抗不安薬から卒業
40歳の女性が、オリゴスキャン検査を希望して来院されました。
オリゴスキャン検査は手のひらにセンサーをあてて、組織中の有害金属、ミネラル含有量を調べる検査です。
女性は、昨年から、食生活を見直し、食材にも気を付けるようになりました。
自分では体調がよくなっているように感じているのですが、自分流のやり方でいいのかどうか自信がありません。
なにか指標があればといろいろ調べてオリゴスキャンを知ったのだそうです。
今回は、女性のオリゴスキャン検査結果をもとに、オリゴスキャンで何がわかるのか、結果をどのように活かすことができるのかについてお話しします。
オリゴスキャンについては下記を参考になさってください。
オリゴスキャン検査で食生活を見直したい
ゆかりさんは、40歳の会社員の女性です。
オリゴスキャン検査を希望して来院されました。
感染症拡大をきっかけに、食生活を見直し、食材などにも気を付けるようになりました。
野菜は有機や低農薬のものを買い求め、魚や大豆製品を中心にした食事に切り替えました。
ご自分の食事がはたしてあっているのだろうか、成果はでているのだろうかを知りたいと思っていたところ、オリゴスキャンという検査を知ったのだそうです。
体内ミネラルの不足
さっそく、オリゴスキャン検査を行っていきます。
手のひらの4か所にセンサーを当てるだけなので、痛みはありません。
検査は短時間で終了し、結果も数分で判明します。
まず、ミネラルの結果から見ていきましょう。
カルシウム、マグネシウムなどのミネラル20元素の結果が、棒グラフになっています。
グラフの真中が平均値、標準です。
ミネラルが不足している場合は、左側に棒グラフが伸びます。
一方、ミネラルが過剰に存在している場合は右側に伸びていきます。
棒グラフの多くが、真中の標準ラインにあって、右にも左にも偏りのない結果であると理想的と言えます。
このことから、棒グラフの結果を全体的に見た第一印象で、ミネラルの過不足がわかります。
ゆかりさんの棒グラフはほとんどの項目で左側に伸びていました。
このことから、全体的にミネラル不足と考えられます。
次に、不足しているミネラルのなかで、かなり不足している元素をみていきましょう。
ゆかりさんは、亜鉛、鉄、マグネシウムの不足が目立ちました。
これらのミネラル不足に注意して、食事内容を考え、サプリメントを取り入れるとよいでしょう。
ミネラルサプリメントの選び方について、「原因不明の体調不良には、ミネラルバランスのチェック」に解説しています。参考になさってください。
体内の有害金属を知る
次に有害金属についてみていきます。
有害金属も棒グラフで表されます。
平均値を基準にして、高値、過剰となるにつれ、棒グラフは右側に伸びていきます。
アルミニウム
ゆかりさんの有害金属で目立っているのはアルミニウムです。
アルミニウムは日常でよくつかわれている金属です。
アルミニウムの鍋やトレイ、やかんなどに使われています。
外食産業では、アルミ鍋が使われていることが多く、外食の多い方は、高値をとりやすいです。
アルミホイールをつかった料理では、酸と油に熱が加わることで、アルミホイールが反応して金属流出することがわかっています。
缶ビール、缶酎ハイなど缶詰にも使われています。
そのほか、乾燥材の役割を果たす食品添加物としても多く用いられています。
たとえば、インスタントコーヒー、インスタントスープ、粉ミルクなどのパウダー状の食材ですね。
いつまでもサラサラして、湿気って固まらないような役目を果たしています。
注意したいのは、クッキーやケーキなどの洋菓子です。
このようなお菓子には、膨張剤としてベーキングパウダーが用いられています。
ベーキングパウダーにはアルミニウムが含まれているので、常日頃お菓子をよく食べる方は、アルミニウムが蓄積しやすいと考えられます。
食材のほかには、制汗剤、制酸剤にも含まれています。
ヒ素
ゆかりさんのヒ素の結果は標準範囲に収まっています。
低農薬、有機の野菜を使っておられる方は、ヒ素の蓄積が少ないです。
低農薬にこだわらず、たくさんの野菜をとっている人は、ヒ素が多い結果になりがちです。
逆に、野菜をほとんどたべない方は、そもそも農薬の付着した野菜をとっていないため、ヒ素は少ないのです。
野菜は流水でよく洗い、キャベツなど結球する野菜は外葉を捨てるなど、農薬の摂取をできるだけ減らす工夫は必要かと思います。
ヒ素は農薬のほか、地下水などの水から摂取していることがあります。
水銀
ゆかりさんの水銀の結果は、標準から少し多い程度で、あまり多くはありません。
マグロ、カツオなどの大型魚をよく食べる方は高値に出やすくなります。
マグロが大好きな方、寿司をよく食べるという方は、水銀が過剰な結果がでやすいです。
鉛
ゆかりさんの鉛は高値を示しています。
鉛は水道管からの侵入が多いと言われています。
古い鉛管の交換がなかなか進まないためです。
浄水器を用いても、完全に取り除くことは難しいようです。
一回の摂取量がごく少量であったとしても、毎日取るものですので、長年蓄積することで問題になりえます。
そのほか、女性患者様の鉛が高値を示すとき、注意したいのは化粧品や毛髪染料です。
女性は毎日化粧をしますので、化粧品に含まれるごく少量の金属が毎日蓄積することとなり、鉛高値の結果につながりやすいのです。
化粧品選びも重要かと思います。
化粧品のほか、ヘアカラーなどの染料や毛髪剤にも含まれています。
カドミウム
ゆかりさんのカドミウムもやや高値です。
カドミウムは、お米、玄米などのほか、水道水、塩化ビニール、プラスティック製品から侵入します。
カドミウムの同族元素である亜鉛は、カドミウムに拮抗するミネラルです。
亜鉛が不足していると、亜鉛が補酵素として働くべき反応にカドミウムが入り込み、代謝がうまく進みません。
亜鉛不足は、それ自体が体調不良をもたらしますが、
それだけでなく、有害金属のカドミウムが体内の正常な働きをとめてしまうことも問題です。
カドミウムの多い方は、亜鉛不足にならないように気を付けましょう。
有害金属のデトックスについて「原因不明の体調不良には、ミネラルバランスのチェック」に解説しています。参考になさってください。
オリゴスキャンの結果を日常生活に活かす
オリゴスキャンの結果を説明させていただきましたが、結果をみていかがですか?
「有機野菜をとるようにしたのは、よかったのかなと思います。
ヒ素は標準範囲で、蓄積は少ないとわかって安心しました。
アルミホイールの料理は好きなので、よく作っていたのですが、料理法にも気を付けた方がいいですね。
それと、お菓子にも気を付けた方がいいって聞いて、ドキッとしました。
クッキーとかよく食べてしまうので。
まさか、お菓子にも使われていたなんて、まったく知りませんでした。
それに、お鍋もステンレス製に変えようと思いました。
今まで、ステンレス製がいいとよくきいていたけど、高額だし、何にどういいのかよくわからなかったんですね。
化粧品選びも慎重にしたほうがいいとか、有害金属の視点で考えたこともありませんでした。
オリゴスキャン検査から、日常生活に生かせる知識を、こんなにたくさん得られるなんて思ってもいなかったので、今日はとても勉強になりました」