「葬儀社から高額請求！納得いかない費用、どうすればいい？」
皆様、こんにちは。
株式会社大阪セレモニー代表の山田泰平です。
ご葬儀の見積書を前にした時、多くの方がまず注目されるのは、「祭壇」や「棺」といった項目が含まれる「葬儀一式費用」ではないでしょうか？
しかし、実はその脇に記載されている「飲食接待費用」こそが、最終的な請求額を予想外に大きく膨らませる、最大の要因なのです。
この費用は、参列者の人数という、当日まで確定しない要素によって大きく変動する「変動費」の代表格。
そのため、葬儀社との打ち合わせが不十分だと、「最初の見積りでは100万円だったのに、請求は150万円を超えていた…」という、深刻なトラブルに発展しかねません。
今回は、葬儀見積り解説シリーズの第二弾として、この極めて重要な「飲食接待費用」をテーマに、
- 飲食接待費用に含まれる、具体的な4つの項目とその意味
- 費用が“どんぶり勘定”になりがちな、本当の理由
- 人数予測を誤らないための、具体的な方法
- 料理・返礼品の賢い選び方と、費用コントロール術
- 意外な落とし穴！「持ち込み」と「宗教による違い」
を深掘りして解説しましょう。
【結論】飲食接待費は“参-列者数”がすべて。正確な人数予測と、予算に合わせたランク設定が、費用コントロールの絶対条件
飲食接待費用とは、故人に代わって、お忙しい中わざわざ弔問に訪れてくださった方々へ、感謝の気持ちを込めておもてなしをするための費用です。
これは、単なる食事代ではなく、故人様とご遺族の「ありがとう」という心を形にする、非常に大切な意味合いを持っています。
具体的には、主に以下の4つの項目で構成されています。
- 通夜振る舞い：通夜の閉式後、弔問客への感謝と故人を偲ぶ意味を込めて、軽食や飲み物を振る舞うためのお食事代です。
- 精進落とし（お斎）：本来は四十九日の忌明けに食べるものですが、現代では火葬後や告別式後に、僧侶や親族、親しい方々を労うために催す会食を指します。
- 返礼品：いわゆる香典返しです。香典をいただいたことへの感謝としてお渡しする品物の費用となります。
- 会葬御礼品：香典の有無にかかわらず、参列してくださった方全員にお渡しする、感謝の気持ちを表す品物の費用です。
これらの費用は、すべて「（料理や品物の）単価 × 参列者の人数」という、極めてシンプルな計算式で算出されます。
だからこそ、式の当日まで確定しない「参列者の人数」の予測が甘いと、見積り額と実際の請求額に、数十万円単位の大きなズレが生じる可能性があるのですね。
したがって、葬儀費用を正確に把握し、コントロールするためには、まず「おおよその参列者数を、できるだけ根拠を持って予測すること」。
そして、その人数を基に、料理や返礼品のランク（単価）を、ご自身の予算と「伝えたい感謝の気持ち」のバランスを考えながら、適切に設定すること。この2つのプロセスを、葬儀社と丁寧に行うことが、何よりも重要となるのです。
1. 葬儀費用を左右する最大の変数「参列人数の予測」
飲食接待費用を考える上での、すべての出発点が、この「人数予測」です。
ここがブレると、後のすべてがブレてしまいます。
■ なぜ予測が難しいのか
ご遺族は深い悲しみの中にあり、冷静に人間関係を整理する精神的な余裕がない場合がほとんどです。
また、「家族葬」と案内した場合でも、「最後にお顔だけでも」と、予想外の方が弔問に訪れるケースも少なくありません。
こうした不確定要素が、正確な予測を困難にしているのです。
■ 予測の精度を上げる具体的な方法
どんぶり勘定ではなく、少しでも精度の高い予測を立てるためには、以下のような地道な作業が有効です。
- リストアップ：故人様やご自身の年賀状、携帯電話のアドレス帳などを参考に、「親族」「会社関係」「友人・知人」「趣味の仲間」など、カテゴリーに分けて参列の可能性がある方をリストアップします。
- 親族への聞き取り：ご自身の知らない故人様の交友関係について、ご兄弟や他のご親族に「〇〇さんは、来られそうかな？」と具体的に相談し、情報を集約します。
- 過去の経験を参考にする：もし、最近ご親族でご不幸があった場合、その時の参列者数が一つの参考になるかもしれません。
■ 予測が外れた場合の対応
当日は、予想よりも多くの方が来られることも少なくありません。
そのため、料理は予測人数より少し多め（5～10名分程度）に発注し、返礼品も予備を用意しておくのが一般的です。
もし料理が余ってしまった場合でも、持ち帰り用の折詰やパックを用意してくれる葬儀社がほとんどですので、無駄になる心配は少ないでしょう。
葬儀社との打ち合わせでは、「もし予測より10名増えたら、費用はいくら変わりますか？」「料理の追加注文は、いつまで可能ですか？」といった、予測が外れた場合の対応策を、具体的に確認しておくことが、当日の安心に繋がります。
2. どこまでこだわる？料理と返礼品の「ランク」問題
人数が決まれば、次は「単価」となる、料理や返礼品のランクを選びます。
ここが、ご遺族の「おもてなしの心」を表現する部分であり、費用を調整できる部分でもあります。
■ 通夜振る舞い
関東では大皿の寿司やオードブル、サンドイッチなどを立食形式で、関西では個々のお膳を用意するなど、地域によってスタイルが異なります。
目安としては、一人あたり2,000円～5,000円程度が相場でしょう。
故人がお酒好きだったなら、少し良いお酒を用意するのも、故人らしいおもてなしになりますね。
■ 精進落とし（お斎）
火葬場から戻った後、あるいは告別式の後に行う、きちんとした会食です。
懐石膳や松花堂弁当などが一般的で、一人あたり4,000円～1万円以上と、価格帯も様々です。
- アレルギー対応や子供用メニューの有無：参列者にアレルギーをお持ちの方や、小さなお子様がいる場合は、個別に対応が可能かどうかも、葬儀社に確認すべき重要なポイントです。
- 僧侶の席：僧侶が会食に参加される場合は、そのお席も用意します。辞退された場合は、「御膳料」として5,000円～1万円程度を、お布施とは別にお包みするのが一般的です。
■ 返礼品（香典返し）
最近では、いただいた香典額にかかわらず、2,000円～3,000円程度の品物を当日にお渡しする「即日返し」が主流です。
後日、個別に香典返しを送る手間が省けるため、ご遺族の負担が大きく軽減されます。
品物は、お茶や海苔、お菓子、タオルといった「消え物」や「消耗品」が基本です。近年は、相手が好きなものを選べる「カタログギフト」も非常に人気があります。
もし、5万円、10万円といった高額な香典をいただいた場合は、即日返しの品物とは別に、後日、改めて差額分の返礼品（香典額の1/3～半額が目安）をお送りするのが、丁寧なマナーです。
■ 会葬御礼品
参列者全員にお渡しする、500円～1,500円程度のお礼の品です。
お清めの塩や、ハンカチ、ドリップコーヒー、お礼状などが一般的ですね。香典返しと一体化させて、少しグレードの高い品物を一つだけお渡しする、という形もあります。
3. 意外な落とし穴！「持ち込み」の可否と宗教による違い
費用を抑えるために、「飲み物や返礼品を、自分たちで持ち込みたい」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ここには注意が必要です。
■ なぜ持ち込みは難しいのか
- 衛生管理上の問題：特に飲食物は、万が一、食中毒などが発生した場合の責任問題となるため、多くの斎場や葬儀社が持ち込みを禁止しています。
- 提携業者との契約：葬儀社は、提携している料理業者やギフト業者と契約を結んでいるため、外部からの持ち込みを認めていない場合があります。
もし持ち込みが可能な場合でも、「持ち込み料」という別途手数料が発生することがほとんど。
持ち込みを検討する場合は、必ず、葬儀社との最初の打ち合わせの段階で、その可否と条件を明確に確認しておくべきでしょう。
■ 宗教・宗派による考え方の違い
浄土真宗など、一部の宗派では、亡くなった方はすぐに仏様になるという教えから、「お清めの塩」を用いないなど、独自の考え方があります。
また、無宗教葬の場合は、「精進落とし」ではなく「お別れ会」「会食」といった名称で、故人が好きだったレストランのケータリングを利用するなど、より自由な形でおもてなしをすることも可能です。
ご自身の宗派や、希望する葬儀の形に合わせた飲食のスタイルを、葬儀社と相談して決めると良いでしょう。
【まとめ】“おもてなし”の心と予算の最適なバランスを見つける
飲食接待費用は、故人に代わって、参列者へ感謝を伝えるための、非常に大切な費用です。
しかし、だからといって、ご遺族が見栄を張ったり、無理をして過度に豪華にしたりする必要は全くありません。
では、本日のポイントをまとめます。
- 飲食接待費用は「単価×人数」で決まるため、「参列人数の予測」が、費用全体を左右する最大の鍵。
- 人数予測が甘いと、見積り額と請求額に大きな差が出るため、少し余裕を持った予測を立て、葬儀社と対応策を相談しておく。
- 料理や返礼品のランクは、予算と「伝えたい感謝の気持ち」のバランスを考え、無理のない範囲で決定する。どこにお金をかけ、どこを抑えるか、メリハリをつけることが重要。
- 飲食物などの「持ち込み」は、禁止されていたり、別途手数料がかかったりする場合があるため、必ず契約前に確認する。
- 葬儀費用の中で、最もご遺族の意向で調整しやすい項目。だからこそ、葬儀社との綿密な打ち合わせが不可欠。
ご葬儀の場で、故人様を偲びながら、昔話に花を咲かせる会食の時間は、残された方々にとって、悲しみを分かち合い、心を癒すための、かけがえのないひととき。
その温かい場を、故人様らしい「おもてなし」の心で演出するお手伝いをすること。
それもまた、私たち葬儀社の大切な役割だと考えております。
大切なのは金額の大小ではなく、そこに込められた感謝の心です。
株式会社大阪セレモニー
