墓地需要の移り変わり(1980年代~2010年代)
永代供養墓と同様に、新しい埋葬形態として必ず話題に上る「散骨」。これについても、一般的に誤解があると思います。
そもそも散骨とは、亡くなった方のご遺骨を海や山に撒く行為を指しますが、この散骨という埋葬(厳密に言うと埋葬ではありませんが)方法は、法的にきちんと定義づけられ、許可されているものではありません。
「墓地埋葬に関する法律」では、亡くなった方のご遺骨は、墳墓または納骨堂に埋葬するよう、義務づけているのですが、散骨は葬送の自由を求める気運の高まりから、厚生省がいわばなし崩し的に認めているものなのです。当然ながら、私有地に勝手にご遺骨を撒いたりすれば大問題になります。散骨をする際には、公共の福祉、公衆衛生上の観点から、誰の迷惑にもならない場所で行うことが条件になります。
現在、散骨を請け負う業者もありますが、一部地域では、墓地としての許可を受けていない山林に遺骨を撒いたため、地域住民とトラブルになったというケースもあります。業者の選定も十分注意する必要があります。
もう一つ、良く聞く話があります。お父様やお母様が「自分が亡くなったら海にでも撒いてくれ」と気軽に言い遺されたが、実際に亡くなってしまうと、遺されたご遺族は散骨では寂しいと感じてしまい、散骨すべきなのかお墓に埋葬すべきなのか迷ってしまう、という事があります。亡くなった方の「後を見る」のはご家族です。単に自己満足のために散骨を選択するのが果たして本当に良いことなのか、よくよく相談されることをお勧めします。