子どもたちを守る防犯意識と回避行動
危険は私たちに潜んでいる
毎日、子どもたちが行き来する通学路ですが、危険な場所はないでしょうか。
子どもたちの防犯対策というと、真っ先に思い浮かぶことは「不審者」です。近年の連れ去り事件増加に伴い、関心は人(不審者)に向きがちになります。ここに、危険が潜んでいます。
不審者をはじめ、犯行を企む者は必ず下見を行っています。この下見をさせない、犯行を許さない意思表示が犯意を喪失させる重要なカギになります。つまり、関心を人から場所へ変化させることが重要です。
通学路の安全対策は子どもたちの気づき
誰にも怪しまれず、下見ができる場所は「誰でも出入りできる場所」と「見えにくい死角」です。通学路で誰でも出入りできる場所は、月極や時間貸し、スーパーなど施設の駐車場、空き地、公園などが挙げられます。見えにくい死角には車の陰が挙げられ、駐車場は特に注意が必要です。また、植栽の手入れがされていない家屋や空き家、作業中の建築現場や資材置き場、不法投棄が目立つ空き地などが挙げられます。そして、気づいて頂きたいのが「気にならない」「見ない」場所です。死角とは、見ようとしても見えにくい場所だけではなく、普段から気にしない、興味が薄い場所も死角として考えることが大切です。
このような危険な場所は、子どもたちに気づかせることが重要で、気づくことで防犯意識が向上します。通学路や遊び場の周辺を子どもたちと一緒に歩き、見つけ出すことが肝心です。子どもたちは、見て考え、考えることで気づきます。そして、場所と状況、理由を書き込める地図作りをお薦めします。この地図作りは「地域安全マップ」と呼ばれ、子どもたちの防犯意識向上に全国で役立っています。
防犯意識が、犯行を許さない意思表示
この他にも、通学路へ防犯カメラを設置する案が、全国に広まりつつあります。
犯罪者は、抑えられない欲求を阻止する人の目を嫌い、防犯カメラは、人の目を補完する道具として普及してきました。しかし、活用には十分な配慮が必要になります。それは、私たち自身の意識が伴わなければ、効果が望めないということです。つまり、防犯カメラの設置と防犯パトロールなど私たちの防犯活動が伴って、犯罪の抑止効果が最大限に発揮されます。欲求の強い犯罪者にとって防犯カメラは、通報しない記録媒体であって、犯行が発覚しない限り、確認されない記録です。また、防犯ブザーやGPS付き携帯端末も過信は禁物です。こうした道具は、私たち大人の目や手が届かない場所と状況を補うものであって、子どもたちを守る便利な道具ではない意識が必要です。
今回ご紹介した「地域安全マップ」も家庭単位に留まらず、クラス単位、学校単位と広めることにより、集まる情報を増やして共有することで、子どもたちの参加意欲も増し、更なる防犯意識の向上が望めるものと考えます。そして、子どもたち自身の防犯意識向上が、犯行を許さない最大の意思表示であることを確信しています。