定年後でも働けるアルバイトとは
定年後も住宅ローンを負担しているシニアは思いのほか多いものです。そこで気になるのが老後の生活収支。定年後は、退職金と年金が頼りですが、経済環境が不安定であるなか、不確実性が指摘されています。この記事では、定年後の住宅ローン対策について解説します。
定年後も住宅ローン負担、現役時代から残高を正確に確認することが大切
「定年後も、住宅ローンがあり支払いに困っている」。こういった声を頻繁に耳にするようになりました。「老後破産」などという穏やかでない言葉がマスコミで一人歩きするなか、お金の問題を誰にも相談できず、一人で抱え込んでいるシニアが思いのほか多く見られます。
まず、確認したいのは「みなさんは、住宅ローンの残高を正確に把握していますか」ということです。現状がわからなければ、将来に向けて有効な手を打つことは難しいでしょう。だからこそ、現在の残高をしっかりと把握することを優先することが大切です。残高を確認することで、返済に向けたさまざまなアイデアが浮かんでくるでしょう。
残高の後は退職金と年金の額について調べましょう。厚生労働省によると、退職金は中小企業では1500万円前後、大企業では2000万円となっています。率直な感想として、「こんなにももらっているの!」と思う方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、この数字は高い退職金を支払っている一部の企業が、全体の数字を押し上げている、ということが考えられます。日本の企業のうち、98%は中小企業なので、多くの中小企業では、これほど多くの退職金を支給していないのではないか、と考えます。
つまり、厚生労働省のデータを鵜呑みにすることは危険だということです。
また、退職金は、企業が任意で出しているものです。必ずしも用意する必要はないため、業績が良くない企業では、退職金を削減、または支給しないケースも見受けられます。そのため、退職金を期待するのはおすすめできません。
次に年金について見ていきましょう。
厚生労働省によると、厚生年金の標準支給額(夫婦2人の場合)は22.1万円です。これを多いと見るか、少ないと見るかはそれぞれの生活水準によって異なってくるでしょう。
ちなみに、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人の場合、老後の最低日常生活費の平均額は月額22.0万円です。
ゆとりのある老後生活費の平均額は、月額34.9万円となっています。ゆとりある老後生活費から最低日常生活費の差額は12.9万円ありますが、この差をどう捉えるかが老後の生活を考えるうえでのポイントになってくるでしょう。
住宅ローンの繰り上げ返済で注意したいこと
住宅ローンの返済について、定年間際になって焦るのは得策ではありません。ぜひとも、まだ働ける40代、50代で住宅ローンと向き合ってください。
老後に返済することが厳しい場合、繰り上げ返済を検討することもひとつの手でしょう。このとき、住宅ローンの返済期間も同時に検討することをおすすめします。住宅ローンでお困りのシニアのなかには、80歳まで返済が続くというケースも散見されます。返済期間の短縮化も可能な限り視野に入れたいものです。
しかしながら、現役世代の場合、教育費などが必要になるなか、繰り上げ返済に回せるお金を捻出することは思いのほか難しいものです。教育費や生活費などで貯蓄を増やすことができず、老後の生活に不安があるかもしれませんが、無理をせず生活に余裕がある場合のみ、住宅ローンの繰り上げ返済を行いましょう。
繰り上げ返済は将来の負担を減らすには有効です。しかし、現在の生活が破綻し、さらなる借り入れを招いては意味がありません。
働き続ければ、キャッシュフローは改善する
では、定年後「退職金が少なくなってしまった」など、予定した以上に住宅ローンが残ってしまった場合、どうしたらよいでしょうか。
もうお気づきかもしれませんが、「働き続ける」ことが最も効果的な手段です。たとえ2000万円の住宅ローンが残っていても、年金とは別に年間200万円を10年間継続して稼ぎ続けることができれば、貯金を取り崩さずに住み続けることができます。
ただし、これほど多くのローンが残ってしまった場合、働き方が自由に選べなくなるというデメリットがあります。一般的に働ける時間が限られ、年々体力的にも厳しくなるなか、アルバイトで年収200万円を得ることはかなり難しいのが現状です。本当はアルバイトで気楽に勤務したいが、住宅ローンの負担があるため、再雇用を選ばざるを得ない、そんな状態に陥る恐れがあるだけに、計画的に住宅ローンの返済を行いたいものです。
一方、起業はアルバイトや再雇用と異なり、自分の実力次第で報酬を得ることができる働き方です。成功しているシニアのなかには、現役時代より稼いでいる人もいます。しかし、一発逆転を目指す発想では、起業は絶対にうまくいきません。定年後も働き続けて高い報酬を得ることを望むのであれば、現役時代よりスキルを磨き、人脈づくりをしたり、日々の努力を怠ることはできません。