自分でやってしまいます。人を頼りません。

不安の源は養育史上にあることが多いです。親の姿に互いが互いを信頼し合い任せるということがなく、仲の悪い姿ばかりを見て育った人は、その影響を受けてしまうことが多いです。仲の悪い姿ばかりを見て育ったすべての人が心を病むわけではないですが、心を病んでいる人の100%は養育史上の親の姿が影響しています。

3.受け容れる

信頼があって任せることができればそれに越したことはないですが、信頼関係はすぐにできるわけではありません。では信頼を学ばないで任せるにはどうしたらいいのでしょうか。

それは、すべてを受け容れることです。

自分の価値観を持っていると、すべてのことを受け容れることができません。受容するのにもっとも必要なことは「価値をゼロにする」ということです。要するに結果を問わないということです。0点に価値はないという、結果を重んじるという成果主義を捨てればいいのです。

価値を持たなければ受容することができます。

4.不安の使い道を変える

不安の機能は二つあります。

一つは予測性と過剰防衛を作ります。

しかしこれを論理と知性に使えば、不安の防衛は科学を作ります。不安はそういう知性にも使えるのです。

不安が不安神経症と妄想を作り、心の病をつくることも確かです。ただそれが知性と結びつくかどうかの違いだけであって、本当に紙一重です。

不安というのは使いようです。ですから不安を悪者だとか敵だとは見ないで、人間の精神を進歩させる原動力だととらえてみて下さい。

不安と知性を上手く使いこなして自分なりの予測性の世界を作る、これが科学する能力です。

まとめ

この記事では、最悪の事態ばかりを考えてしまう原因と、不安を和らげる方法についてご紹介しました。

今回の記事で大事なポイントはこちらです。
・最悪のケースばかり考えてしまう原動力は不安。
・何も無い時はすべてのことが起こり得るという途轍もない不安を作る。
・不安を和らげる方法の一つは、未来を考えるのではなく今を生きる。
・任せることができれば、即座に不安から逃れることができる。
・信頼がない人が任せるには、すべてを受け容れる。
・価値を持たなければ受容することができる。
・不安は使いよう。不安は人間の精神を進歩させる原動力でもある。


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大澤秀行
専門家

大澤秀行(精神分析家)

合同会社LAFAERO1(ラファエロワン)

精神分析家として34年の臨床実績があり、現在もメールや電話も合わせると、一日平均10名の精神分析によるセラピーを行っている。

大澤秀行プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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