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野口由美

健康不安で苦しむ患者の心身を親身にケアする心療内科医

野口由美(のぐちゆみ) / 医師

クリニック千里の森

コラム

認知症を改善したい

2022年5月2日

テーマ:症例紹介

コラムカテゴリ:医療・病院

「父が認知症予備軍と言われてしまって…、なにかできることはないでしょうか」
娘さんから相談をうけ、お父様と一緒に来院されました。

今回は、認知機能低下を指摘された方が、食事、運動、生活習慣を変え、CBDオイルなどを用いて症状改善を感じられた経過をお話しします。

認知症予備軍と言われ、なんとかしなくては

「父は、今年で68歳になります。
小さいですけど会社の社長です。
仕事のことではしっかりしていて、現役で頑張っているのですが、日常では、少し前のことも覚えられなくて困っています。

『明日の朝は、だれとどこで面会があるからね、忘れないでね』
と言って、私が確認するのはもちろんのこと、お父さんには、付箋にメモ書きしてもらって、目に付くところに張ってもらっているんです。

それでも大切な約束を忘れたりするんですよ。
私が少し前に言ったことも忘れていたりして、本当に困っています」

と話す娘さんに続いて、お父様が話し始めます。

「そうなんですよ。
家の中は付箋だらけです。
忘れないようにって、そこら中に付箋を貼っています。
しまいには、どれが重要なのか、どこになにを貼ったのかわからなくなります」

と話すお父様は、とてもいい笑顔です。
つられて、娘さんも私も笑顔になりました。

「困ってしまって、病院に行ったんですよ。
そしたら、認知症予備軍だと言われて、もう、みんなショックです。
これはなんとかしなくてはって思いました」

食事に気を付けよう

日常生活、とくにお食事について尋ねてみます。

「私はね、一人暮らしなんですよ。
それで、食事は、近くのスーパーで総菜を買っています。
ひとりなんでね、自分の好きなものを買っています。
私は、インスタントラーメン、焼きそば、うどんとか麺類が好きですね。
それにかつ丼とか、てんぷらや鶏のから揚げなんかの揚げ物が好きで、そういうものをよく食べています。
朝は、毎日パンと牛乳です」

認知症改善のためには、勧められないものばかりが並んでしまいました。
しかもお父様の好物と言われてしまうと、どう説明していいのか一瞬、躊躇してしまいます。

小麦粉製品に注意


まず、小麦粉を控えましょう。
パンやパスタ、うどんというように、小麦粉を塊としてとるのはお勧めできません。

小麦粉は消化吸収しにくく、未消化の物質が腸粘膜を通って血液中に入り、からだによくない影響を与えます。
さらに、脳のバリアを破って、脳内でも悪影響を及ぼすことがわかっています。

朝食にパン、昼はうどんという習慣をやめて、
できれば、ごはん、味噌汁、主菜と副菜という食事がおすすめです。

お一人暮らしですが、可能でしょうか?
お父様は大丈夫ですよと、変わらぬ笑顔です。

牛乳も控える

実は、朝の牛乳もやめてほしい食品です。
牛乳も消化されにくく、未消化の物質が体や脳に悪影響を及ぼします。
「牛乳は大好きなんだが、しゃあないですな…」

揚げ物を減らそう

大変申し訳ないのですが、大好きな揚げ物も認知症にはよくありません。
揚げ物はAGEを多く含んでおり、これが認知症には大敵なのです。

AGE(Advanced Glycation End Products)とは、「終末糖化産物」のことです。
簡単に言うと、タンパク質と糖が加熱されてできたもので、強い毒性を持ち、老化を進めるとされています。

揚げ物をやめて、焼き魚や魚の煮つけ、肉や魚の蒸し料理などを選ぶことはできるでしょうか。

「はい、できると思いますよ。
揚げ物がいかんとはねぇ、知らんかったよね。
好きなもんだから、揚げ物ばかり食べてしまってました」

よい油をとる

認知機能のためにはよい油を選ぶことも大切です。
脳細胞の細胞膜はお食事でとった油から作られます。

ω3系脂肪酸を多く含む油亜麻仁油、えごま油のほか、いわし、あじ、さばなどの青魚を積極的にとるように心がけましょう。

ω3系脂肪酸は細胞膜をやわらかくするため、細胞膜が働きやすくなるのです。
すると脳細胞では、細胞膜を介した物質の伝達が早くなり、認知機能は高まります。

一方、サラダ油はできるだけ取らないように注意します。
サラダ油は認知機能に良くないだけでなく、からだに炎症をおこします。

外食や、総菜には、安価なサラダ油が用いられていることが多いため、できるだけ、自宅で料理することをお勧めしています。

市販のドレッシングもできるだけ避けましょう。
サラダには市販のドレッシングを用いるのではなく、オリーブ油と、お酢やレモン、お塩をつかっていただくとよいでしょう。

認知症改善のために、毎日の生活で気を付けたいこと

認知症改善のために、一番たいせつなのは生活習慣です。
食生活をすこし変えるだけでも、症状はかわってきます。
ぜひ、食事の改善に取り組んでみてください。

また、運動も大切です。
毎日、5分でも10分でもいいので、体を動かす習慣を作りましょう。
散歩していただくのもいいと思います。

そして、規則正しい生活も重要です。
毎日、同じ時間に寝て、同じ時間に起き、同じ時間に食事をとります。
そうすると、体内時計が働きやすくなり、日内リズムをきざむホルモンなども分泌されやすくなります。
体内リズムが崩れると、ホルモン分泌に無理が生じ、からだに負担がかかります。

腸内環境を整える

認知機能と腸内細菌叢との関連性を指摘した報告がみられます。
認知機能向上のためには、腸内環境を整えることはかなり重要なポイントになります。

お父様は常日頃から便秘気味であるとのことですので、腸内環境を整えることは体調改善にも役立つでしょう。

食物繊維豊富な食事をとるほか、ご自身の腸内にいる乳酸菌を増やす乳酸菌製品をとるのもお勧めです。

プラズマローゲン

認知症は脳疲労状態であるという考え方があります。
脳疲労時には脳内のプラズマローゲンが低下することがわかっており、脳疲労の改善を目的に、プラズマローゲンを補給するという方法もあります。

CBDオイル

CBDオイルも認知症に用いられ、症状改善がみられたとの報告がなされています。

CBDオイルについては、

https://mbp-japan.com/osaka/senrinomori/column/5110334/

を参考になってください。

3か月再診

「お父さん、すごく調子がよくなりました。
みんなで喜んでいます。
正直、こんなにはやくに結果が出るとは思っていなくて、驚いています。

忘れ物が完全になくなったわけではないのですが、以前に比べるとずいぶんよくなったと思います。

先生に指摘されて、食事も変えましたし、散歩など運動もするようにしました。

なるべく、家族で集まって会話する機会を増やしたりして、みんなでいろいろ工夫してみました。
このままよくなっていってくれるといいなって思っています」

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