【小論文過去問から読み解こう】医学部小論文出題事例②~60分で1,000字という出題に、どう対応するのか?~

角野裕美

角野裕美

テーマ:小論文の過去問について

オフィスカタリストの角野裕美(カドノヒロミ)です( ..)φ

今回取り上げた小論文過去問は、2013年度に横浜市立大学医学部にて出題されたものです。

問題: あなたが将来、医師として困難に遭遇したとき、それを乗り越えるためにはどのような能力が必要か、またそうした能力を培うためにはどうすればよいか、1,000字以内にまとめて述べなさい。

このような出題形式を、「テーマ型」といいます。課題文を読ませるもの(課題文型)ではなく、図表やグラフという資料を読ませるもの(資料型)でもなく、ただ、一行~数行の書くべきテーマが挙げられている、というもの、ですね。

横浜市立大学はここ数年ずっとこの出題形式ですし、医学部では多い形式だといえましょう。

では、早速ですが、一緒に考えていきましょう!(^^)!
コラムの「小論文への取り組み方」にも挙げております、その手順通りに、みていくといいですね。
特に、受験対策では、「時間を意識した取り組み」が求められます(^0_0^)
今回の横浜市立大学医学部の場合、なんと「60分で1,000字を書く」という指定!
講座で目安としてお伝えしているのは、「400字を30分程度」ということです。
人間ですから、いくら書くのが早い人でも、なかなか…。なんとか20分くらいには出来るかといった具合でしょう。

……となると、1,000字をなんとか(*_*)読んでいただけるような字で急いで書いたとしても、やはり、50分強はかかりませんか?
……もう、背筋が寒くなる勢いですね(@_@;)
これらを踏まえて、入試という特に限られた時間指定の中での取り組みに、普段から慣れておくためにも、手順を踏まえ、サクサク進められることが大きなポイントとなりましょう。

以下の手順から言うと、つまりは → ①~④を10分~15分弱で行ってしまい、⑤の書くということに着手せねばならぬ、ということ。多分、⑥を悠長にやってられる方は一人もいらっしゃらないことでしょう。(←これを省くためには、普段から書く際に、誤字脱字や表現に留意しておくこと。それにより、十分対応できることです。)

小論文の取り組み手順は……。

①課題の要求を正確にとらえる。
→何について述べていく必要があるのか、を捉えること!
→「テーマ型」「課題文型」「資料型」と、出題形式がありますが、いずれにせよ、「出題者の意図」までここで考え、「何をもとめられているのか?」をしっかり、つかむ必要があります。

②課題の問いについての自分の意見を明確にしておく!
→いろいろと意見を挙げてみて、最も重要だと思うもの、強く主張した 
 いものを選ぼう。

③なぜ?どのように?どこで?誰が?いつから?…と自分に問いかけながら、いろいろな方向から考察しよう!
 →「3WHAT(定義・現状・結果)/4W(WHY・WHERE・WHEN・WHO(M))/1H(HOW)」
 という切り口で考えて、短文でよいので書き出していこう!

④構成(文章の全体の流れ)を考え、組み立てよう!
→基本構成は、「序論 ⇒ 本論 ⇒ 結論」という形。
 論理に飛躍がなく、明確に自分の意見が述べられているか、チェック!
 
⑤構成に基づいて、清書をする。

⑥清書したものを読み返し、推敲する。





では、スタートです(^.^)

今回の問題では、①と②を同時に考えていきましょう。
テーマ型であり、受験生が求められているポイントは、
・「(自分自身が)将来、医師として困難に遭遇したとき」のことを考える。
・「それを乗り越えるためにはどのような能力が必要か」を述べる。
・「またそうした能力を培うためにはどうすればよいか」を考え、1,000字以内にまとめてわかりやすく、書く必要がある。

ということ。1,000字ですので、段落は、4~5か6段落でしょうか。

求められることにきちんと答えないと、もうそれだけで、読み手は「この受験生は、読んでおらず、わかってないなぁ~」となってしまいますので、ここの段階では、とにかく落ち着く、ということも大切ですね。

続いて、③の切り口で、どんどんとネタを挙げていくとよいのですが、これも時間の都合上、頭の中である程度ピックアップしていくと望ましいです。
もっといえば、今回の問題はある程度、出題事例としてはあるものなので、事前準備も
必要ということ。だから、持ちネタのどれを活かすのかを考える段階、ともいえます。

今回の問題でとても必要なことは、「具体的に事例を挙げて、説明できるのか?」ということ。
Ⅰ.「医師として遭遇しうる困難」を現代医療の問題から、挙げていくことになりましょう。その背景やらなぜそうなっているのかという理由も説明できないといけませんよね?
 最近、医学部で出題される問題もみておくと、捉えておくべき傾向がつかめます。
例えば「インフォームド・コンセント(患者自身の意思決定という切り口から捉える)」「災害時のトリアージについて」「格差社会における、健康保険を持たない児童や社会人の増加」「がん告知について」「終末期医療における延命治療について」「チーム医療における医師のありかた」などなど、いろいろと、社会の情勢と共にあげられましょう。


Ⅱ.Ⅰも踏まえて考えると、ではそれらに対応する「能力」がどのようなものであり、
 Ⅲ.Ⅱの能力を培うためにどうするのか、これは、医学部にいる時のみならず、これまでの(過去からの)自分の資質をもふまえ、実際医師となりその現場に入ってから(未来)の折のことにも、言及すると、より説得力が増しましょう。それはそうですよね、より深く考察していると、読み手は捉えてくれるでしょうから。


……などなど、またまた、長くなってまいりました(^_^;)

今回、お伝えしたかった大きなポイントは、
「限られた入試の時間内に、合格答案を書くための取り組み手順と普段からの練習方法」
「医学部ならではの時事ネタや頻出ネタは捉えておく必要性」
ということです!!!


医学部志望の方、もちろん、いわゆるメディカル系(看護学部や総合リハビリテーション学部等)の方々も、是非考えておくにふさわしい問題だと思います<(_ _)>

ではでは、このあたりで!

心を込めて…( ..)φ__hiromi KADONO

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角野裕美
専門家

角野裕美(講師)

Office Catalyst(オフィス・カタリスト)

様々な職業体験と予備校講師の実践を基にカウンセリングを行い、個別の要望に沿って指導。総合型・推薦入試で必須の志望理由や自己推薦の書き方、小論文・面接対策を受験生だけでなく保護者にもアドバイスが出来る。

角野裕美プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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