公営霊園の理想と現実
久しぶりのコラム更新になります。
昨年ですが、NHKのクローズアップ現代という番組で「あなたの遺骨はどこへ ~広がる“ゼロ葬”の衝撃~」という特集が放送されました。一昨年に書いた『「御遺骨」はモノでしょうか?』というコラムに関連する内容であったようです。
跡を継ぐ人がいないお墓。経済的な事情や家庭の事情でお墓を持てない方。お墓を持つことが当たり前では無くなった、今という時代を捉えた特集ではあったと思います。
ただ、気になるのがそこで「ゼロ葬」という言葉を中心に特集が組まれているということでした。社会問題として、ご遺骨の行き先の問題は、必ずしも「ゼロ葬」と繋がるものではないからです。
お骨を引き取れないのは「ゼロ葬」ではない
「ゼロ葬」は、宗教学者の島田裕巳氏が提唱している、新しい葬儀、埋葬のカタチを指した言葉です。葬儀は行わず、お墓も作らず、荼毘に付した御遺骨はそのまま火葬場に置いて帰る。何も残らないから「ゼロ」というわけです。ゼロ葬を選択しようとする人は、儀式儀礼を行わず、御遺骨を「引き取らない」という積極的な姿勢が垣間見られるわけですが、諸事情で「引き取れない」方は、積極的にゼロ葬を選択しているわけではありません。御遺骨をどうするか、という悩みを持った方が増えているのは確かだとは思いますが、一方で「広がるゼロ葬」というタイトルは、実態に即したものとは思えません。
次回、ゼロ葬というものについて、もう少し突っ込んで書いていきたいと思います。