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田原稔久

快適で長持ちする住宅建設の専門家

田原稔久(たはらとしひさ) / 建築家

田原建設株式会社

コラム

上下分離型の二世帯住宅は内階段で行き来を楽に

2015年9月15日

テーマ:完全分離の二世帯住宅

コラムカテゴリ:住宅・建物

プライバシーが守れ、交流もしやすい上下分離型

プライバシーが確保できることで人気の「完全分離型」の二世帯住宅。
前回のコラムで「完全分離型」には、1階を親世帯、2階を子世帯にした上下分離型、左右を分けて、一世帯が2階までを使用する左右分離型の2種類があることをお書きし、左右分離型の二世帯住宅についてご紹介しました。

今回は、上下分離型の二世帯住宅について解説いたします。

上下分離型の特徴は、各世帯がワンフロアでゆったりと過ごせ、プライバシーを確保しつつ、気配も伝わりやすく交流しやすい環境を作ることができることでしょう。

二世帯住宅の長所が全部つまっているのがこのタイプだと言えます。
水廻りの位置を1階と2階、上下で揃えること、同じ配管となるような向きで設置することが大切です。

水廻りが一番、騒音が気になる部分です。
設計段階できっちりと確認してください。

また、リビングダイニング、子ども部屋など話し声で賑やかな部屋は、階下の親の寝室の真上にしないといったことも注意しましょう。

上下階で主寝室の位置は、同じに揃えるのがベターでしょう。

階段をどうするかは大切な要素

上下分離型の二世帯住宅では、階段を外に設置するか内に設置するか、玄関をどのようにするか…について、最初に決めておく必要があります。
じっくりと世帯間で話し合っていただきたい部分です。
何を優先するかで階段が外か内かが変わります。
せっかく二世帯でひとつ屋根の下で暮らすのですから、交流が大切だと思って
おられるご家族は内階段をおすすめします。

外階段にすると完全に独立し、子世帯の玄関は2階になることで、プライバシーは確保されます。
ただし、世帯間で顔を会わせる機会が少なくなり、二世帯住宅の意味がなくなってしまうことも考えられます。

内階段で内部に往来できるドアを設けることで、生活は完全に別でも、元気にしているな…といった気配が感じられ、交流しやすい環境づくりができます。

何かあった際にも、すぐに助けや協力を呼ぶことが可能です。

小さい子どもがいるご家庭で、なおかつ共働き世帯は、行き来がしやすい内階段の方が安心で便利ではないでしょう。

緊急の際も安心、玄関の内部ドアが決め手

では、玄関ですが、玄関そのものを2つにし、ドアを2つ設けるパターンとドアはひとつで玄関を共有するパターンがあります。

玄関を2つ作る方が独立性が高まりますが、内部に行き来できるドアを設置することで、急な場合も玄関を出ずに行き来できます。

玄関を共有すると、深夜に帰宅する際、来客の際などに気を使います。

また、子どもが靴を散らかしたりすることも日常茶飯事になります。
トラブルを事前回避するためには、やはり玄関を各々に設ける方が良いでしょう。

独立性をもたせることと、交流を大切にすることは、平行することではなく交わることだと筆者は思っています。

日常の暮らしは世帯間のプライバシーを確保することを基本としつつ、親世帯と子世帯が自然に親交を温められるような住まい…それが本来の二世帯住宅の意義ではないでしょうか。

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