Amazonでお坊さんが呼べる時代
5回にわたって、宗教とお墓についてコラムを書いてきました。ここで今までとは逆に「無宗教」の方とお墓について、考えたいと思います。
霊園でお客様をご案内する際、「お客様の宗旨・宗派は何でございますか?」と尋ねると「ウチは(私は)無宗教だから」と、お答えになる方がいらっしゃいます。実際に、ご葬儀の際もご埋葬の際も、僧侶や神官の手配はせず、戒名もいただかない、という方はいらっしゃいます。公営墓地や民営墓地は「宗旨・宗派問わず」ですから、法要を行わずに埋葬をしても、何ら問題はありません。
ここでちょっとお考えいただきたいのは、「無宗教」とは何か、ということです。自分は無宗教だ、とおっしゃる方でも、一度もお寺や神社にお参りしたことがないという人はほとんどいないのではないでしょうか。お盆には実家に帰ってお墓参り、クリスマスにはケーキを買ってお祝い。当たり前のように行われている年中行事は、実は宗教がベースになっています。無宗教という人でも、何らかの宗教的な行動や活動に関わっているでしょう。正確に言えば、「無宗教」なのではなく、「特定の宗旨・宗派を信仰していない」のだと思います。
その昔、初めてお墓を作ったのは現生人類よりも前に生まれた、ネアンデルタール人でした。教義を持った宗教が生まれる遙か前から、ヒトはお墓を作って埋葬するという原始的な宗教心を持ち合わせていたのです。必ずしも、某かの宗旨・宗派に属し信仰すべき、と言うつもりはありませんが、信仰というものは、人間が本来心の奥底に持っているものであるということは知っていていただきたいです。